怪談短歌入門 怖いお話、うたいましょう (幽BOOKS)
- メディアファクトリー (2013年9月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (173ページ)
- / ISBN・EAN: 9784840154291
作品紹介・あらすじ
twitterでさえずられた「怖い短歌」を三人の女性歌人が語りつくす!
感想・レビュー・書評
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twitterの怪談短歌コンテスト優秀作品とその選評。ほんの短い言葉の中で表されるさまざまな恐怖を、少しずつじっくりと味わうのにふさわしい一冊です。あまりあからさまでなく見えそうで見えない情景、もツボかも。
お気に入りの句は「ひたひたひた」だなあ。ものすごく単純なのにものすごく怖い! あと、「宝くじ」も好き。これはユーモラスでもあるし。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
絶え間なくうごくマスクの奥に口ほんたうにいい一生だつた
山川藍天
今年は「怪談短歌」が話題を集めた。ネーミングは最近のものだが、たとえば近代にも、どこか不気味な、ひんやりした静かさを感じさせる歌はあった。
めん鶏ら砂あび居たれひつそりと剃刀研人【かみそりとぎ】は過ぎ行きにけり
斎藤茂吉
そんな幻想的な「怖い」短歌を、怪談雑誌がイベントとして募ったところ、1600首以上もの投稿があったという。今をときめく「怪談短歌三姉妹」が選をした合評記録も本になり、興味深く読んだ。
「三姉妹」の1人、東直子が選んだ歌の中より。
南瓜の切らるる前にくぅと泣くあれは友達だったのだろうか
込宮 宴
佐藤弓生が選んだ歌から一首。
木が風を作り出そうと揺れ始む 散歩をしてはいけない夜だ
堀まり彗
どちらとも、擬人化の手法で歌われている。「南瓜」や「木」を、意思ある人間のようにとらえた瞬間、読者の想像力がかきたてられるのだ。意識していなかったものがふいに視野に入ってくることで、感性が揺さぶられるのだろう。
掲出歌は、石川美南が選んだ歌より。「マスクの奥」に当然「口」はあるのだが、言われて初めて「口」の映像が迫ってくる。そこで発せられたのも、不穏な言葉や呪いではなく、「ほんたうにいい一生だつた」という歴史的仮名遣いでのつぶやき。彼岸を渡る間際の声のようで、物語性が濃厚だ。
怪談短歌は、生を思いがけない角度から喚起させるところが魅力かもしれない。
(2013年12月15日掲載)
年内はこれで終了です。また来年、引き続き書かせていただきます! -
図書館で見つけて、タイトルが気になって読んでみました。さらっと読んだだけで熟読はしてないですが、印象に残ったものをいくつか。
「鈴ほどの背丈になったわが母がかじった場所から腐ってゆきます」
「ぼくのためだといいながら涙するママはきれいだどんな人より」
「ふつふつと刺されることを受け入れてピンクッションは形を変える」
ぼんやりと恐怖感を刺激されます。 -
短い故にもやもやじわじわとぞくぞく。
「怖い俳句」も読まねば! -
Twitter怪談短歌コンテスト(2012、13年)の入選作と講評・座談会を収録。短歌+掌編小説の構成による「うたう百物語」はやや冗長に思え、「怖い俳句」の紹介作品と比べて怖い短歌には迫力が薄いのではないかと感じていたが、本作に紹介された上位入賞作を見ると、短歌というスタイルでもなかなか味わいのある怖さが表現できるものだと感じた。末尾に紹介されている中井英夫「黒衣の短歌史」を読んでみたい。
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短歌は穂村さん関係でしか馴染みがないけど何かで怪談短歌を知って本書を借りた。初心者には短歌の量もほどよいし、解説もあるので読みやすかった。怪談短歌のちょっと不気味な感じが気に入った。
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試みとしては面白かったです。東さん、ふっくらされました?☺︎短歌でゾワッとするのもいいけれど、やっぱり怪談は物語が好きσ(^-^;)
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怪談短歌から、怖さとは何かを考えた。「南瓜の切らるる前にくぅと泣くあれは友達だったのだろうか」「厠から仏間にかけてぴちゃぴちゃとのたうつ金魚の一列縦隊」