キーリVII 幽谷の風は吠きながら (電撃文庫 か 10-8)

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  • メディアワークス
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784840231251

作品紹介・あらすじ

キーリとハーヴェイとラジオの兵長は、行方不明のままのベアトリクスの手がかりを探すため、教区境のバーに滞在していた。ある日、ラジオの様子がおかしい事に気づき、修理屋に持ちこむと「そろそろ寿命かもしれない」と言われる。とにかくラジオを直すため、キーリ達は古い部品が残るという鉱山区に向け、旅立つ。ハーヴェイの"核"にも異変が起きており、今までに手に入れてきた大切なものが一つずつ剥がれ落ちていく不安をキーリは拭えずにいた。『もう何もいらないからずっとこのままでいたい』そう願うキーリ。しかし…。

感想・レビュー・書評

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  • 別れてしまったベアトリクスの行方を探すため、教区境のバーに滞在していたキーリたちでしたが、兵長のラジオの調子が悪くなります。修理屋に持ち込んだところ、そろそろ寿命かもしれないと告げられます。さらに、ハーヴェイの「核」の機能もしだいに衰え、彼の状態はますます悪くなっていきます。

    もしかすると、これまでつづけてきた三人の旅の終わる時が近づいているのかもしれない……そうした考えに襲われたキーリは、ずっとこのまま旅がつづいてほしいと願ってしまい、そんな彼女の思いが、終わることのない旅を続ける死者たちが乗った列車を呼び寄せます。汽車に入り込んでしまったキーリを、ハーヴェイはどうにか元の世界へ引き戻すことに成功しますが、キーリの思いは晴れません。

    やがて彼らは、ゲリラ・ラジオを運営している男の飼い犬だったタテガミに出会います。その男は不死人で、タテガミは死に望む飼い主の男から、彼の「核」を譲り受けたのでした。

    ところが、そんなラジオ局に、教会治安部の部隊がやってきます。にわかに緊張感が高まりますが、なんと教会兵は、思いもかけないことをいいだします。彼らは、キーリの父である、教会の長老会の第十一老であるシグリ・ロウから、キーリの保護を命令されているというのです。父が教会のトップであるという衝撃の事実を確かめるために、キーリはハーヴェイとともに、首都へと向かうことを決意します。

    クライマックスの直前、ハーヴェイの「核」が衰え、兵長ラジオも寿命が近いという重苦しい空気が漂いはじめ、キーリの出生の秘密がついに明らかになるという、鉄板の構成です。ラストへの期待が、いやがうえにも高まります。

  • また電車での旅になったキーリ達のお話です。ハーヴェイも相変わらず痛々しくなっていきますが、兵長もやばくなってきます。キーリのお父さんのことがわかったところで終わっています。ワクワクしながら読みました。あと2巻一気に読んじゃいますよ〜。

  • だれもいなくなって欲しくない。読んでると、ラジオの音が聞こえてきそうでなんだかわからないけど切なくなった。兵長大好きだ!

  • 図書館で。
    今まで読んできて、この巻が一番好きかも…!(私暗い?)

  • 変わらないものは何もない…シリーズ第6作

    読了日:2007.09.03
    分 類:ライトノベル
    ページ:314P
    価 格:570円
    発行日:2005年8月発行
    出版社:電撃文庫
    評 定:★★★


    ●作品データ●
    ----------------------------
    主人公 : キーリ/ハーヴェイ
    語り口 : 3人称
    ジャンル: ライトノベル
    対 象 : ヤングアダルト向け
    雰囲気 : 暗め、幻想、退廃的
    結 末 : つづく
    イラスト:田上 俊介
    デザイン:Yoshihiko Kamabe
    ---------------------------

    ---【100字紹介】---------------------
    行方不明のベアトリクスを探しているある日、
    様子がおかしいラジオを修理屋に持ち込むと、
    そろそろ寿命かもしれないと言われる。
    ハーヴェイの核にも異変が…。
    大切なものが少しずつ剥がれ落ちていく不安を描く第6作
    ----------------------------------------

    「キーリ」第6作。7巻ですが、5・6巻が上下巻で続きものだったため。

    第4巻ではぐれてしまったベアトリクスですが、5・6巻では結局、違う事件に巻き込まれて見つけられず。この7巻でもまだ探しています。探していますが…、とりあえずは平和な日々からスタート。

    居候させてもらっているあのバー…、アドルフ・サックス亭のマスターのエピソードからスタート。どうでもいいですけど、この名前、サキソフォンの発明者の名前そのまま…。しかもかの人の故郷とかいうまちがあの「世界の車窓から」で紹介されていたのですが、その翌日に取り上げられていたのはベルトリックスだか何とか、そういう名前の土地でした。べ・・・ベアトリクス!?何というか、もしかしてもしかすると…みたいな。いや、余談でした。

    あと1作で終了ということで、著者自身も「久々に旅ものを」と思ったそうで、今回はまた旅です。久々の列車旅。懐かしいですね。でも…変わってしまいました。そしてこれからも、変わっていきます。「変わりたくない!」と思ってしまうのは、読者のわがままなのかしら…と思ったら、著者も同じような気持ちに駆られたようで、お陰様で本作は「変わりたくない」の気持ちがあふれる作品になっています。

    変化し、そしてどんなものもいつかは失われてゆく…。とても悲しくて、切なくて、耐え難いくらい辛いこと。ですけど、時は無常で、世界は無情なのです。

    前作も切ないお話でしたが、本作はまた、種類の違う切なさ。失ってしまったものの話と、失いつつあるものの話と。最終巻に向かって、加速的に堕ちてゆくイメージです。特にキーリは、もう後戻り出来なさそうですね。まさかこんなに頑ななキャラに育とうとは、正直思ってもみませんでした。彼女の初期のキャラは、いまいち確立されていなくて、未知数ではあったのですけれど。確立されてしまってみると、なかなか困ったさんだったことが判明しました。いや、普通の人というか。そう、よくも悪くも…。


    さて、次回は最終巻です。
    この結末、どうなるのか…とても不安ですけれど、最後まで読み通しましょう。


    ---------------------------------
    文章・描写 :★★★★
    展開・結末 :★★★★
    キャラクタ :★★★+
    独 自 性 :★★★+
    読 後 感 :★★★+
    ---------------------------------


    菜の花の一押しキャラ…ハーヴェイ

    「…まったく、だからどこにも行きゃしねえってばよ。俺ゃ貴様らの保護者だぞ?」(兵長)

  • このへんはもうキーリの自我がだいぶ芽生えてきて(結構前からかもしれないけど)ハーヴェイと対等に、かはわかんないけどそれなりに考えるようになってきたよね。ハーヴェイはもうちょっと自分を大事には出来なかったんだろうか。寧ろ狙いなのかな?すり減っていく様子がとても痛々しい。キーリと出会って変わったっていうんなら、自分を大事にするっていう変化も重要だと思うんだけどな。兵長だいすきです。

  • 決意がそこに生まれる。守りたいものに限って脆いものだ。

  • 兵長が、兵長が、兵長があああああ…っ

    マジウケル

  • どうでもいいことなのですが、実はこのシリーズ2回も友達に貸してもらって読んでいます。しかも、違う友達((本当にどうでもいい。

    で、この7巻目ぐらいから、本当に読むのがつらくなってきました。
    1度読んでしまったため、結末を知っているのでなんか、もう、泣く泣く読んだという感じですね。なら読むなというところですが、止められません。

    手が伸びます。
    でも、
    読むと心が痛みます。
    本当に。

    Thanks to T.T.
    Thanks to T.M.

  • キーリとハーヴェイとラジオの兵長は、行方不明のままのベアトリクスの手がかりを探すため、教区境のバーに滞在していた。ある日、ラジオの様子がおかしい事に気づき、修理屋に持ち込むと「そろそろ寿命かもしれない」と言われる。とにかくラジオを直すため、キーリ達は古い部品が残るという鉱山区に向け、旅立つ。
    ハーヴェイの〈核〉にも異変が起きており、今までに手に入れてきた大切なものは一つずつ剥がれ落ちていく不安をキーリは拭えずにいた。『もう何もいらないからずっとこのままでいたい』そう願うキーリ。しかし……。

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著者プロフィール

第9回電撃小説大賞〈大賞〉を受賞し、2003年『キーリ 死者たちは荒野に眠る』でデビュー。その他の著書に、『鳥籠荘の今日も眠たい住人たち』(電撃文庫)、『エンドロールまであと、』(小学館)など多数。

「2009年 『NO CALL NO LIFE』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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