愛がなんだ (ダ・ヴィンチブックス)

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  • メディアファクトリー
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784840107396

感想・レビュー・書評

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  • この本の主人公のテルちゃん、まともでプライドが人並みにある人間なら踏みとどまるところを、マモちゃんが好きだ、という一心で、女ならわかる「こいつは絶対どうしようもない男じゃん」というような人間、マモちゃんにとことん尽くしている(=都合のいい女と化している)
    そんなテルちゃんの日常がつらつらと書かれているこの本は、もしかしたらつまらない人から見たら超つまらない本であるかもしれないし、テルちゃんの気持ちなど理解不能なのかもしれない。私も、友達がこんなことになっていたら急いで反対し、葉子ちゃんのようにマモちゃんにズバッとキツく言ってやると思う。
    でも、この本に書かれていることや、テルちゃんのマモちゃんへの想いは、どうしても私からしたら他人事には思えないのだ。
    というか、どうしようもなく人を好きになった経験のある人は、どこかテルちゃんと自分を重ね合わせたりするのではないだろうか。2003年に出版され、今となっては映画の方が有名だが、この「愛がなんだ」は活字でしか味わえない、空気感があるような気がする。
    やっぱり角田光代さんの文の雰囲気、好き。
    ちょうどいい温度のお湯で永遠に半身浴している気分(しかものぼせることもない)
    今回は図書館で借りたけど、いつか自分で買ってmy本棚に追加しよう。

  • 「恋人ができたとき、
    その恋人を身内と考えるか1番親しい他人と捉えるか。」
    この何げないセリフに考えさせられました。
    「身内派はみんなで飲んでる時ビールついだりするのは恋人が最後」「他人派は親しき仲にも礼儀ありで、友達より優先」
    自分にとっての当たり前と他の人にとっての当たり前をよーく考えて見よっ、、そう思わされた作品。

  • 恋は盲目、しかし、てるこの盲目っぷりはちょっといらつく。
    イラつくけども若干の心地よさを感じるのはなぜでしょう。

    先のわかってしまった片思いほど無駄なものはない。
    でもそんな片思いに恋してる自分が好き!な自己愛。

    片思いでも両思いでも一人でも
    とりあえず、自分が自分をちゃんと認めてたらそれでいいんじゃない。

  • これが恋愛だっていうなら全力で嫌だけど、愛がなんだって言われちゃあどうしようもない

  • うわー。すごくイライラする。ひたすらひたすら男に尽くしてしまう主人公。そこに頭に乗ってしまう男。そもそも男がえばって女性が下手に出ているのは非常に嫌いなので、悲しい気持ちになりながら読みました。そもそもそういう趣旨の本なので、これだけイライラさせられるのはこの小説が非常に優れているからだと思います。
    テルコはひたすらマモちゃんの為に尽くしまくり、会社迄辞めて彼のくだらない用事を遂行する為に待機したり、他の女にあげるプレゼントを買わせたり、自分の娘だったら男の暗殺計画を立てるレベルです。
    性行為までしているのに付き合っていないし、男の方は便利な友達に頼みごとしている位にしか思っていないしもうなんというか悔しい。
    でも、男女という関係だけの世界には愛なんて無いんじゃないかと思うのも真実。男女の恋愛の延長でいる限り、他にいい異性が居れば取替が効くので車買い換えるのと変わらないような気がします。男女の垣根が無くなって友愛に近い状態になってから「もしかしてこれが愛なのかなあ」って初めて形らしきものが見えてくるような気がします。
    このテルコの恋のような愛のような執着は果たして愛なのか恋なのか。彼女がどんな決断を下すのかとても興味深い本です。僕はとてもイライラしましたけど。

  • 肩の力抜いてさくっと読めるほうの角田さん作品ね。愛なのか恋なのかそのどっちでもないのか、なんてことは、しょうゆラーメンかしょうつとんこつ系か味噌バターか、ってレベルってことで。どうでもいいような、でも意外とこだわりどころのような。

  • 2014.5.5.読了
    情けないなぁ。テルコに対しても幸せになって欲しいなんて全く思わない、見事に魅力ない主人公だった(笑)だけど、私もいつでも出れるように携帯を気にして待っていた、若かりし痛い頃があったような…情けないなー。けど、テルコ。私はそれが情けないと気付いたぞ!(図書館)

  • ほんとなんなんだろうね?
    自分にとっては普通の恋愛感情も他人から見れば滑稽で歪なのだろうね。そもそも、好き、だとか、愛、だとかがあまりに曖昧すぎて両足はつねに泥の上に立っているような不安定な形だと思う。お互いに好きで一緒の風景、時間を過ごしたとしても同じものを見ているわけではなくて。
    そして、この本の物語は出口がない。
    でもそれは不幸でもない。

  • 小説。ダメンズに惚れたばかりに自分もダメ女化していく、負のスパイラル物語。多分反面教師にしてリアルに生かせたらお釣りがくるんじゃないだろうか。愛だけでは食べていけない、お金だけあってもむなしい、あわないジグソーパズルを無理やり押し込んでも絵にならない、そんな悲しいかけらたちが行き場を探すおはなし。

  • p64「ひょっとしたら、夢みたいにうまくいっていた日々は今日で打ち止めかも、とちらりと思った。いよいよ罰があたるのかも、と。ぞっとした。ここ数週間の自分の行動をふりかえり、罰せられるにあたいするものを、朝の光のなか、駅へと向かいながらひっきりなしに考える。思い当たることは何もないように思え、また、たのしいと笑ったことすら罰せられるにふさわしい罪悪に思えた。」

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著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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