飛ぶ読書室 (進学レーダーBooks)

著者 :
  • みくに出版
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本棚登録 : 66
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784840303613

作品紹介・あらすじ

名作を知る・作家を知る・本物を読む力をつける。小・中学生のための名作ガイド決定版。時を超えて輝く63冊の愛読書。『中学受験進学レーダー』好評連載の単行本化。

感想・レビュー・書評

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  • 紀田順一郎さんのお薦めする高学年向けの本と言うものに興味を持って読んでみた。
    全63冊。
    第一部は「視野を広げる本棚」として海外の作品から。
     聖書、ギリシャ神話、イソップ物語、クリスマス・キャロル、絵のない絵本
     海底二万里、昆虫記、クオレ、古代への情熱、あしながおじさん・・等々
    第二部は「心豊かな読書のしおり」として日本の作品。
     古事記、今昔物語、徒然草、怪談、坊ちゃん、山椒大夫、小僧の神様
     日本の昔話(柳田国男)、君たちはどう生きるか、山月記・・等々。
    ブク友さんたちの子ども時代を彩っただろう、名作ぞろいだ。

    ブックガイドというと、ラインナップだけを見て早々に答えを出していないだろうか。
    これは私向けではない。読みたいものがない。全部読んだものばかりだ・・
    だがそれだけではいけないと、本書を読んで考える。
    筆者がどのようにその本と向き合っているか、そしてその本から受け取ったものを、どのように自分の言葉で伝えようとしているか。大事なのはそこだ。
    読みたいものがないと言っても、読み込んでみれば見つかるかもしれない。
    読んだものばかりと言っても、違う視点を発見するかもしれない。
    自分の読みが完璧だなどと思い込んでいないか。
    ショップで欲しいものを探すときのような眼で見てはいないか。

    こんなことを言うのは、簡潔な文章の中に著者の願いが明確に伝わってくるからだ。
    ひとつの作品の生まれた背景と、テーマの掘り下げ、とりわけ作者に寄り添う温かい書き方は非常に好感の持てるもの。
    既読の作品ばかりだったが、自分の見方を改める点がいくつも見つかった。
    謙虚な姿勢というのは、忘れてはいけないなぁとしみじみ思う。

    この年齢の子どもたちの(特に本好きな子の)読書欲は凄まじいものがある。
    本屋大賞受賞作品などはほとんど読まれているし、有名な古典も大人が薦めれば積極的に手に取る。侮ってはいけない。
    しかも、こちらが黙っていても感想まできっちりと述べてくれる。
    話の糸口を、子どもの側からたくさん提供してくれるのだ。

    紀田さんは「古典を読みなさい」という意味合いではないと言う。
    「僕がその年齢の頃に読んで感動した本ばかりです」。
    説得力のある解説には、そんなわけがあったのだ。
    大好きな寺田寅彦の「科学と科学者のはなし」が入っているのが非常に嬉しい。
    2冊だけ、未読のものもあった。
    著者のガイドがきっかけになったということに、素直に喜んでいる。

    月刊誌「進学レーダー」に2003年7月号から2008年8月号まで、「この本がおもしろいよ」というタイトルで5年間連載したものをまとめた本。
    目の前の役立つことよりも、長いスパンで成長というものをとらえる非常に良心的なブックガイドだ。タイトルもとても良い。

  • 古今東西の厳選された名著が、堅苦しくなく紹介されている一冊。
    勘所をしっかり抑えた要約で構成されていますが、簡潔明瞭で大変読みやすく感じました。
    しかし何よりも、実際に手に取って読んでみたいと思わせる筆致が素晴らしいです。
    読書の道標となりました。

  • 良い本。こういう本が読みたくて探している時に出会えたのでまた感動もひとしおです。

    「中学受験 進学レーダー」という雑誌に「このほんがおもしろいよ」という題で連載していたものを纏めた一冊なのですが、まず第一にすごく子供(特に対象であるところの小学生)に向けて書いてあるんだよねえ。でもちっとも子供騙しじゃなくて、子供だからと言って容赦もなくて、ありふれた言い方だけど大人が見ても読みたい!と強く思わせてくれる紹介の仕方なんです。

    それもその筈、ここに紹介されている本はどれも著者が少年時代に読んで面白かったものだそうで、紹介がまた絶妙。正直あらすじの纏め方とか文章能力はフツーなんだけど、紹介する本によって作者の紹介から入ったり、あらすじから入ったり、オチまで言わないでフェードアウトしたり、逆にオチから先にあっさり紹介しちゃったり、そのひとつひとつが本に対して的確ですごく愛に溢れているんです。

    大人だったら誰しもある、子供のころに読んだ思い出の一冊。それを見つけるための子供たちへの宝の地図みたいな本です。私もこれを読んで、また本が読みたくなりました。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「紹介がまた絶妙」
      何となく月並みなんじゃないかな?と思って敬遠してましたが、ちょっと読んでみたくなりました。
      「紹介がまた絶妙」
      何となく月並みなんじゃないかな?と思って敬遠してましたが、ちょっと読んでみたくなりました。
      2012/05/10
  • 女子栄養大学図書館OPAC▼ https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000008332

  • 逗子図書館

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著者プロフィール

評論家・作家。書誌学、メディア論を専門とし、評論活動を行うほか、創作も手がける。
主な著書に『紀田順一郎著作集』全八巻(三一書房)、『日記の虚実』(筑摩書房)、『古本屋探偵の事件簿』(創元推理文庫)、『蔵書一代』(松籟社)など。荒俣宏と雑誌「幻想と怪奇」(三崎書房/歳月社)を創刊、のち叢書「世界幻想文学大系」(国書刊行会)を共同編纂した。

「2021年 『平井呈一 生涯とその作品』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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