断章のグリムIII人魚姫・上 (電撃文庫 こ 6-16)
- アスキー・メディアワークス (2006年12月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784840236355
作品紹介・あらすじ
薄汚れた洗面台で、老女はいつものようにひび割れた石鹸を取り上げて、掌で揉み始める。乾いた石鹸はすぐにぬめりを取り戻し、白く濁った水がぬるぬると手にまとわりついて泡となって嵩を増やしていく。最後に一通り両手の表面を泡で拭った瞬間、それまでとは違う異様な感触が掌に伝わり、そして-。泡禍解決の要請を受け、蒼衣たちは神狩屋がかつて暮らしていたという海辺の町を訪れた。過去に例をみないほど町中に溢れ出す泡禍の匂いの中、彼らは神狩屋の婚約者だった女性の妹・海部野千恵に出会う。彼女は重度の潔癖性であった。奇しくも婚約者の七回忌を明日に控え、悪夢の泡は静かに浮かび上がる-。鬼才が贈る悪夢幻想新奇譚、第三幕。
感想・レビュー・書評
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「泡沫は君を誘う」
巧妙に作られた偽物だが。
今まで家で一人で居た時間が、何かしらを通して誰かと過ごしてると知ると嬉しい事だろうな。
「童話は夢と巡る」
花束を持ち来た場所とは。
意図して巻き込んだ訳では無かったとしても、残された遺族からすると見たくもない存在だろ。
「亡者は死を呼ぶ」
度を越しすぎた潔癖症は。
ひと目見て異常だと分かる状態だというのに、病院に連れて行く事をしないほうも異常だろう。
「寡人は屍を語る」
二人の出会いは病院内で。
当たり前のように毎日出会っていたからこそ、命に関わる病気だという事を忘れてたのかもな。
「災禍は現に浮ぶ」
シャボン玉の中に見える。
特徴だけで判断したのだろうが、はっきりと見ていないのであれば確信するには足りないだろ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
蒼衣たちは、泡禍にまつわる事件が起こっているという連絡を受けて、かつて神狩屋が暮らしていた海辺の町にやってきます。そこで神狩屋は、恋人であった志弦(しづる)の妹・海部野千恵(あまの・ちえ)と再会します。やがて町は凄惨な事件に巻き込まれることになり、神狩屋の過去にまつわる謎がすこしずつ明らかになっていきます。
今回はこれまで以上にグロテスクな描写がありますが、読者のほうでもすこしずつ耐性ができてきたことを見計らいつつ、著者が工夫を凝らしているような印象もあって、とにかくめったやたらなスプラッター展開といった感じでもありません。個人的には、このくらいのグロ度であればおおむねホラーとしてたのしめるのですが、今後さらにエスカレートしていってしまうと、そちらのほうに焦点があたってしまって、かえって恐怖感が薄れるのではないかとよけいな心配をしてしまいます。 -
大学くらい以来の再読。手洗いうがいが喚起されているこのタイミングで読んでしまった……。知ってたのに読んでしまった……。
神狩屋の過去が若い者同士とはいえ感情的だなって思ってしまう。自分自身のこととはいえ、いつもと違うんだよなあー。
泡の恐怖の連鎖反応はどうなるのか……。 -
泡になって消える人魚姫、が軸な今回。
ロッジ拠点地の男性の、縁ある土地。
最初ののどかな(?)風景はどこへ!? というくらい
ぎゃ~なシーンが大量です。
前半のこれだけで終わるわけはありません。
後半が怖い…!!
元婚約者の実家、というか血縁者? 内で起きる
溶けていく現象。
これで大元がお父さんだったりしたら、意外性があってびっくりですが
それはないない、と脳内想像を誤魔化しつつ思ってました。
これ…手を洗うのが怖くなったらどうしましょう? -
想像力がにくい。
ぐろい。
あとつい先日ネタバレうっかり読んだんだが。
なんというか
複線たっぷりで
構造がかなりしっかりしてるなあって
二回も消えたからもうしらん←感想が -
《購入済》序盤で歯磨きは嫌だ…歯磨きだけは嫌だ…と思ってたら…。上巻を読み終わって直ぐ続きが気になる。自分の生活により身近な恐怖だから、洗面台に立つ度に思い出してしまう。楽しい。