I Love Youの訳し方

著者 :
  • 雷鳥社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784844137160

作品紹介・あらすじ

ときに情熱的に、ときに感傷的に、ときに個性的に、ときに狂気的に、ときに浪漫的に。100人の作家による100通りの愛の表現をご紹介します。

感想・レビュー・書評

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  • あなたなら「I Love You」をどう訳しますか?
    「好き」や「愛してる」じゃ足りないとき、どう表現しますか?
    漱石なら「月が綺麗ですね」四迷なら「死んでもいいわ」。
    どうやらどちらの言葉も本当に本人が言ったかどうかは眉唾ものだそうだけれども、文学好きならぽーっとなりますよね。
    この本は100人の作家の100通りの愛の言葉を、作者の望月竜馬さんのコメントつきで紹介したもの。
    小説家や詩人の言葉は重く、恋愛中の高いテンションに満ちている。
    正直、私は今平常運転なので、彼ら彼女らの熱い言葉にビビった。

    その中でも気になったものを。私のコメントも書かせてもらいました。

    「ありがとう。私のことを好きになってくれて。」『私の恋人』藤野恵美

    清涼剤のようなひとこと。
    このような心持ちで居て、度々口に出していけば、恋も長く続くのかもしれません。

    「神様の名を呼ばぬときはお前の名を呼んでいる」『床上独語』八木重吉

    重吉はキリスト者だったのでしょうか。
    恋するひとは神にも等しい…ううん、わからないが、重い。

    「君に似し姿を街に見る時の
    こころ躍りを
    あわれと思え」『一握の砂』石川啄木

    これは分かる!先日もスーパーで宮沢氷魚くん風のメガネを掛けた警備員っぽい格好の若者を見かけ、はああ!と思ったもん。←一緒にすんなってか。

    「思い出さないでほしいのです。思い出されるためには忘れ去らなければならないのが、いやなのです。」『思い出さないで』寺山修司

    この捻くれたレトリック。忘れてほしくないって言えばいいのに。その捻じくれた感じにキュンと来ました。

    「すきになる ということは 心を ちぎってあげるのか だからこんなに痛いのか」『痛い』
    工藤直子

    シンプルな言葉で真実を突かれた感じがする。

    「あなたがたがしあわせになりますように。そして、あなたのことを永遠に忘れられない誰かのことは、どうか忘れてください」『アンデルセンーーある語り手の生涯』アンデルセン

    米津玄師の『Lemon』ですか!
    切ないですねえ。こんな風にひとを想ってみたいものです。

    「あたしあなたにさわりたい」『ヴァイブレータ』赤坂真理

    動物的な、そしてすごく人間的でもあるひとこと。

    「疲れた君がひたすら海をみるための小さな白い椅子でありたい」『短歌往来2009年8月号』
    齋藤芳生

    ハッとする短歌。一番気に入った愛の言葉です。

    「私が生まれたのは、すでに二十四年生きたあとだった」『ジャン・マレーへの手紙』ジャン・マレー

    恋をすると細胞が活性化するらしい。
    生命力が湧いてくる感じするもんね。
    ジャン・コクトーとの手紙の中の一節。

    著者の望月さんのコメントはひとことも載せてないが、ロマンチックだけれど、妙に現実的なところとか、お人柄が垣間見られて興味深かったです。不倫などの人を不幸にする、未来の見えない関係を全力で否定している。

    東京在住のイラストレータージュリエット・スミスさんの表紙に惹かれて借りました。









    • naonaonao16gさん
      なんだろう、わたしは、これまで「わたしを殺して」とかでしたけど。
      最近は徐々に「ずっと一緒にいて」とかになってきてます。問題は、自分がそう思...
      なんだろう、わたしは、これまで「わたしを殺して」とかでしたけど。
      最近は徐々に「ずっと一緒にいて」とかになってきてます。問題は、自分がそう思える相手がいないこと。
      2023/09/23
    • 5552さん
      naoさん

      naoさんが今までに本気でやばい奴に出会わなくてよかったです。

      「ずっと一緒にいて」かあ。
      自分がそう思えて、相手もそう思っ...
      naoさん

      naoさんが今までに本気でやばい奴に出会わなくてよかったです。

      「ずっと一緒にいて」かあ。
      自分がそう思えて、相手もそう思ってくれるって奇跡的なことだと思います。
      でも、そう思える相手も、もしかしたらひょんなタイミングで現れるかもしれませんね。

      2023/09/24
    • naonaonao16gさん
      5552さん

      確かに、本当に危険な奴には近寄らない、っていうセンサーはありましたね。
      問題は、身近にいるやばい奴に呑まれがちなこと…...
      5552さん

      確かに、本当に危険な奴には近寄らない、っていうセンサーはありましたね。
      問題は、身近にいるやばい奴に呑まれがちなこと…笑
      でもそのやばさが魅力的だったりするから不思議です。

      5552さんは素敵なことを言ってくれますね!
      いつもそれを待ち切れずに殺して系男子に惚れかけますが、そんなことを言ってくれる人がいるなら、ひょん、を待ってみるのも悪くないです。
      2023/09/24
  • ILOVEOUを訳してみるとどんな言葉になるでしょう?
    この本では、100人の作家による100通りの愛の表現が紹介されています。有名作家の作品も出てきます。知っている文章があると嬉しくなる。私は太宰治の「斜陽」ににんまり。確かにあの文は情熱的。

    ただ好きだと伝えたい、好きだから不安になったり、寂しくなったり、命がけの想いに、ロマンチックな想い…そんな色んなILOVEYOUが詰まった1冊。
    私の1番好きなILOVEOUは藤野恵美さんの「わたしの恋人」からの一文。物凄くシンプル。だけどそれがやっぱり1番で、私が死ぬ時はその言葉を伝えたい。

  • 「”I Love You” あなたなら、どのように訳しますか?」
    100人の作家による100通りの愛の言葉を、「情熱的に」、「感情的に」、「個性的に」、「狂気的に」、「浪漫的に」の五つのカテゴリーに分けて紹介した作品。

    芥川龍之介、太宰治、谷崎潤一郎といった文豪の言葉があるかと思えば、金原ひとみ、島本理生、最果タヒといった若い現代作家たちの言葉があり。

    たった五つに分類された、たった100フレーズの短い言葉なのに、愛には、美しいだけでない、荒れ狂う気持ち、嫉妬、諦めなど、様々な形があることを思い知らせてくれる。

    個人的に好きだったのは、石川啄木の歌。

    君に似し姿を街に見る時の
    心踊りを
    あわれと思え

    短い言葉から醸し出される、恋の吸引力、懐かしさ、そしてなによりも、寂しさが胸を打ちます。

  • 文豪の引用は素晴らしいです。
    前後の文章もなく、どういった状況で書かれた言葉かもわからないのに、たった一行やたった数行でこちらの心臓を鷲掴みにしてくれるものがいくつもありました。
    人の感性は違うので、どれがどのような作用をするかは千差万別かと思いますが、それでもいくつかの言葉は珠玉として心に残るのではと思います。

    ではなぜ星が1つか。

    ひとえに、作者?著者?の厚顔無恥も甚だしい、コメントともエッセイともいえぬ駄文の羅列があまりにもひどかったので。
    通常であれば、自分の感性に合わなければ、それは決して作者の責任ではないと思って、ただ残念に思うだけですが、今回は久しぶりに文章を読みたくなくなる程度には不快感を覚えました。

    冒頭で、文豪たちの言葉を味わってほしいから、あえて引用元の内容には触れていないとあり、なるほどそれは一理あるなと納得したのですが、ではなぜ、その文豪たちの言葉にひたる時間も与えられぬままに、作者が「直感で」書いたらしい文章を毎ページ読ませられなければならないのでしょうか。
    この本を手に取る大多数の人間は、文豪の言葉の使い方に興味があるはずで、作者のコメントとやらを目的に読むのではないかと思います。恥ずかしながら、私は作者のことを存じ上げなかったのですが、もし作者自身に固定のファンがついているのであれば、わざわざ文豪の言葉を前面に押し出さずとも、「文豪の言葉を読んで作者が思ったこと」といった内容がわかるタイトルで本を出版されればよかったのでは。

    久方ぶりにここまで怒り狂っているのでレビューが長くなりますが、大昔にリリーフランキー氏のエッセイで読んだ「女の子っていうのは、ロマンチストな男が好きだよね。バーとかでさ、俺は世界平和に貢献したいんだとか、恵まれない子供たちにチャンスを与えたいんだよねとかいう男に、女の子たちってすぐにときめいちゃうでしょ?でも、考えてみてよ。その男がさ、本当に世界平和に貢献したくて、本気で発展途上国の子供たちの状況に危機感を抱いているんなら、そいつはなんで都会のバーでへらへら酒なんか飲んでんだって話じゃない?」というような内容を思い出します。
    あえてきつい言葉で書くと、他人の褌で勝負しているんだなこのひとはという思いが大変強かったです。コメントを書いている自分に陶酔しきっているだけで、読者なんて存在はどこにもいない。読み手を意識した文章ではなく、あくまでも耳触りが良い(とご本人は感じていらっしゃるであろう)言葉をそれっぽく羅列しただけかと。

    あとがきで、日本語ではたった一文の英語(I love you)を何通りにも訳すことができるから、日本語は世界で最もロマンチックな言語である、とありましたが、日本語が最も優れているというような書き方をする意図が理解できません。本の中には、シェイクスピアやゲーテ、ナボコフやコクトーといった非日本人の引用も載っているにも関わらず、しかもそれらは全て、訳者のものではなくオリジナルの文豪のものだとあるにも関わらず、なにをもってして非日本語を扱う文豪たちは常に「I love you」とした書かなかったというような扱いになっているのでしょうか。はなはだ謎です。
    日本語はロマンチックかもしれませんが、ドイツ語も英語もフランス語も中国語もロマンチックでしょう。優劣を決める意味がわかりません。

    と、散々、悪いレビューを書きましたが、引用されている言葉は美しいものが多く見られて、何度もドッグイヤーをつけました。すでに知っている文豪から、名前だけは知っているけれど作品は読んだことがない文豪までいて、新しい作家を知るきっかけになるかと思います。
    再三再四になりますが、作者のコメントがなければ、文句なしの星5つの本になるかと思います。

  • 日本語の奥ゆかしさに触れることが出来る。
    ロマンチックだったり狂気的だったり。

  • 100人の作家の100通りの愛の表現を集めた本。所謂「文豪」と呼ばれるレジェンドの名言から、現在活躍中の若い作家さんの作品まで、幅広く紹介されています。

    小説なり書簡なりの中からポンと抜き出されたたった数行の言葉なのに、「わかる!」って何度も何度も頷いてしまったり、心臓を鷲掴みにされたような衝撃を受けたり、自分が言われた訳でもないのに思わずにやけてしまったり……。
    激しく情熱的な言葉もあれば、狂気すら感じる鋭い言葉もある。冷たくいじけた言葉もある、ふわふわと夢見ているような言葉もある。だけどこれ全部言わんとしていることは「愛」なんだなあ。
    様々な名作を一口ずつ味見させてもらっているような気持ちで読みました。

    ただ、各名文に添えられた著者のポエムがちょっと……。
    「編集者・ライター・ロマンチスト」である著者が「直感」で書いたコメントだそうですが、名文そのものを素直に味わいたい人にとっては蛇足かと。
    100通りの愛の言葉を楽しむ、という趣旨にしては、著者が全面に出過ぎている感じ。
    著者の「同じ文章を読んでも、ちがう受け取り方をする人はいるはずです。」(あとがきより)という考えには全面的に賛成なんですけど、私にとっては解釈違いを超えて殆ど別の話題のように感じたものも結構あったんですよね(こればっかりは相性が合わなかったと思って諦めるしかないんですけど)。

    本文のフォントはすごく好き。

  • 文豪たちの素敵な言葉が綴られている本。
    I love youを夏目漱石以外なら、
    どんな訳し方をするのかといったロマンティックな本です。

    小説はあまり読まないですが、これは面白かったです。
    ただ、内容がちょっとあまりに薄すぎるかな?

  • ゼミの先生に貸していただいた。
    「疲れた君がひたすら海をみるための 小さな白い椅子でありたい」という齋藤芳生の表現が好きだった。

  • 愛という言葉を使わずに、愛を表現しなさい。
    というのが小説の基本だと読んだことがある。
    どの言葉も言われてないのに、愛なんだなぁ、と胸に落ちる。

  • 100人の作家による「I Love You」の表現を作品の中から引用。

    夏目漱石がI Love Youを「我君ヲ愛ス」と訳した生徒に、日本人はそんなことを言わない、「月が綺麗ですね」と訳しておけと言ったという有名な逸話、大好きなんですよね~。
    作品をまるごと読んでいればまた違った風に感じるんでしょうが、ピンとこないものもあったけど、台詞1つで物語まで浮かぶようなものを書くってのはすごいな。石川啄木のとハンス・クリスチャン・アンデルセンのが好きです
    現代有名作家のI love youを表現したアンソロジーとか出してほしいな~

  • 教授から後ろから訳さないと言われた。

    私、愛す、あなた。

    英語は訳さなくて良くて、いちいち日本語に変換しない。

    それぞれの言葉がある。
    単純に言葉が好きな人にはお薦め。

  • 古今東西、様々なジャンルの作家のロマンチックなフレーズを紹介。右にフレーズ、左に筆者の一言を。どんな場面で使われているのか気になるフレーズが複数あったのでそこからさらに読書の幅が広がる。

  • この世界には日ごとに、数えきれないくらいのあたらしい物語が解き放たれている。
    そのすべてを読むには一人の人間の体では足りない、ということを嘆いたことはありませんか?

    自分の知らない素晴らしい物語が、文章が、表現が、きっとどこかで生み出されている。

    そのすべてを読むことができないから、自分と感性が似た誰かが選んだ「これはよかった!」というものを参考にするのですが、この望月氏はきっと、恋愛における感性がとても自分と近いんだと思います。

    立ち読みしているとき、太宰の『斜陽』や金原ひとみの『星へ落ちる』の、一番好きなフレーズが目に入って、あ、買おう!と心に決めました。
    そしてその直感は大当たりでした。

    選ばれたフレーズは素敵なものが多くて、付箋を一つずつ貼って、これから原本を読んでいくのが楽しみです。
    ただ左側の著者による解説は野暮です。(もっと直截にいうなら、不要です・・)
    それでも広い本の海から素敵なフレーズを集めて一冊の本を作ってくれたことは高く評価したい。

    インスピレーションを得たいとき、手元においてパラパラと眺める、長いつきあいの一冊になりそうです。

  • 100人の作家の愛の表現
    それぞれにすごいなあ
    これらの言葉に酔うには私はかなり歳をとりすぎました
    やはりね
    かなしいけど
    著者の説明(?)がまどろこしくなって文豪たちの言葉だけを味わっていきました
    ≪ 恋をする 言葉がすべて 詩になるの ≫

  • 日本語のおもしろさを1文で表した、本のタイトルがすてき。

    ・話したいことよりも何よりもただ逢うために逢いたい(大正ロマンを代表する詩人、画家・竹久夢二)

    ・今あるものを失うのが惜しくて、なにもしないまま諦めてしまってはいけない。きっと、後悔という一生捨てられない荷物を、背負うことになるから。

    ・幸せとは、すでに完成されたものではない。手に入れてから育ててゆくものだ。感謝や愛情という栄養を与えなければ、さびしさという日陰ですぐにしおれてしまうだろう。

    ・大人であることを言い訳にして、素直になることを怖がってはいないだろうか。

    ・人が緊張する原因は、「よく見られたい」と思うことにある。だから、よく見られようとなんてしなくていい。ありのままの姿は、案外誰の目にも魅力的に映るものだ。

  • うは〜〜〜
    イッキに読んでしまいました、、、
    好きすぎる内容で、、
    しかも著者と趣味が似てるのか、刺さる作家の多いこと

    僕は君が結婚したら、死ぬ。きっと死ぬ

    は字面が好きすぎて、なんども読んでしまいました笑
    著者の当たり障りないけど、自分なりに汲みたい、という文章がまた意見交換できるみたいで良かった

    やっぱり作家さんなだけあって、ほんとにどれも素敵なI love youです、、、

    私も自分なりに訳したいな

  • すきになる ということは 心を ちぎってあげるのか だから こんなに痛いのか   工藤直子


    好みは分かれる本かもしれませんが、刺さる言葉がある時も
    整理ができない気持ちを色々な言葉のプロたちが表現して、スッと言葉にしたらこんな気持ちなのかなと思わせてくれる言葉がある本

  • 夏目漱石の“月が綺麗ですね”のように、古今東西の作家がI Love Youを訳した本。
    日々言葉と向き合っている作家たちの手にかかれば、こんなにも素敵で、こんなにも心をつかまれるのかと驚いた。

    話したいことよりも何よりもただ逢うために逢いたい
    竹久夢二
    →逢いたいから逢いたいという純粋な好きが表現されている。好きな人ならば、目的なんかなくても逢いたいと思う。恋をしたときに思うことなのではないだろうか。

    正直、重いと感じるものもあった。まだ私がそこまで想える相手に出会えていないからだろう。けれど、自分の“好き”をこんなに素敵にできる作家たちの表現力が羨ましいと思ってしまった。

    想いが真剣であるからこそ、簡単に言葉をかけることができずに遠回しになってしまったり、重い表現になってしまう。誰かを想う繊細な表現の数々に言葉の力はすごいと思いました。


  • 1.おすすめする人
    →文学に興味がある、リアルな恋愛に疲れた、
     文豪に想いを馳せたい

    2.内容
    →さまざまな時代の文豪たちが
     作中の中で、自分たちの言葉で愛を綴ったものを
     まとめた作品。
     それぞれの文豪が思い思いに愛を伝えた文章は、
     感慨深いものがある。
     こんな言葉言われてみたいと思うような内容や、
     愛おしい誰かを思い出すキッカケになる内容、
     読んでいて涙が出る。
     絶版中とのことで、入手困難。

  •  「I Love You」という言葉を、夏目漱石は「月がきれいですね」と訳し、二葉亭四迷は「死んでもいいわ」と訳した、という逸話があります。耳にしたことがあるという人も多いのではないでしょうか。
     本書は、「情熱的に」「感傷的に」「個性的に」「狂気的に」「浪漫的に」という5つのカテゴリーで、国内外の100人の作家が作品や手紙に記した愛の言葉を、作家の紹介と共に掲載しています。気分によって読むジャンルを変えてみるのも楽しいかもしれません。

     『話したいことよりも何よりもただ逢うために逢いたい
      竹久夢二 『竹久夢二、恋の言葉』(河出書房新社)より』

     本書の一番最初に掲載されている言葉です。
     その人と何かを話したいとか、どこかへ行きたいとか、「〇〇のため」という目的がなくても、ただ逢いたい、という想いがストレートに伝わってくる言葉です。短い言葉ですが、愛情の深さがうかがえます。
     「愛してる」と言う習慣がない日本ですが、直接「愛してる」と言わなくても、表現の種類は人の数だけ存在します。日々言葉と向き合い続ける作家たちは、「愛してる」という意味を実に多種多様に表現しています。また、それを受け取る側も、解釈の仕方はそれぞれ異なるでしょう。ひとつひとつの言葉に著者のコメントが添えられているので、共感したり、違う解釈をしながら読むのもおもしろいと思います。本書から気に入った言葉が見つかったり、またそこから作品を知り、作家を知る、というすてきな出会いがあるかもしれません。ぜひ、読んでみてください。
     私は本書を読んで、自分で言葉を考えて表現する、という大切さと素晴らしさを感じました。さて、あなたなら「I Love You」をどのように表現しますか?

    (へろへろ隊員 いわしま)

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著者プロフィール

編集者・ライター・ロマンチスト。大分県出身。思わずくすぐったくなるような、感性を刺激する本作りがテーマ。担当作に『悪魔の辞典』『ロマンスの辞典』『言の葉連想辞典』などがある。

「2018年 『ロマンスの辞典』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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