- Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
- / ISBN・EAN: 9784840130653
感想・レビュー・書評
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著者は書評家として知られる人だが、本書は書評集ではなく、さまざまな著名人の「ビンボー話」を集めた雑学エッセイ集。
「貧困本」ブームに便乗した一冊なのだろうが、社会派な視点は絶無。軽いノリでビンボー話を愉しもう、という感じの本だ。
登場する古今の著名人や関係者を直接取材したわけではなく、分野を問わない著作からの膨大な引用で成り立っている。その合間に、著者の文章をちょこちょこっと入れていくだけ。申しわけ程度に著者自身の学生時代のビンボー話も書かれているが、基本は引用本。すなわち、「人のフンドシで相撲をとった本」である。
まあ、お手軽な作りの本ではある。
とはいえ、くさす気にはなれない。というのも、私自身もこの手の本を(ゴーストの形で)たくさん書いてきたから、傍目で見るよりもずっと書くのに手間ヒマがかかるということを、身にしみて知っているからだ。
そもそも、これだけの分量の「ビンボー・エビソード」を集めるだけでも、たいへんな労力だったはず。
そつなく手際よくまとめられているし、著者のセンスで取捨選択された「ビンボー・エビソード」の数々を愉しむだけでも、価格分の価値は十分にある。
笑った一節、感銘を受けた一節をいくつか孫引きしてみる。
マンガ家の石坂啓は、20代前半のド貧乏時代、「引っ越しにお金がかけられないと、妹の部屋からふとんをかついで、電車に乗った」。「シーツでくくったふとんには、ナベやおタマが突っ込んであった」という。
良家のお嬢様育ちのような印象がある吉永小百合は、じつは小学生時代、父親の事業の失敗から貧乏のどん底を経験していた。少女時代に芸能界を目指したのも、苦しい家計を助けるためだった。
少女時代から青春期にかけて貧乏のどん底を経験した西原理恵子が、著書『この世でいちばん大事な「カネ」の話』に記した一節――。
《「どうしたら夢がかなうか?」って考えると、ぜんぶを諦めてしまいそうになるけど、そうじゃなくって、「どうしたらそれで稼げるか?」って考えてごらん。
そうすると、必ず次の一手が見えてくるものなんだよ。》
古今亭志ん生の名言――。
「貧乏なんてするもんじゃありません。貧乏は味わうものですな……」詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
貧乏でも楽しく生きることはできる。ユーモアあふれる貧乏生活から、痛快・豪快なエピソード、庶民パワーが炸裂する「生活の知恵」など、古今の大人物から市井の人から学ぶ本。頼りなく豊かになったこの国で、たくましく生きるための本。ホームレス俳優の天本英世や、モテモテ貧乏詩人金子光晴らのユーモアあふれるエピソードから、「パンの耳」などの貧乏レシピ、「四畳半」でも楽しく暮らす庶民の姿、大金持ちから一転、借金&極貧になってもくじけない男と女のお話などバラエティ豊かに展開する。(アマゾン紹介文)
書き下ろしにしては構成的な個所でチグハグな感じが…。
内容自体は面白かったんだけど、所どころに含まれる啓蒙的な文章はいらんかったかな。 -
TVで時々「ボンビーガール」を見ています。明るく楽しく前向きに暮らしている姿に好感を得ています。ボーイだと貧乏くさくなりそうですが、ガールはボンビーですね(^-^) 岡崎武志氏の「あなたより貧乏な人」(2009.10)、有名人のエピソードを交えながら語ったエッセイです。貧乏くさいのはみじめだが「ビンボー」は一つの境地。貧乏は笑えないが「ビンボー」なら笑える。「ビンボー」は「思想」であり「ファッション」。そして、貧乏はするものじゃなくて味わうものだそうですw。究極の姿は、森茉莉の「贅沢貧乏」でしょうかw!
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貧乏だけど貧乏くさくがない。貧乏を楽しんでいる人たち。
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そんなに物質的には豊かにならくてもいいのかも。
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経済感覚が無くての貧乏が多い気もするが、心まで貧しくならずに名を後世に残した者たちの列伝。
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びんぼうは美しい!と思ってしまった。
常々自分の好みがしみったれた方向に向かっているのは自覚しているが、本書との出会いで私は更にしみったれた方向に向かっていくんじゃなかろうかと危惧している(女なのに…)
4畳半、何もない部屋。最高に憧れる。
ただ借銭だけは出来ぬように思う。気が小さいので。 -
気分転換と資料としてのおもしろさ
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この本に書いてある貧乏は、自発的貧乏。
がんばっても貧乏ではなく、ただ貧乏なだけ!
一般的な自由業(物書きなど)であるので、
努力しても金が入るとは限らない。
タイトルで読んだが、ちと違う。
この本に書かれた人も浮世離れしているが、
この本を書いた人も浮世離れしていると思う。
でも、一つだけ、「持たない自由」これは、確かにそう!確実だ!
ト、2010.1.30-1.31