嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 3 死の礎は生 (電撃文庫 い 9-3)

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  • メディアワークス
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  • Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784840241250

作品紹介・あらすじ

バレンタインの季節。街では、複数の動物殺害事件が発生していた。マユがダイエットと称して体を刃物で削ぐ行為を阻止したその日。僕は夜道で死んだはずの妹(多分)と出会う。そして妹っぽいものに遭遇した翌日。僕は学校の朝礼で知る。無自覚の悪意の伝染について。三ヶ月の短い静穏へ精一杯の反抗を示す惨殺死体事件。最悪な、殺人街としての街興しが、再び始まったらしい。あー。この立て役者は、僕の妹(暫定)なんだろうなあ、きっと。…口癖の出番は、あるなら早めによろしく。

感想・レビュー・書評

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  • ――バレンタインデーが訪れ、僕とまーちゃんは幸せいっぱい超らぶらぶ、というラブコメだけには到底ならず、街では動物の連続惨殺事件が起こり出す。死んだはずの僕の妹や委員会諸々の新キャラとか出てくるけど、まあいつも通りな第三巻。――
    今回はみーくんの家族背景が垣間見れたり、みーくんやまーちゃんの通う学校の生徒などが多数登場したりと動き出した巻。動物の解体癖のあった、死んだはずのみーくんの妹が現れたりして、ますます物語から目が離せなくなります。

  •  精神科医の先生が読むたび良くなってる気がします。(重要度を増しているというか…)1巻の第一印象では、それほど主人公に慕われてるようにも見えなかったんですが。
    でもこっちのが好み。
    なんらかのかたちで欠けている人間がそれでもどうにかして生きていくのに、必要なのが「肯定」と「会話」であるってところがとても性に合います。
    そして、それでもどうにかして生きて行かなきゃ、という程度のぼんやりした決意も。
    自己憐憫のみに陥らず、さりとて前向きになりすぎず…というさじ加減が好きです。

  •  3巻なので基本構造は割愛。
     中学生が初めて書いた小説の如く、毎行毎文あらん限りのレトリックを詰め込んで、松丸くんのパズルを解くかのような脳内作業を経ないと意味が理解できない文体に辟易。
     そんな文体はエロいノベルゲームのエロシーンの如く読み飛ばしていいようなものだが、仮にもミステリとしての側面を大きく主張する作品故に僅かな描写も読み落とせないときたものだ。
     ただ今作は、福神漬けでも辣韮でも無いカレーの付け合わせのクルトンの如く意味の無い文章も多く、内容以上に疲弊を禁じ得なかったんだ。
     嘘だけどね。

  • バレンタインの季節。
    街で行われる複数の動物殺人と、高校生殺害と、心だと思われてた妹の登場。

    お互いの呼び方は好きでした。

    うーむ、まともな登場人物はいないのか。
    自分ではこの作品の中では会話すらできないですね。

    結局最終的に妹はどうなったんだ?

  • 狂った家族中と清掃に励む殺人鬼。
    いくら外に出なかったといえど、人一人を死んだ事し匿う事は可能なのだろうか。
    一度人道を外れてしまった者が、普通に戻るのは中々難しい事だろうな。

  • みーくんは、同級生の琵琶島八事(びわしま・やごと)とともに、美化委員を務めています。ところが、美化委員長の宗田義人(そうだ・よしひと)が何者かによって殺害されます。義人のことを愛していた副委員長の一宮河名(いちみや・かわな)は、夜の町に出て犯人を探し出そうとし、八事はそんな彼女に協力します。

    さらに、期を一にして動物が殺害される事件が起こります。しかもその手口は、失踪したみーくんの妹がかつておこなった動物虐殺とそっくりだったのです。

    そしてみーくんは、母の実家に引き取られていた妹との再会を果たします。妹が犯人なのではないかという疑惑を抱えながら、みーくんは真犯人を追いつめていきます。

    一癖も二癖もあるキャラクターばかりで、彼らの織りなす会話が独特の雰囲気を作り出しています。左さんのミュシャ風のイラストも、そんな作品のテイストにぴったりです。

  • 今までとは違って青春小説での救いを描いている。まあ、雰囲気は暗いままなのだが。伏見の立ち位置が秀逸でそれがあるからこそ、この巻は他の巻と印象が違うのだろうなと。個人的には枇杷島も可愛いのだが。あとにもうとのはーやーくーは萌えた。

  • 容赦ない展開。

    みーくんまーちゃんの歪んだ日常、この違和感だらけだけどなんか平和で幸福に見えるような生活……はいいんだけど、ちょっとダレるかな。
    後半にさしかかって話が動き始めると、面白い。

    なんだかんだみーくんはやっぱりまーちゃんよりは壊れていなくて、だからこそ生まれる葛藤というか、心が動かない自分に対するもどかしさのようなものがすごく描かれていたのがよかった。この作品の醍醐味なのかもしれないが。
    「痛くなれ。心が、痛くなれ。」という台詞に、胸が痛くなる。

  •  「ライトノベル」というカテゴリーで読んでいたこともあって、本シリーズの読み方を間違えていたかもしれない。そんな読後感である。
     ラノベの多様性から見て異論はあるだろうが、全体としては青春小説・冒険小説の変形と理解し、本作のように青春小説に含まれそうな場合、私は登場人物の感情の揺れを読むことに注力し、本シリーズもそう読もうと意識してきた。
     その結果、本作で感じられたのは、死と暴力への軽さと、真意の表意の不一致への無思慮(あるいは無関心)な人間像。この造形された人間の気持ち悪さが本作の叙述テーマと感じていた。
     しかし、それは私の誤読なのだろう。

     小説はリアルである必要はないが、ある種のリアリティは必要である。そして、そのリアリティが醸し出されるのは、人間描写だったり、世界観だったり、小説により多様ではある。
     一方、本作で感じる死と暴力に対する軽さや真意と表意の不一致に影響されない人間像は、余りに不自然と見ざるを得ない。あるいは、かなり曲解・誇張された人間像と言えそうだ。
     しかも、少数存在するかもしれない歪な人間だけで片づけられないほど、かような性格のキャラの多さに戸惑う。

     ところが、それが許されるカテゴリーがある。それはミステリーだ。謎解きメインなら、生死や怪我、破壊に対し顕著な歪さを持つ人間が小さい集団に多数固まっていても、描くべきものが違うということで納得できるのだ。

     3巻読破した結果、本作を納得いく物語に落とし込むのはミステリーと読んだ上、歪な人間像の解読と見るというもの。謎解きを主人公がして見せる点もそう感じる所以か。

  • キャラ同士の掛け合いがラノベの肝なところはあれど中だるみは否めなかった。
    どのキャラも奇特で尖っている造形をしているけどキャラ性の描写が引き伸びている感があった。
    ミステリー要素的な犯人探しの部分は意外性がなかったがにもうとの鮮烈な個性はすごく目を引いた。にもうとは結局どうなったんだろう?続刊で出てくるのだろうか。次巻を読むことにする。

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著者プロフィール

電撃文庫『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』『電波女と青春男』シリーズなどを執筆

「2023年 『安達としまむら(5)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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