- Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784840237581
作品紹介・あらすじ
じりりりりりん!寺の敷地内にある住職一家の住居に、不意に電話のベルが鳴り響いた。くぐもった遠い電話の音は、音が夜に食い尽くされたかのような静寂の中を虚ろに繰り返して、響き続けた。誰も決して出ることなどなく、血と、腐った磯と、そして石鹸の匂いが混じったような、異様極まる臭いがただよう住居の中に-。神狩屋の婚約者の七回忌前夜、人魚姫の物語をなぞる惨劇は、蒼衣たちが訪れた海辺の町全体に広がっていく。そして、大量の泡に押し潰されるかのように、徐々に泡禍に巻き込まれていく蒼衣と雪乃。彼らが死の連鎖を誘う人魚姫の真相を知る時-。鬼才が贈る悪夢の幻想新奇譚、第四幕。
感想・レビュー・書評
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「葬列は再び来る」
警察だけは呼ばぬように。
ここまで潔癖を拗らせてると、一人で何も出来なくなってしまった時どうやって生きるのだろ。
「亡霊は罪を囁く」
泡には触れてはいけない。
生活の中で何気なく触れるものだからこそ、忠告されても何気なく使用してしまいそうだよな。
「狂気は呪を呼ぶ」
決壊した心に秘めた想い。
周りと比べて普通でないと判断されれば、真面目にやっていても非難されるのは母親だもんな。
「過日は禍を兆す」
人並みの幸せを求めてた。
心を病んでいた事を隠していたのか、それとも正常な判断で行ったことなのか真意は不明だな。
「咎人は海に哭く」
全ては人魚たちを憐れむ。
物語の主人公に親しい者が怪しいと想像は出来るが、ここまで隠れていたら見つからないだろ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
人魚姫編の下巻で、神狩屋の過去の恋と人魚姫の物語をモティーフにした泡禍の謎が明らかになります。
今回は、これまでにくらべても救いのない結末で、それだけいっそう、泡禍に見舞われたひとの運命を理解し、それによって泡禍を終わらせる能力をもつ蒼衣のやるせなさが強く印象にのこっています。ただそれ以上に、志弦の振る舞いにはさすがに引いてしまいました。 -
この作品は読むとトラウマになりそうなことばかり書いてあるな。台所でひたすら目玉を潰し続けるとか……。それに鹿狩の過去も壮絶すぎるし…。
私が密かに待ち望んでいた泡禍からの救出者。この作品では泡禍から生き残る人がやたら少ないので、たまには誰か助からないかなぁと思っていた。今回も生き残りはしたものの、助かったとは言いづらい状況であるため、この物語の基本構造は泡禍に巻き込まれたらもう終わりという事を再認識させられた。 -
やっぱり痛い...今回は泡だったので暫く食器洗うのも怖くなりそう。
なんというか、神狩屋さんは普段が穏やかなだけ狂気が際立って見える気がする。でも一番怖いのは志弦さんだと思った。
お父さんと千恵ちゃんの泡への認識の違いも興味深い。 -
自分だけ一人勝ちで周りの人の人生ぶち壊しの志弦さんにもやもやしたけど、読んでから手を洗うのも歯みがきするのもちょっとこわい。