- Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
- / ISBN・EAN: 9784840118552
作品紹介・あらすじ
平凡な主婦の、当たり前な毎日-臙脂色のスカートをはいた、久美ちゃんが見えること以外は。嫁と姑の重苦しい日常にちらつく、少女の影は何をもたらすのか。何気ない暮らしにひたひたと入りまじる怪異を描く、怪談文学の神髄五編。『幽』怪談文学賞短編部門大賞受賞作。
感想・レビュー・書評
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いやー面白い。宇佐美さん今後ともよろしくお願いします。
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5篇の怪談短編集。
どれも後味の悪い結末だけど、オチがきれいにまとまっているので必要以上に後を引かない。
怪異はほんの味付け程度で、嫁姑の軋轢、悲惨な老老介護、姉妹間の牽制など、日常生活の中で累積していく疲労感の描写が真に迫っていた。
ほっと息をついた瞬間に、突き落とすような結末がやってきて、なかなかに翻弄させられる。
子どもの頃の苦い思い出にメルヘンな絵本の物語を重ねた「とびだす絵本」は、少しだけ他と毛色の違う雰囲気で好きだった。
認知症によって現実の苦しみから逃れる「柘榴の家」の気味悪さも印象深い。
しかし一番引き込まれたのは妹に対する嫌悪を募らせていく姉のもとに、徐々に近づいてくる怪異(?)を描いた「手袋」だった。 -
私の同級生にも「るんびに」という名前の幼稚園に通っていた人たちがいました。やはり仏教の幼稚園だったそうで、いけないことをしたら罰として正座してお経を読まされたというようなことを言っていました。当時はへんてこな名前の幼稚園だなと思っていましたが、お釈迦様生誕の地という意味だったのですね。
表題作は、池の中から出てきた久美ちゃんという怪異の出だしから、後半は割りと現実的な夫婦・嫁姑のどろどろとした話でした。
「キリコ」はちょっとコメディというか、シュールな笑いのある話で面白かったです。
一番印象に残るのは「とびだす絵本」ですが、怪談というよりは幻想的で、しんみりと悲しく綺麗な話でした。
怪談と幻想文学って、紙一重というか、半分は重なる部分があるのでしょうね。
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近所に『るんびに幼稚園』ってあるから気になって
手に取ったら物語にもるんびに幼稚園が登場!
インドの神様の名前で全国に同じ名前の幼稚園や保育園があるみたいですね。勉強になりました(笑)
どの短編もオチがちゃんとしててなかなか面白かったです。
正直、あまり期待してなかったのでその分、さらによかった。
軽いホラーって感じかな。世にも奇妙チックでもあったかな。
他の作品も読んでみたい感じです。
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宇佐美さんのデビュー作で第1回「幽」怪談文学賞『短編部門』大賞受賞作。読みやすかった。じわーっとくる仄暗さが癖になりそうな作品。「柘榴の家」が何とも言えない結末で面白かった。「キリコ」は意表を突かれました。
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嫌な気持ちになる話が多かった。
ちょっと話がねじれているというか、奇を衒ったような内容というのか、なんかざわざわしてしまう。
嫌な気持ちになる話は嫌いじゃないけど、読後の爽やかさもほしいので星2つにしました。 -
2023/5/22
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この人の本が好きでデビュー作から読み返してみようと思っての一冊目。人智を越えた怖さと人の心の怖さとが相まって、まぁ薄暗くぞくっとする短編集だった。
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「るんびにの子供」
「柘榴の家」
「手袋」
「キリコ」
「とびだす絵本」
怪異の少ないホラー短編集。表題作は合わせ技。
話として珍しいのは、やはり表題作だろうか。怪異をそういう風に使うのかという面白い視点がある。