キノの旅 (5) the Beautiful World (電撃文庫)
- KADOKAWA/アスキー・メディアワークス (2002年1月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784840220132
作品紹介・あらすじ
そう-。この世界は美しく、そして輝いている。ボクの心を落ち着かせ、なごませてくれる。辛いことを忘れさせてくれる。それが、ボクの心がおかしくて、狂っていて、壊れていることの証明だとしても…。それでもボクは、そう思えることを幸せに思う。思える今を大切に思う。さあ-。ボクはこれからもこれを見続けよう。ボク以外の世界中の人が、これを美しくないと吐き捨てても。そう思うことが、これ以上ないほどの間違いだとしても。ボクが、これを美しいと思うかぎり。人間キノと言葉を話す二輪車エルメスの旅の話。短編連作の形で綴られる、大人気新感覚ノベル第5弾。
感想・レビュー・書評
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箸休めには最高。淡々として簡素な文章は読みやすいし、短編ひとつひとつの主題も分かりやすい。自己完結するのではなく、結論を読者に委ねる形なのも、相変わらずバランスが良くて好き。
「英雄達の国」の、物語としての説明が一切ないシンプルな戦闘描写はこれぞキノの旅!という感じ。後でちゃんと説明してもらえることが分かってるからこそ楽しめる。
どの国も変な方向に振り切れちゃってるけど、現実はそうもいかないから複雑なんだよなあ、とこのシリーズを読むたびに思います。
■夕日の中で・b
■あの時のこと
■人を殺すことができる国
■店の話
■英雄達の国-No Hero-
■英雄達の国-Seven Heroes-
■のどかな国
■予言の国
■用心棒
■塩の平原の話
■病気の国
■夕日の中で・a詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
このペースが好きだから飽きない。
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人を呪わば穴ふたつ... ってことかな。
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注:残酷・暴力的な描写が(少ないが)あるので、学校図書として置くかどうかは慎重に(例:人間の頭部に銃弾が当たり、顎から上だけが吹っ飛ぶ、脳が飛び散る等)
内容:
「「ひとつの国に滞在するのは3日間」というルールで様々な国を訪れる旅人キノと、その相棒で言葉を話す二輪車のエルメス。キノたちが訪れる国は個性豊な人たちが暮らし、キノと様々な形で出会い、そして別れていく。」
ベストセレクション、コミック・アニメもあり。
第5巻
「美しいと思うから 美しいと思う」-Have I Ever Seen the Beautiful World?-
発売日:2002年1月25日
登場人物:キノとエルメス、シズと陸、師匠と弟子
目次
●プロローグ「夕日の中で・b」
●第一話「あの時のこと」
●第二話「人を殺すことができる国」
●第三話「店の話」
●第四話「英雄達の国 -No Hero-」
●第五話「英雄達の国 -Seven Heroes-」
●第六話「のどかな国」(シズのお話)
●第七話「予言の国」
●第八話「用心棒」(師匠のお話)
●第九話「塩の平原の話」
●第十話「病気の国」
●エピローグ「夕日の中で・a」
●あとがき -
連続で読むと、キノが段々とドライさを増していく印象がある。少ーしだけ感情というか人間味が窺える初期が好み…気のせいかもしれないけど。
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作品のなかで、いく先々で「旅人さん」とよばれる旅行者は、たぶん放浪者だ。王子だったシズのプロフィールが、この巻(前までの巻を読んでね)までにある程度わかっているけれど、途中で入れ替わりのあったキノは、旅人になろうとして旅人になっている。つまるところ今あったところを捨て、旅にでる。旅にでるための代償は小さくはない。そして、旅にでる、ということは、当面の目的にはなっても、目的の最終地点ではない。だが、自分探しというほど簡単でもなさそうだ。物語は読みやすいが、積み重なってだんだんと輪郭がひととおりの話ではないのだ、とわかってくる。キノが、旅の途中で立ち寄る国や、出会う人もユニークという以上にどこか生々しさを感じることがある。
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2020.3.22 読了
相変わらずのキノの旅の話。 -
キノのドライな性格がいいですよね。
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第2話「人を殺すことができる国」は、堅苦しい言い方をすれば、リアリズムの観点から見た平和を描いた話だと言えるかもしれません。結論はなく、読者に対する問いかけだけがぽつんと置かれているようで、もっともこのシリーズらしい一編だと思います。
第4話と第5話は、どちらも「英雄達の国」というタイトルになっています。偉大な「英雄」達の物語を記憶する国と、そんな故国に帰ることができなかった「英雄」の姿を描いています。
第9話「塩の平原の話」は、少し説教臭さが強いように感じましたが、本巻はどちらかというとこういうテイストの話は少なく、結論の出ないような悲哀を湛えたエピソードが多いような気がします。 -
あとがきがウケる。
自称キノから作者に電話が来る話。「離岸流、かな?」が最高 -
キノの旅、第五弾。秀逸な話「人を殺すことができる国」「予言の国」「病気の国」
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『美しいと思うから 美しいと思う』
全体的に普通だったが
「用心棒」だけが頭に残る。 -
死と隣り合わせ・・・
でも、淡々と旅を続ける。
人を信用しすぎない、
でも、人間不信とも違う。
最後のエピソード、開拓者が実は人体実験の犠牲になっていた話がとくに印象に残った。 -
命を取ってしまえば手っ取り早い。
私たちは日本にいるからその手段を取ろうとはしないことが多いのだけど、この世界ではそんなことはなく、面倒なら殺してしまえな思考はよくあることみたいだ。
しかし、命を取ろうとするものは、また取られることも覚悟せねばならぬのです。
まあ、覚悟しようとしまいと、どこにいようとも、取られるときは取られるけど。 -
旅がしたい。でもできない。そんな人にオススメの一冊。 考え方の違い、文化の違い、何かのために生きる。そんなこと旅人の前では「はい。そうですか」の一言で終わり、旅人はそれを伝える役目をしているのかもしれない。 あちらが良くてこちらが悪い。そういうものではなく、自分の捉え方次第で善し悪しが決まってくるのだと思う。 オススメの話は「人を殺すことができる国」まさしく前述したことを体現している。
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おもしろいけど、かなり無情な話もちらほらある。病気の女の子の話とか惨すぎるでしょ。普通に男の子にお守りを渡して終わりにもできたのにあえてああいう話にもってくあたり作者意地が悪い。
干渉しない、だから基本的に人助けもしない、キノの徹底したスタンスが好き。旅を続けるために自分の身を守ることを最優先にしているところがいい -
あの時の事。
人を殺すことができる国。
店の話。
英雄達の国。
英雄達の国。
のどかな国。
預言の国。
用心棒。
塩の平原の話。
病気の国。
あの時、がどの時なのか分かりません。
今までだったのか、今からなのか。
人を殺す事ができる、と言われたら
そちらだと思うのは確かです。
しかし実態は…という、平和を愛するなら
ものすごく暮らしやすそうな国。
そしてぽっかりとした場所に、な店は
取り扱っているものが特殊すぎ、です。
これは確実に、今のご近所(?)を維持して下さい。
英雄達の国はなぜ2話あるのかと思ったら
驚きと言うか、なるほどな順番。
あちらこちらに疑問がありましたが
後半(?)を読んですっきり。
という事は、11年経って、という事でしょうか?
なぜ半年で帰路につかなかったのか、疑問です。
のどかな国に訪れたのは、彼ら。
永住はちょっとお断り、という問題な国。
あれ以外は、ものすごくいい感じなのですが。
預言の国は、中も外もそれでいいのか?! と
聞きたくなる預言です。
ものすごく踊らされている現状に
誰も疑問を抱かないとか、恐ろしい。
用心棒は、あれ? な落ちが。
女の子は、単に世の中ななめに見たいお年頃?
塩の平原は欲がつっぱりまくってます。
そんな親の子供ですから、当然…。
病気の国は、ちょっと最後が。
話はいいのですが…実験。
さすがにそれは怖いというか恐ろしいというか。
それに許可を与えた国も恐ろしい。