ミミズクと夜の王 (電撃文庫)
- KADOKAWA/アスキー・メディアワークス (2007年2月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
- / ISBN・EAN: 9784840237154
感想・レビュー・書評
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ザ・おとぎ話。不幸な境遇、優しいキャラクター達、ひとときの幸せ、善意のすれ違い、土壇場での奮戦、大団円。この本のファンに悪意なく満面の笑顔で「どう?どう?面白かったでしょ?!」と聞かれたら、「お、おう…」としか答えようがない、真っ直ぐすぎる善い話。ジャンルで言えばアイカツ!なんかも真っ直ぐすぎる善い話なんだが、どうしておじさんはアイカツ!では毎週泣きそうになるのに、こういうおとぎ話では胸焼けを起こすのか。
それは物語の余裕の幅の違い。本書は冒頭から『ほら、かわいそうでしょ?奴隷だよ?ひどい生活していたんだよ?』と押し付けてきて、それ以外のエピソードが全くない。これではキャラクターに対する読者の感情は「可哀想がる」以外の選択肢を許されず、それはキャラクターが生きているわけではなく、ただ人物に『可哀想』のラベルが貼ってあるだけ。その他のキャラクターにしても、物語を成立させるために準備した『優しい』以外のラベルは見当たらない。
ひるがえってアイカツ!では、キャラクターは女児向けらしくみんな聖人君子みたいな性格ではあるのだが、誰もがそれぞれの『欲』を持っている。キャラクター達が、何がしたいのか、どうありたいのかを強く持っているからこそ、同じキャラクターでも場面が違えば『可哀想』にも『可愛い』にも『カッコ良い』にも『強い』にも『弱い』にもなる。キャラの性格は一貫したままで色んな面を見せるということは、共感の種をばらまくということであり、これこそがファンの拡大・深化に繋がる原因ではないだろうか。
過去のおとぎ話とは、設定そのものがキャラクターを位置づけるものであって、その性格が取沙汰されることはなかったが、昨今のキャラクタービジネスに巻き込まれ、今後変様を見せて行くのだろうか。僕がアイカツ!を見続けているのは、それを探るためということにしておこう…。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ぐいぐいハマる
忘れた頃に読み返したくなる -
綺麗。
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キャラクターの設定がつらいけど最後は幸せになれて良かった。しかし、何か…満たされ過ぎているラストに違和感が残った。性格悪いのかなあ私…
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この物語は幾つかの構成で分かれているためにその部分部分で受ける印象が全く違うように思える。正直言って私はあらすじに載っていた「死にたがりやの少女」と「人間嫌いの魔王」と言う設定が好きになれそうになかったので、最初はあまり読む気になれなかった。実際、第4章くらいまではそれほど熱心に読んではいなかった。
しかし、魔王と対をなす聖剣の主が登場し魔王を「少女救出」という名目で討伐してからというもの、物語はようやく狭い森の中を抜け出し、ある小王国の中で展開されることになる。
その辺りから、作家が真に伝えたいものやこの物語の本質が見え出してくる。余計な要素で隠したりはせず、大切なものはきちんと遠慮なく読者に伝えてくる。この作品は、魔王視点で見る事で聖剣の主の正当性を疑い社会的なアンチテーゼを呈するような作品ではない。あくまで主人公は第三者であるミミズクなのだ。彼女が主人公である限り、この作品は善悪を問題とする作品には成り得ない。この物語は、死にたがりやだった少女が様々な優しさを持った人間に触れる事で、自分で自分の道を選択する事を知る物語である。
この作品はきっと読んだ人の心に残る作品であろう。 -
ライトノベルというよりは、子どもに読み聞かせる御伽噺のような、優しいお話し。
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図書館本。あまり期待せずに読みましたが、いいお話でした。ミミズクの境遇に胸が痛くなったりもしましたが、魔物のクロちゃんに夜の王の優しさ、聖騎士や巫女といったミミズクの周りの人々はみんなやさしくて心があったかくなる。夜の王の人間だったころの話も心が痛くなる内容でしたが、だからこそ同じような境遇のミミズクが気になったのかなとも思いました。
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素直になれる
そんな気がする。 -
発売された頃、話題になって、表紙もラノベっぽくなく、挿絵もなく、気になってたのを思い出した。当時の印象から、勝手にダークファンタジーだと思ってたら、ピュアッピュアの少女漫画でした。異形×少女は王道だ。
ミミズクは真っ直ぐで、登場人物もいい人ばかりで、超大団円。すぐ読めるし、爽やかな読後感です。始まりの、森の雰囲気や、夜の王とミミズクの探り合いの交流、まだよく分からんけど物語が始まったーていう感じが好きだった。
もうちょっと、夜の王やクロちゃん辺りが描かれてたらよかったな。 -
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