デザイン家電は、なぜ「四角くて、モノトーン」なのか?

著者 :
  • エムディエヌコーポレーション
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本棚登録 : 86
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784844363941

作品紹介・あらすじ

良いデザインとはなにか。どこから来て、なぜここに至るのか、について考察したプロダクトデザイン論。

感想・レビュー・書評

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  • デザインの現代の歴史的流れを知る上で、おもしろい本だった。建築のデザインに共通するものがあった。著者は、シャープでデザインをしていたこともあり、デザイン・オタクでもある。
    この本は、デザインにポイントを置いて、家電のデザインの変遷の歴史を論述している。つまり、家電のデザインは、「なぜ四角くて、モノトーンなのか」を説明する。
    デザインにおいては、出会いにおける第1印象をどう作るかである。人と人の出会いは、物腰といい、文章では文体と言い、モノではフォルムという。
    「デザインの美しいものは、より使いやすいと認知され、より受け入れられやすく、長く使われ、創造的思考と問題解決を促す」という。固いー柔らかい。フォーマルーフレンドリーの軸で評価される。「信頼できるか」「信頼できないか」というのが第一印象による判断の核心かも指摘している。
    フォルムには、四角形、三角形、円形、有機的がある。結局家電のデザインのルールは、四角畔、モノトーンが無難という経験的結論となった。それは、誰にも嫌われないことが生活家電のデザイン特徴となる。この結論ありきの、論考はおもしろい。非常にたくさんのユニークな家電が出される。
    卓上で使う電子レンジは、円盤のように丸いものとか、ユニークなものは多いが、淘汰されて行く。
    そして、デザインは、ドイツのブラウン、ソニー、アップルへと変遷して行く様を説明する。
    ソニーが、デザインで優れていたが、結局アップルのデザインがうわまって行くのである。
    その辺りは、残念だが、言われてみるとなるほどと思う。
    アップルをデザイン的にシンプルだと思っていたが、デザイン的な視点からみたアップルのこだわりが明快に語られているので、こういう視点で見るのかと感心した。
    モノのフォルムについて、もっと注意深い観察が必要だと思った。
    ホイジンガの「ホモルーデンス」において、遊びは文化よりも古く、人は本来「遊ぶ人」であった。
    その遊びの定義からデザインを表現すると「制限された空間や時間の中で、独自のルールに従って行う創意に基づく自由な活動」と著者は定義する。遊ぶためには、ルールがいるというまとめかたもありだね。勉強になる本だった。

  •  デザインの読み方のエッセイといったところか。表題の答えらしきものは書いてあったが明確ではなく、全体を通して何を言いたいのかよく分からなかった。ただし、著者がアップルのデザインが大好きであるということはよく分かった。内容自体は悪くはないと思うので、変に解説書のような書き方をせず、エッセイとして書いたほうが良かったように思う。

  • 家電のデザインの基本ルールをさらった上で、実際にあったユニークな家電(丸い電子レンジとか)を紹介。
    結局、四角でモノトーンは、誰からも嫌われないフォルム(=フォーマル)なので採用されている。

    その上でAppleのデザインの特徴の言語化。
    ブラウンとソニーを土台に変化球フォルムを仕立てあげているという考察は納得できて面白かった。

    10年前の本だけど、今でも転用できる物の見方を学べた。
    iPadを使ってた当時を思い出しながら、楽しく読めました笑

  • -

  • タイトルは「なぜ四角くて、モノトーンなのか?」ですが、それより、「なぜ奇をてらったような特殊なデザインは流行らないのか?」「なぜデザインは四角くてモノトーンのものに収斂していくのか?」ということがよくわかります。論旨は論理的なのでとても読みやすいです。
    最後の方はちょっとアップル寄りすぎか、と思わなくも無いですが、でもまぁアップルが「ふつう」の範囲を広げてきたのは間違いないでしょうね。その辺の理屈も、ははぁ、なるほど、と思わされます。

  • パラ読みで終了


    「マニアでない大半のユーザーは、見た目の面白さよりフォーマルさを求める」

    ゆえに、最近のAppleはフォーマルな形が多い、とな。


    たまにパラパラすると面白いこともあるかも。今、それがないのは失敗したことがあるからだ、ということは多々あって、歴史は一通り知っておくべきですな。

  • 2014年1月刊。帯は「ブラウンからソニー、そしてアップルへ」
    ◆【引用メモ】大量生産される家電製品のフォルムには、一部の人に受け入れられることにより、できるだけ多くの人から嫌われないフォルムが求められます。
    丸いフォルムはフォーマルだけど柔らかすぎる。三角形フォルムは固いし、有機的フォルムは柔らかすぎる。今後長く付き合うなら、面白さよりもフォーマルなフォルムのほうが信頼できる。そう感じるユーザーが多いため、家電製品のフォルムはフォーマルな四角形が一般的になっているのです。(p.62)

  •  著者がこの本を書いた理由は、「もっと家電のデザインについて気軽に話が出来てもいいのになあという」願いからだとある。確かに、家電を選ぶ場合、デザインよりも機能、値段に重点を置いている。

     テレビをつけていたらどこかの会社の社長が、これからの電化製品は機能面では差が付かないのでデザインで付加価値を付けると言っていたのを思い出した。これだけ物があふれる時代だと、何か斬新なものをおまけに付けないと売れる前にまず話題にすら上らない。著書を読んでいるとデザインにもいろいろあったのだなあと思った。

     丸くなったり、四角くなったり、流線形になったりしているが、「売れるのはフォーマルなデザイン」と述べている。というのは、「面白い」デザインであっても、実際に買いたいデザイン」というのがあり、それはオーソドックスなデザインをユーザーが求めているからだとある。みんながあのピカソやダリのようなアバンギャルドな感性の持ち主だったら奇抜なデザインの家電も売れるだろうが、なかなかそうはいかない。

     電気カミソリで有名なブラウン、かつて一世を風靡したソニーやアップルの製品が取り上げられているが、これからのデザインはどうなっていくのか。これから発展していき経済水準の上がっていく国や地域から今までにないデザインを創造するデザイナーの登場に期待したい。製品にも遊び心が必要だからなあ。

  • タイトルにつられて読んでみた。タイトル「デザイン家電はなぜ四角くてモノトーンなのか」について作者は「基本的なルール」と言及。その根底には日本の住環境に馴染むフォルムということと、製品設計の合理化がある。しかしながら、そんなフォルムばかりではちっともつまらないので、最終的には消費者のニーズにマッチしているなら、ルールをベースにして直球でいくか変化球でいくかは自由である。直球の代表として「BRAUN」「無印」など、変化球の代表として「ソニー」「APPLE」を挙げている。あくまで家電デザインの一知識として。

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784844363941

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