吉野北高校図書委員会2 委員長の初恋 (MF文庫 ダ・ヴィンチ や 1-2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784840127011

感想・レビュー・書評

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  • 冒頭───

    がたんと、少し立て付けの悪いドアを開けると、デスクで仕事をしていたらしい、司書の牧田先生が振り向いて「いらっしゃい」と微笑んだ。
    「今日も寒いですねぇ」
    「そうやねぇ。まだまだひえるねぇ」
    「------まだ、誰も?」
    「そう、今日も岸本君が一番やね」
    マフラーやコートを脱ぎながら、牧田先生とそんなやり取りをして、僕はいつもの事務椅子に腰掛けた。僕が鞄から文庫本を一冊取り出すと、先生もこちらに背を向け、作業を再開した。僕に理科部がない日はいつもこんな感じだ。

    第三回ダ・ヴィンチ文学賞編集長特別賞を受賞した「吉野北高校図書委員会」の第二弾。
    今回は委員長である岸本一、通称ワンちゃんの微笑ましい恋物語と藤枝君の進路をめぐるお話。
    相変わらず、図書委員たちと司書の牧田先生の関係性が心地よい。
    堅物だった委員長にも、人を恋するという感覚が芽生え始める。
    現代の高校生の話としては、うぶすぎるような気もするが。
    でも、僕の時代はこんなもんだったよな、と遥か昔を思う。
    ただし、高校生の青春もののレビューを書くたびに言い続けているが、僕は男子校だったので、学校内での恋愛話には全く実感が湧かない。
    せいぜい秋に行われる女子高の文化祭訪問ぐらいが、恋愛への微かな期待に胸躍らせる日々だったのだから。
    恋の産湯にさえ浸かることのできない男子高校生。
    実際には、キャンディーズとか岡田奈々とか、リアルな恋人にはなりえないアイドルたちに仄かな恋心を抱くのが関の山だったのだ、悲しいことに------。

    だから、この純粋すぎるほどの生徒たちの恋物語を読むと、素直に憧れるわけだ。
    共学の高校という世界に。

    「好きです。僕と付き合ってくれませんか?」
    なんて台詞、一度も言ったことないもんな。
    いやいやそれどころか、出会いのチャンスなど殆どなく、好きな女の子さえ存在しなかったのだから。
    あの時代に、僕の県の高校が男女別学ではなく共学だったら、どんな高校生活を送っていたんだろう。
    もし高校時代に恋人でもできていたら、東京に行こうなんて思わなかったかもしれないな。
    そうなると、その後の人生も今とは全く異なるものになっていたはずだ。
    なーんてことをこういった甘酸っぱい青春恋愛小説を読むにつけ、一人しみじみと昔を振り返るわけであります。

    でも、その割には結構楽しかった高校生活だったような気もする。
    受験勉強と男臭い野球部の部活だけの毎日だったのに。
    不思議なものだ。

  • ワンちゃんの初恋!(笑)
    不器用や!不器用な男や!と心で突っ込みながら読んでいました。
    あと、進路というか、心の軸についても考えさせられる話でした。
    自分と比べると性格が違うワンちゃんを見ていると、友人を見ているみたいで何とももどかしかった。
    こういう友人一人はいる…。

  • 先生に恋してしまう委員長。一喜一憂する姿がきらきらしています。先生のギャップも吃驚。前も読んでいて思うのが、周りをしっかり見て把握しているところを見習いたいと強く思います。

  • ワンちゃんと藤枝くん中心のお話でした。
    人に少し口出されただけで進路に迷いが生じるワンちゃんの気持ちはすごくわかります。でも、その意見にフラフラせず自分の意思を最後は突き通すところはよかったです。
    ワンちゃんはもう少し自信を持てばいいのに。ワンちゃんの恋の行方が気になります。
    藤枝くんも頑張ってほしいですね。
    あまりの甘酸っぱさに猛烈に応援したくなります。

  • ワンちゃん目線でも読みたいなーと思っていたら、きたきた。
    図書委員会がいちばん熱いワックスがけを巡るあれこれと、
    ワンちゃんの恋ですよ。初恋ですよ。

    進路で悩んで、なんとなく成り行き任せであれこれ心が定まらず
    自分がやりたいことがわからない気持ち
    そうだったなーと懐かしく思い出します。
    私は、完全に放任されてたので悩んで自分で決めたけど
    むしろ牧田先生に近い。
    悩み迷い道をひらけ若者よ。

    図書委員会の人間関係がほんとにいいな。
    ワンちゃんがみんなに頼られて好かれるキャラなのが
    行間からあふれ出てる。
    この話自体がすごくやさしい。

    藤枝くんもピュアでかわいいなぁ。
    どんどん彼らに親しみを覚えてきてしまいます。

  • 前作同様、これぞ青春!を感じました。私もこの仲間に入りたい、切実に。目の前の嫌なことから"逃げない勇気"も教えてもらった気がします。

  • 戸惑ったり、悩んだりしながらも、素直ないい子たち。大きな山もなくサラッと読めてしまうけど、前向きなところに好感を感じた。頑張れ、ワンちゃん。

  • 告白ってする側の話はフォーカスされやすいけど、される側が迷惑って話はあまり無いよね。気持ち押し付けられても困ると思うけど。そうか、そう思われないように仕向ける努力をするってことか。

  • 牧田先生の「似合わないことをしてみるんもええかもしれんね?」という言葉にぐっときた。

  • 今度は委員長ことワンちゃんの話。高校生って前半は楽しい分、後半になるとこれから独り立ちする為の準備期間に入る。これからどうしたいか進路について悩んで葛藤する時期。高校生のうちに目標がある人はかっこよくて輝いて見えたのを思い出す。まずは好きなもの、夢中になれるものから考える…私は高校生のときはスポーツのことに夢中だったけど、今は小さい頃からすきな本の世界で働く為に真っ直ぐに前を向いて進むことが出来ている。見つけるには時間がかかってしまったけど好きなこと、目標を見つけると実現へのパワーが自分の中で湧いた。

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