うさぎパン (ダ・ヴィンチブックス)

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  • / ISBN・EAN: 9784840118972

作品紹介・あらすじ

「好き」がふえていくって、しあわせなことなの?新しい学校、年上の友だち、はじめての恋。15歳の優子に降ってきた、小さなやさしい奇跡。優子ちゃんと富田くんのパン談議がかわいい。第2回ダ・ヴィンチ文学賞大賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • うさぎって、すごい!

    ペットとして人間と一緒に暮らしている動物というと
    犬と猫がダントツに多いけれど、犬が好きな人は猫のわがままを嫌ったり
    猫好きは犬の忠実さが鼻につくとけなしてみたり、と
    犬派と猫派は、「うちの子自慢」の会話の中で、意外に対立を生んだりする。
    でも、うさぎが嫌い!がまんならない!っていう人は、あんまりいないし。

    やっぱり、あのふわふわ感と、あなたのお話聞いてますよ♪とばかりに
    ぴんと立った長い耳のせいかしら、なんて思いながら電車に揺られていたら
    なんと、結婚情報誌ゼクシィの車内吊りに、うさぎさんが!
    真っ白なベールをかぶった花嫁さんの両手にすっぽりとおさまった
    うさぎのあまりの可愛らしさに目を細めて見入っていたら
    車内吊りの真下にいた女子高生に、気の毒そうな目で見られてしまいました。。。

    待って待って。 この歳で今から結婚したいだなんて
    そんなおこがましいこと、露ほども思っていませんから!
    奇跡的に結婚して、ちゃんと娘もいますから!
    と、もちろん口に出して弁解することもできず、この本をまた開いて
    おとなしく読み始めた私なのでした。

    さてさて、ふわふわ可愛いうさぎと、ほんわかおいしいパンが合体したら
    まちがいなく無敵☆ ですよね。
    ましてやそれが、大好きな男の子が、自分のためだけに試行錯誤を重ねて
    いっしょうけんめい作ってくれたうさぎパンなら、なおさら。
    厨房に山積みになっている、うさぎになり損なった失敗作の
    猫にしか見えないパンだろうと、見ようによっては熊にも見えるパンだろうと
    彼の想いごと、おなかがはち切れるまで食べてみせましょう!と言いたくなります。

    高校生になって初めて共学校デビューを果たし
    パンを通して、気になる富田くんと少しずつ少しずつ近づいていく優子。
    パンの生地がゆっくりとふくらんでいくような初恋が微笑ましい♪

    仕事一途な父が、ロンドンにさっさと単身赴任してしまったせいで
    義理の母のミドリさんとふたりで暮らす優子が
    富田くんのうさぎパンや、家庭教師の美和ちゃんがくれた
    クリスマスプレゼントのうさぎのぬいぐるみをきっかけに思い出した事実は
    ふわふわした初恋物語には不似合いなくらい重たかったけれど

    血がつながっていようと、いまいと
    誰かを好きになったぶん、切ない気持ちが増えようと
    大好きなパンが、大好きな人を遠い外国に連れていってしまおうと
    大切なひとや、大切なものが増えるのって、素敵なこと。

    やさしい気持ちになりたいとき、ゆっくりと読んでほしい
    おいしくて、やわらかな本です。

    • まろんさん
      優子を取り巻く現実には、かなり重い部分もあるのだけれど
      出てくる人たちがみんな心根の優しい人ばかりなので、
      温かい気持ちで読み終えられますよ...
      優子を取り巻く現実には、かなり重い部分もあるのだけれど
      出てくる人たちがみんな心根の優しい人ばかりなので、
      温かい気持ちで読み終えられますよね♪
      富田くんのうさぎパン、完成品はもちろん優子にプレゼント♪でいいのですが
      失敗した猫みたいのや熊みたいなのでいいから、私にも食べさせて~
      と言いたくなってしまいました(笑)
      2013/02/04
    • macamiさん
      そうそう!うさぎってかわいいですよね!
      嫌いって人、きっといないですよね。
      というわたしも大好きです。モチーフとかも
      うさぎを見つけるとつい...
      そうそう!うさぎってかわいいですよね!
      嫌いって人、きっといないですよね。
      というわたしも大好きです。モチーフとかも
      うさぎを見つけるとつい手が・・・^^

      目次のパンがすごくツボでした♪
      さわやかなまま進んでいくのかと思ったら
      びっくりなことがする~っと起こって、明かされて
      でもあまりペースを乱さず読むことができて
      不思議な感じでした。

      >大切なひとや、大切なものが増えるのって、素敵なこと

      本当ですよね♪
      2013/05/02
    • まろんさん
      macamiさん☆

      おお!やっぱりmacamiさんもうさぎモチーフには手がでてしまいますか。
      ナカマナカマ゚.+:。(ノ^∇^)ノ゚.+:...
      macamiさん☆

      おお!やっぱりmacamiさんもうさぎモチーフには手がでてしまいますか。
      ナカマナカマ゚.+:。(ノ^∇^)ノ゚.+:。ですね!

      目次に飛び交っているパン、可愛らしかったですよね♪
      かなり重たい背景を背負ってるのに、
      優子がちっとも悲劇のヒロインぶらないところがとてもよくて
      うんうん、このまま順調に初恋を育ててね♪ とおかあさん第三号(?)となって
      見守ってあげたくなってしまう本でした(*^_^*)
      2013/05/03
  • あちこちの本棚で見かけて気になっていた。
    パンやお菓子、料理(つまりは食べもの?)なんかがでてくる作品は
    それだけでとても惹かれる。
    タイトルに「パン」とついているこの本。
    それだけでわたしのアンテナはきらきらと光り、伸びていく。
    ピンクの表紙や目次にいろいろなパンを並べているところに
    ときめき度max。

    あたたかい雰囲気のなかに
    イースターエッグのように驚きが隠され、
    ひとつひとつ出会うたびに
    ページをめくる指が渇くような感覚に陥った。

    「うさぎパン」というそのやさしげなタイトルは
    「やさしげ」だけでは終わらないのだ。


    好きな男の子が作ってくれたうさぎパン。
    そんな想いとは離れるけれど、思い出したことがある。
    高校のとき、選択授業で音楽をとっていて
    手作りのもの(お菓子が中心)を持ち寄っての
    よくいえば「パーティー」みたいなものがあった。
    手作りのものはほとんど女の子担当だったのに
    (その担当は事前に相談済み)
    ホットケーキを作って持ってきてくれた男の子がいて
    グループ中で驚いた。
    みんな本人にもわかるぐらい驚いたあと
    (ごめんね←ここで言っても仕方ないけど)、
    「ありがとう」と言った。
    彼はテレながら「大したことしてないよ」みたいに笑っていたなあ。

    ゆうこたちみたいに、
    いっしょに語り合えるものがあるってステキだと思う。

    • まろんさん
      きゃ~、なんて素敵なエピソードでしょう!

      音楽の選択授業でお菓子を持ち寄ってのパーティーをすること自体素敵だし
      そこに、ホットケーキをちゃ...
      きゃ~、なんて素敵なエピソードでしょう!

      音楽の選択授業でお菓子を持ち寄ってのパーティーをすること自体素敵だし
      そこに、ホットケーキをちゃんと自分で焼いて
      持ってきてくれる男の子がいるなんて
      macamiさんは素晴らしい高校生活を送っていたんですね♪

      「イースターエッグのように」という言葉が、この本の雰囲気にぴったりで
      うんうん、さすがmacamiさん♪ とうれしくなりました。
      これからもおいしそうな本(?!)に、一緒にアンテナをきらきら光らせていきましょう!
      2013/05/03
    • macamiさん
      ☆まろんさん
      エピソードは素敵なのですが(自分で言ってスミマセン)・・・

      わたしの通った高校はものすごーく厳しくて
      (生活指導に関して命を...
      ☆まろんさん
      エピソードは素敵なのですが(自分で言ってスミマセン)・・・

      わたしの通った高校はものすごーく厳しくて
      (生活指導に関して命をかけていた先生がいたのです)
      縮こまって過ごしていた感じです。あとで思うと。
      そんなわけで高校生活に、いい思い出ってほとんどないんです。(苦笑)

      その音楽の先生には、そんなバカみたいな校風に反発したい気持ちがあって
      こっそりとそのパーティーもどきをしたわけでした。(笑)
      食べ物を持ち寄ってだのパーティーだの、バレたら
      大変でしたから。
      なので、まろんさんの高校のように
      とっても自由な感じのところにすごく惹かれます。

      そういえばそのホットケーキはバターをぬって切って
      それぞれの分として包んでありました。
      なぜそこで恋に落ちなかった?と今更不思議です。(笑)
      2013/05/09
  • さらっと読めるお話。
    ちょっとファンタジーありの、高校生のお話。
    内容はあまり深くはないけど、家庭環境は複雑だけど、温かい話かな。

  • 購入して読んだあと、長年本棚にあったうちの1冊。
    「旧い本を、ちゃんと1回読んでから少しずつ断捨離しよう」計画を始めたので読んでみた。

    断捨離3

  • 主人公は、パンが大好きな優子
    育ての母・”ミドリさん”と仲良く暮らしている。

    亡くなった生みの母を”聡子”と称する優子には驚きました。
    母親の記憶がほとんど無いからといっても…。

    と読んでいたら、突如出現した母・聡子。
    真実をどうしても伝えたかったんでしょうね。
    ミドリさん、いいお母さん。
    血がつながりの有無なんて関係ないのかもね。

    そして家庭教師の美和がくれた「うさぎのぬいぐるみ」
    優子の宝物だったぬいぐるみ。
    うさぎパンの記憶とともによみがえる母・聡子の愛にほろり。
    その”幸せのうさぎ”はきっと聡子からの贈り物。


    それにしても、優子と富田の恋が微笑ましくてね~。
    二人のパン屋さんめぐりが、なんともかわいくてたまりませんでした。

    なんとなく気になる男子が、特別な存在に変わっていく瞬間のきらめき。
    同じ教室に好きな男の子がいるだけで、
    学校に行くのが楽しかったなぁ。

    あの頃のくすぐったいときめきを思い出して
    胸がきゅんとしました。

    • あいさん
      こんにちは(^-^)/

      私も読んでいます(*^^*)♪
      ほんわか懐かしい香りと懐かしい恋心を思い出す作品だよね。
      あんな時代もあ...
      こんにちは(^-^)/

      私も読んでいます(*^^*)♪
      ほんわか懐かしい香りと懐かしい恋心を思い出す作品だよね。
      あんな時代もあったねと〜♪
      私にはちょっと可愛すぎて星3つだけど、とても心に残るいい作品だったよ。

      杜のうさこさんは単行本を読んだのかな?
      文庫の方には続編が入っているよ。
      主人公の二人は出てこないけど、美和が少し出てくるよ。
      私はそっちの話の方が好きでした。

      また共読が増えて嬉しいです٩(๑˃̵ᴗ˂̵๑)۶

      2016/01/15
    • 杜のうさこさん
      けいたんさん、こんばんは~♪

      ホントそうだよね~。
      ほんわかして良かったよね~。

      昨日ね、レビュー書いてから、けいたんさん探し...
      けいたんさん、こんばんは~♪

      ホントそうだよね~。
      ほんわかして良かったよね~。

      昨日ね、レビュー書いてから、けいたんさん探したんだよ~。
      『うさぎパン』だから絶対けいたんさんも読んでいるはずだと思って。

      でも最後まで読んでもみつからない。
      おかしいなぁと、本棚で探しちゃった。
      もはやストーカーだね(笑)

      そしたら文庫で、おまけに8月にいいね!してあった(#^^#)
      『はちみつ』だったよね。読みた~い!

      元々うさちゃんが好きで、このネームにしたんだけど、
      最近ますます親近感いっぱいで(笑)
      書店や図書館でも、すぐ目に飛び込んでくるの。
      この本でも美和がぬいぐるみを「うさこ」って言ってて、
      どきっ!っとしたりして。あはは。

      ところで「うさぎパン」ってあんまりみかけないけど、
      あっても食べられない気がする。
      動物の形したお菓子ってかわいいけど、かじるのに勇気いるよね(*^-^*)
      2016/01/15
  • やわらかい甘いパンだな
    ふわふわとお菓子代わりに読める本です。

    これは神戸じゃないか?と思って、奥書を見たら兵庫出身でやっぱりそうかとなりました。
    なので、ゆうこが「かたくて甘くないパン」を好きというところ、めっちゃ共感。

    東京はおいしいパン屋さんがないとまでは言わないけれど、
    全体的にやわらかいのが主流なんだよね。
    そしてむやみにブランド志向だったり、チェーン店ばっかりだったりで、町の地元のおいしいパン屋さんって感じのがほんと少なくて、はじめはすごい不満に思っていました。
    人口当たりのパン屋さんの数も少ないし。

    高校のとき、わたしは女友達とだけど学校帰りにパン屋さんに寄り道して公園で食べたりしてました。
    お気に入りのパン屋さん、いくつもあったなぁ。
    もう少し大人になってからだけど、大阪や京都までパン買いに行ったこともあります。

    富田くんのようなパン男子に出会えなかったことがなんだか心残りです。

    • 円軌道の外さん

      お気に入りポチありがとうございました(^O^)

      この本お腹が鳴りますよね(笑)


      自分は小学校時代は
      あのパサパサ感...

      お気に入りポチありがとうございました(^O^)

      この本お腹が鳴りますよね(笑)


      自分は小学校時代は
      あのパサパサ感が嫌で
      パン苦手やったけど、
      大人になって
      神戸や西宮の美味いパンをいろいろ知ったからか
      何故か好きになってました(笑)


      今じゃ練習で走ってる時でも
      新しいパン屋発見したら
      必ずチェックしに行くくらい
      パンにハマってます(^_^;)



      余談ですがジブリの作品に出てくるパンも
      めちゃくちゃ美味そうに見えますよね(笑)

      2013/02/10
    • tiaraさん
      こちらこそありがとうございます!

      わたしもパン大好きです。
      神戸や西宮はほんとにおいしいパン屋さん多いですよね。
      実家に帰るとつい食べ過ぎ...
      こちらこそありがとうございます!

      わたしもパン大好きです。
      神戸や西宮はほんとにおいしいパン屋さん多いですよね。
      実家に帰るとつい食べ過ぎてしまいます。

      ジブリも分かります~!
      キキのパン屋といい、ラピュタの目玉焼きトーストといい(何で目玉焼きだけ先に食べるんでしょうね?)

      これからもよろしくお願いします。
      素敵なレビュー楽しみにしてます。
      2013/02/10
  • 高校一年生の優子とその家庭教師の美和、そしてボーイフレンドたちを描いた日常の話。
    他愛のない内容だけど、優しい。
    パンの描写がおいしそう。
    とても読みやすくてサクッと数時間で読み終えれた。

  • 表紙が ほんわかカラフルで。

    高校生・優子の日常。
    家庭教師の美和さん、友達、好きな男の子とのやりとり。
    なんか いいなぁ。


    幼少期に母親の聡子が亡き後、ミドリさんが後妻になって。
    ラストにわかった出生の秘密が
    なんだか 複雑なのに 切ないような。


    パンが大好きな優子。
    大切な人に作ってもらう うさぎパン。
    読み終わったあとに タイトルに余韻を感じつつ。

  • ほんわか、じんわりくるな~
    パンが好きな主人公が忘れてたとても大切な記憶。
    うさぎパンの思い出に込められた二人の母の愛情。主人公はとても深く愛されてきた。
    そして最後に明かされるやさしい嘘の真実。
    瀧羽さんの本は初めてだったのですが、すっごいやわらかい。漢字ではなくひらがなで、『やわらかい』と言う言葉がぴったりだ。

    幽霊という存在は信じてないけど、こういう現象がもしあるとしたら。。。良いかも。。。

  • 読み始めは大したことない作品だなあと思いながらも、途中からの急な展開で思わずホロリとさせられた。良質のミステリ並みの、それとは思わせぬ伏線と意表をつくプロットに降参。

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著者プロフィール

1981年、兵庫県生まれ。京都大学卒業。2007年、『うさぎパン』で第2回ダ・ヴィンチ文学賞大賞を受賞し、デビュー。
著書に『ふたり姉妹』(祥伝社文庫)のほか、『ありえないほどうるさいオルゴール店』『女神のサラダ』『もどかしいほど静かなオルゴール店』『博士の長靴』『ひこぼしをみあげて』など多数。

「2023年 『あなたのご希望の条件は』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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