冥王と獣のダンス (電撃文庫 か 7-10)

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  • メディアワークス
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784840215978

作品紹介・あらすじ

僕はバード・リスキィ。僕が生きているのは、奇蹟軍と枢機軍が果てのない戦争をいつまでも続けている世界。特殊能力者"奇蹟使い"である僕と妹のアノーはこの愚かな時代を変えるべくある計画を実行したが、それは僕らの予測を超え、戦場で敵同士として出会った若者と少女の数奇な運命を導くことになる。少女の名は夢幻。彼女は十七歳の戦略兵器。そして若者は報われぬ一兵士に過ぎなかったが、実は彼、トモル・アドこそが僕らの戦争世界の運命を握っていたのだった。-これは戦い殺しあい、出会ってすれ違う人々と夢をなくした機械達の叙事詩。悪夢と未来を巡るこの凄絶な舞踏会から、僕らは逃れることができるのか…。

感想・レビュー・書評

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  • ナイトウォッチシリーズを再読したのでこちらも。人類が宇宙進出に失敗した後、地球で起きていた物語。機械を使う枢機軍と、特殊能力を持つ人類を抱えた奇蹟軍が戦争を続けている世界を舞台に描かれるボーイミーツガール。敵同士で出会ってしまったトモルと夢幻の切なさと、恋に焦がれる描写が楽しい。共に相手を意識していながら素直になれない感じが戦場という舞台と面白いギャップを生んでいる。トモルのロボットアニメの主人公的なまっすぐな行動もカッコよかった。そりゃみんな惚れるよなと(笑)

    主人公二人を主軸にしつつ、スポットライトが当たる他のキャラたちも魅力的。特にリスキイ兄妹が素敵だったね。この硬直した世界を動かそうとした立役者。最初は軽薄そうな印象だったけど、トモルと行動する内に世界を変えようとする意志とトモルへの忠誠がどんどん固まっていったのが熱い。妹のアノーのトモルへの想いも切なくてよかった。

    奇蹟という特殊能力を使ったバトルもド派手で楽しい。天とか地とか根こそぎとか、わかりやすい能力なのもよかった。こういう能力を平和のために使えたとしたらどれだけよかったことか。

    もっと続きが読みたくなる物語と世界観だったけど、戦争ものではなくボーイミーツガールと考えたらこの落としどころは頷ける。その後をいろいろ想像したくなるラストだった。上遠野先生は壮大な世界観の中で動く人間模様へのピントの合わせ方が本当に上手い。

  • 中学時代に読んで衝撃を受けた作品。ふと思い出したので再読してみたんですが、いやあ中々面白かったです。世界を救うのは一目惚れした男女。王道のボーイミーツガールものですが、こういう作品大好きだったなと、なんだか懐かしい気持ちになりました。

    あと当時も思ったんですが、話としてはまだまだ続けられる余地ありそうですし続篇読みたかったですね。もう無理なんでしょうけど。

  • SFモノなので想像は必要だが面白かった。恋は盲目という言葉が良く似合う小説だった。展開は大雑把な部分が多いがそれでも不満はあまりなく、余分なところを上手いこと省いている印象を受けた。だからこそ満足度もそれなりにあるのだろう。ただ、勘違いに勘違いを重ねた結果こうなったという結果も否めない。しかし、戦争中なら恋という感情を出すことは難しいのかもしれない。

  • SFとボーイ・ミーツ・ガールをかけ合わせた感じ。
    色々とあって人類が2つの陣営に分かれて戦っているのだけれども、主人公がある日敵側にいるヒロインに戦場であって一目惚れ、で、その後に偶然にも再び再開、というよくある舞台設定。
    主人公側の陣営の偉い人が馬鹿すぎないかとか色々と思うところはあるが、王道展開のSF的なラブコメで、面白く読める作品であった。

  • 特殊能力の使い手たちを擁する「奇蹟軍」と、科学の力にもとづく機械化部隊で対抗する「枢機軍」とのあいだで、長年にわたり戦争がつづいている世界の物語です。

    枢機軍の若き兵士であるトモル・アドは、戦場で奇蹟の使い手である夢幻という少女に出会います。二人は、心では再会を求めながらも、戦いによってへだてられており、その願いは容易にはかないません。そんななか、奇蹟軍のリスキィ兄妹が、枢機軍に投降するという事件が起こります。リスキィ兄妹の意図を測りかねた枢機軍は、トモルを指揮官として兄妹を辺境の地に送り込み、戦場での二人の行動を見て、今後の対応を考えることにします。

    リスキィ兄妹が投降した理由は、二人がトモルのかくされた能力に気づいたからでした。トモルは、自分でもしらない能力によって数々の苦境を乗り越えていきますが、やがて奇蹟軍から夢幻が彼らのもとに現われ、戦いがはじまります。

    夢幻、リスキィ妹、ミルトの三人のヒロインが登場するのですが、一冊で完結するコンパクトな物語のため、メイン・ヒロインである夢幻の登場する場面が比較的すくなくなってしまっているのは、すこし残念に感じました。古典的なボーイ・ミーツ・ガールもので、ストーリーの構成自体はととのっており、その点ではストレスを感じることなくたのしんで読むことができたように思います。

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    冥王と獣のダンス



    電撃文庫 か-7-10 .

    著者:上遠野浩平(かどの こうへい)
    イラスト:緒方剛志(おがた こうじ)

    発行所:株式会社メディアワークス
    発売元:株式会社角川書店

    200年8月25日 初版発行

  • 極限状態に於けるボーイミーツガール。
    それはラノベの基本なのかも知れない。何をもって極限状態とするのかが作品の個性となる。
    虐げられた学校生活、魔法の世界に転生する、ゲームの世界に閉じ込められる。
    そして能力者による未来戦争のど真ん中がこの作品。

  • 再読。敵対する組織に属してた男女が惹かれ合うボーイミーツガール物語(と書くとラブストーリーのようだけど、能力バトル物が主です)。

    ブギーポップの外伝"ヴァルプルギスの後悔"とも多少の関連があるようで、最近読んだので前以上に楽しめました。

    最後がどうなったのかが読者の想像に任されているけど、個人的にはバットエンドだったのではと思ったりします

  • 一目惚れと異能と戦争の話。異能バトルもの好きには堪らない。ストーリーの流れは王道だが王道だからこそ壮大ながらもシンプルでカタルシスも得られる。トモルや夢幻も良いキャラクタだがリスキィ兄妹が好き。なのでショートヘアと描写されているアノーが挿絵ではロングヘアになっていることがちょっと残念。クリフハンガーのような締め方だったので気になって調べたところ続編に「闘神と蠍のフーガ」「叛乱と霰のワルツ」が用意されているという情報を得たが本作品から既に12年以上が経過している今、続編が出る可能性はあるのだろうか・・・。

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著者プロフィール

第4回電撃ゲーム小説大賞〈大賞〉受賞。『ブギーポップは笑わない』ほかシリーズ著作多数。

「2019年 『ブギーポップ・オールマイティ ディジーがリジーを想うとき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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