半分の月がのぼる空〈4〉 grabbing at the half-moon (電撃文庫)

著者 :
  • アスキー・メディアワークス
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784840229364

作品紹介・あらすじ

里香の手術が終わった。手術直後、主治医夏目の口から放たれた言葉に、僕は戸惑う。そして訪れたのは、生ぬるい日常だった。あまりにも当たり前で、捉えようのない日々。戸惑う僕に、新たな現実が迫ってくる。もう里香には会うな、邪魔なんだよ、おまえは-。一方、その宣告を下した夏目は、ずっと僕を避けていた。ヤケになった僕がバカ騒ぎを繰り広げる夜、ヤツは亜希子さんに自らの過去を語りだす。それは失ってしまった者と失おうとしている者の思いが交錯する夜だった。橋本紡&山本ケイジが贈る、大好評シリーズ第四弾。

感想・レビュー・書評

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  • ラストでようやく自分が話に入っていける展開になってきた。今までの無茶苦茶で、心が動かない話のまま終わったらどうしようかと、ちょっと心配だった…。今回もまぁ無茶苦茶と言えばそうなのかもしれないけど、とりあえず患者を殴ったり蹴ったりはしていないし、、。
    夏目の過去が分かる巻。大方予想通り。裕一に昔の自分を重ねてイライラしてたってことか、、うん、やっぱりダメだよね。過去が分かったとしても、その過去が悲しいものだったとしても、許せることじゃない。夏目の心の声は、言葉も汚くて、読んでいて気持ちのいいものじゃないけど、実際みんなも同じようなことを思う時もあるだろうし、否定はしない。でもそのムシャクシャを誰かにぶつけるのはやっぱり嫌だな。夏目に対するモヤモヤは晴れなさそう……

  • シリーズの主人公である裕一と里香よりも、脇役夏目がメインになる作品です。夏目の過去(心臓病を抱えた奥さんが居り、裕一と同じような状況にあった)について描かれ、夏目の裕一や里香に対する行動のモトとなる出来事が分かります。夏目の過去の話のラストは涙無しには読めません。

  • 裕一が夢見た未来がひどく哀しいものだったが、夏目のフィルムの一件で未来が変わる可能性が開かれ希望が持てる。裏では裕一の友人たちの応援に加えて、夏目の心境の変化があると思うと心にしみる。実はかなり裕一を気遣っている亜希子さんの密かな優しさが感動的である。
    夏目の過去が明らかになって良かった。夏目と同じ道を裕一が辿らないよう、大人たちが精一杯手助けをしているのが良いところだと思う。

  • 夏目先生の過去回想
    裕一への態度の理由が見えてくる。
    なんだろ気持ちはわかる。私もそうだ。だけど、、、ここは亜希子の一人勝ち!仰せの通りです。

  • 本巻では夏目先生の回想談によって、私がこの作品を読むきっかけとなった〝小夜子さん〟の人物像が紐解かれていきます。
    だからこの巻は、シリーズ中いちばんのお気に入りです♪-(っ^∀^c)
    (4巻の内容が中心となっているドラマCD第1巻も聞きました!)
    ちなみにアニメの内容はここまでなので、アニメから入った身としてはそういう意味でも印象深い1冊です☆

    夏目夫妻の話がとにかく泣けて…。
    個人的には子どものこと(202頁~)を話すあたりで……うぅっ!!もぅ、涙腺が。・゚(>艸<。)゚・

    夏目先生と小夜子さんが辿ってきた道は、ありふれた恋かもしれないけど、それでも二人だけの特別な物語だったのでしょう。
    だから裕一と里香がこの先どうなるのかは分からないけど、それだって、二人にしか描けないものになるんだろうなと思います*

    終盤の亜希子さんの言葉(312頁~)には、深く考えさせられました。
    残された方がひたすら耐えるっていうのは救いがないように思えるけど、実際どうしたってそうなのかもしれないし…切ないです。(-ω-`)
    でもねぇ、女は好きな人にここまで一生懸命になってもらえたら幸せですよ!ちゃんと納得できてますよ。――小夜子さんも里香も、きっと。

    次巻、アニメ派の私には展開が読めない第5巻に続きます!

  • 夏目の話がメイン。
    好きな人の死が彼に与えた挫折は大きい。
    どうしようもないのだがうまく割り切れない彼の思いがよく描写されていた。好きな人のために全てを捨てるという行為が自分にはできるのだろうか。
    考えさせられた。

  • 夏目の物語。

    結局のところデジャヴしているわけなんだけど、その部分をどう評価するか。そこが評価の分かれ道のように感じられる。

    何故ならば、夏目もサンマンも本質的に同じ人間だからだ。ん?同じタイプの人間と書いた方がいいか。

    好きな人がいながらも自分への言い訳を用意してわがままな道を選択しようとする。

    言ってみればフェアではない。

    人間臭さ。と言い換えてみれば素晴らしいことのように思えるが、私は彼らの行動に共感することが出来ない。

    聖人君主ぶるつもりはないし、同じ状況に追い込まれた時にどうなるかなんて考えることは出来ないが、それでも、少なくとも言い訳じみたことを言うつもりはないし言いたくもない。

    ただ、その葛藤を理解することは出来る。そして、共感することが出来ないはずなのに胸が苦しくなる。

    何故なのだろうか……。

  • 弱いものを足元に持ったままじゃ階段は上がれない。
    現役で荷物をやっている私は、何度も何度も、
    一人で死のうと思った。

    里香が言うように、終わりの時は

    『あまり長くなく、そんなに短くもない』

    十分誰かを疲れさせてしまうだけの時間だけど
    本当のしっかりした未来を築けるほどは長くない。

    だけど今あることを手放すのは、浅ましいと言われたって
    出来なかった。

    一緒にいよう。

    ずっと一緒に。

    そのずっとが、他の誰かとちょっと尺度が違う長さで
    一緒にが、他の誰かと違う形でも。

    相手がそう望んでくれるなら
    自分から死んでしまう場合ではない。

    やることはいっぱいある。

    ううん、キレイ事はよそう。

    もっと声聞いていたい。
    好きっていいたい。
    言って欲しい。

    見たい風景があるなら、語り明かしたい。

    そばに、いたい。

    それだけの、自分勝手な願いのために
    私は自分をなだめたりすかしたり、ひっぱたいたり。

    だめかも、とは思わずに、じたばたしているのだ。

    どんな人も自分の持ってる時間は知らないから
    この小説みたいに切羽詰まってないけど、本当は。

    みんな、大事なひとを疎かにして
    生きる暇なんてないはずなのだ。

    夏目先生は多分、患者さんを亡くしたんだなって
    思っていたけど。こういうことかと思った。

    夏目さんは、荷物を振り捨てようと迷い迷い
    でもやっぱり愛してやまなかった。

    裕一は振り捨てようかという迷いを持たない。

    それは社会人と学生さんの立場の差だと私なら言うけど
    夏目さんはきっと、学生でも同じ迷いを持ったろうから
    裕一との差が自分で、たまらなく疎ましいのだろう。

    一緒に。

    ずっと一緒に。

    わがまま言って
    こっち向いてって願って
    笑ってくれたら超ラッキー。

    泣いて怒って喧嘩して。

    もうあんな奴あんな奴。
    そう思っても

    やっぱり 一緒にいたい。

  • ズルい。
    夏目の回想からの、24歳の裕一の演出は、ただひたすらにズルいと思ってしまう。
    それが非情にメタ的な演出であっても、それを吹き飛ばすぐらいに効果的で、ぐっと涙を誘う。

  • 五つ星では、足りない

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