- Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784840237178
作品紹介・あらすじ
修学旅行に行くはずだった千葉紀之が目を覚ましたとき、そこは密室で、しかもクラス全員が同じ場所に閉じこめられていた。訳もわからず呆然とする一行の前に、"人工知能ソフィア"を名乗る存在が現れる。そのソフィアが示したのは唯一絶対のルール-"ソフィアに従うこと。従っていれば生命は保証されること"。だが、紀之は瞬間的な嫌悪感からソフィアからの庇護と呪縛を拒否してしまう。紀之以外のクラスメイトはその"ルール"を受け入れ、"ルール"が支配する奇妙な日常がはじまった。孤立した紀之はやがてひとつの決断を下すが…。第13回電撃小説大賞「金賞」受賞作、登場。
感想・レビュー・書評
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起きたらそこは密室で、クラスの皆がそこにいた。
モニターに映しだされる『人工知能ソフィア』によれば、ここは宇宙空間で、ルールに従ってさえいれば生きられるとのコトだった。
部屋には扉があり、そこを出てしまうとソフィアの加護を受けられなり、戻ることはできない。
紀之は嫌悪からソフィアの加護を拒否したのだが、クラスはそれを受け入れた……みたいな出だし。
駆け引きや心理戦、人間模様なお話なんだけど、グイグイ読ませられる。
序盤は加護を失った紀之が、クラスから浮いてく話なんだけど、後半に行くに従って、戦略ゲームみたいになっていく。最後が?なので、続き読みたい!
あと、あとがきがファンタジーで意外と好きです(笑)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
土橋真二郎のデビュー作?
密室に閉じ込められたクラス全員
人工知能の言う事を聞いていれば最低限の生命維持に必要な生活は可能
文化的な生活をおくるためにはゲームで自分達の場所を守らなければいけない
そんな設定
土橋作品の原点なのか、集団心理の初歩の描写がされてある
人が死なないので某館や某ジレンマまでの悲惨さはない
ただ、「やっぱり集団って怖ぇ~」って思わせるあたりは流石
ただ、ラノベという意識で読んでしまったからなのか、キャラクターの性格がいかにもな設定
やれやれ系の主人公が何故かモテ(?)たりとかね
ラストの解決する気のなさはこの頃から全開
ま、これは続編があるようなので、最後まで読んでみてからの評価が必要かな? -
ライトノベル
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先が気になる展開の連続でアッという間に読みきりました。
最後にオチがあるかと思いきや特になく終了。
でも調べてみたら続編があるとのことで、そこに期待!なかなか考えさせられる群衆心理描写が素晴らしい! -
面白いのですが、主人公の性格のため感情移入し難く。ラストの感じも、、、
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ネット上では評価の高い作品のようだが、どうしても良作とは思えなかった。
この作品は突然謎の密室空間に閉じ込められ人工知能の命令に従い、牽制し合いながらも生きていこうという筋書きなのだが、物語上で最も重視されていたのが状況の打開でもなくそこで生じる軋轢でもなく、主人公の心模様なのだ。こういったタイプの作品は主人公に感情移入できなかったら何も楽しめないが、私はどうにも感情移入できなかった。
冒頭から主人公はクラスメイトを拒絶し、自分はあたかも自立して生きていける的なことをモノローグで言い、人から恵みを受けてもそれに対して何も感じないのだ。こういうタイプは正直苦手です。
ストーリーに関しては最初は暗く湿った雰囲気が苦手だったのだが、“配給制度”の仕組みが判ってきた辺りから面白くなってきた。しかし、ラストシーンは一切理解できなかった。死と引き換えにアイデンティティを手に入れるという類のものなのだろうか? -
全3巻。
何かよく分からない密室に連れてこられて、何かよく分からないゲームに強制的に参加させられるヤツ。
この1巻だけで見るなら、☆3かな。
そんな面白かったという訳ではないけど、何も分からないまま何となく綺麗に纏まってる。
シリーズものとしてみると、一番やっちゃいけないことをやっている。
以下ネタバレ。
完結したらしいのに、何も分かっていないしまだゲームも終わっていない。
どうしろっていうんだ。 -
映画『CUBE』と『バトルロワイヤル』を足して割り、それをさらにマイルドにしたような感じだろうか。人間の集団心理を、密室サバイバルゲーム(ようなもの)の様子を通して鋭く描いた良作。夢中で読み切ってしまった。
挿絵は美麗ながらも、章の冒頭や物語のラストにひっそりと添えられている程度で非常に数は少ない。また、萌えやアクションなどの娯楽要素もほとんどなく、まるで一般文芸小説を読んでいるような気分になった。(ただ、こういう作品はあえてライトノベルとして出されることで異彩を放てるのだろな、とも思う。)
とにかく秀逸で目を引くのが、全編に渡って人間の心理をつぶさに描写している点。自分の経験と照らしても納得してしまうようなケースもあり、「なるほどな」と思わず唸ってしまった。
結局、主人公たちを密室に閉じ込めた首謀者についてや彼らの目的などがわかることはなく、非常にその後が気にはなるのだが、それでも静かな希望を見出せるような余韻のある締めくくり方が個人的に好きだった。全3巻らしく、このレビューを書いている時点では2巻以降はまだ未読なので、この先どういう展開を見せるのか非常に楽しみである。