肩書きだけの管理職: マクドナルド化する労働 (シリーズ労働破壊 3)

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  • Amazon.co.jp ・本 (159ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784845110438

感想・レビュー・書評

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  • マクドナルドを読んだ時点では、ここにも小泉-竹中ラインによる米国化の悪影響がはっきり表れています。これでTPPとなれば、まさしく普通の労働者にとっては、恐怖の世界に!

    当たり前ですが、いずれも上記の小泉-竹中構造改革の終了と共に急速に社内の雰囲気が重苦しいようになったものばかりです。

    最後のCFJではホワイトカラー・エグゼンプションが取り上げられていました。米国の余計なおせっかいによる日米投資イニシァティブで導入が勧告されたとありますが、こんなもの導入されれば、更に状況は悪くなるばかりです。

    労務管理強化に走った挙句に、その会社自体の業績もここへ来て更に悪化。ましてや現在の政治状況では、非正規労働の問題は先送りされ、復興増税や消費増税に加えて、官僚による復興予算の流用など、悲惨な政治状況になっていますので、職場の環境も改善とは程遠いものと予想されます。

  • 今日、読んだ本の2冊目はこれでした。
    1日で2冊の本に加えて1本の映画を観る自分。

    じっとしてらんない性格で、試写会に行き出すまでは映画もあんまり観なかったし、活字読むのも苦手だった俺からはちょっと想像できないけど、今は意外と普通にできてたりして。
    人間、変われるもんですね。

    で、この本。
    俺個人の感想としては、働いてる人たちみんなに関わる大問題だし、段違いの勘違いを防ぐ為にもみんなに読んで欲しいと思いました。

    【著者からのメッセージをHPより転載。】
     ハンバーガーショップにファミレス、コンビニ、ロードサイドの紳士服チェーン、消費者金融…。「シリーズ労働破壊」の第3巻が取り上げる企業は、どれも過去20年ほどの間に飛躍的な成長を遂げ、今や日本中の街のいたるところで展開されている業種ばかりだ。現代社会を体現しているかのような企業群の労働現場における実態の、なんと凄まじいことだろう。

     …どんなに頑張っても報われない。店長や支店長は“管理職”だからという理由で、残業代がまるで支払われなくなった。過労死、過労自殺は日常茶飯事。会議で社長に意見したら鉄拳制裁を食らった店長もいたという。経営者の水準が著しく劣化してしまった。

     労働基準法が労働時間や休日に関する規定の適用を除外しているのは、いわゆる管理職でなく、「管理監督者」だ。経営者と一致する立場の者を指す。絶えずノルマに追われ、自分の帰宅時間を決める権限も与えられずに本部の上司に罵られまくられている人々の、どこがどう当てはまるのか。各店長に現状を報告させるためだけの会議を“経営会議”と呼んで、彼らが経営に参画しているかのように見せかけている企業さえあった。何のことはない。管理職という名の、店長たちは奴隷にされている。
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    管理職ってなんなの?現場のリーダーは管理者であっても、経営に携わってるとは言い難い。だから、管理監督者とは言えない。だから、この範疇には収まらないんだから残業代は出ても良いと思う。というか、職位が上がって責任範囲も広くなって忙しくもなってるのに年収が下がるなんてことがまかり通っていいのかと思ってしまいました。

    企業が人件費を削減したいのはわかるけど、これじゃ頑張る気も起きないよ。。。
    で、追い討ちかけるように「できないのは管理者のせいだ」なんて言われた日には参りますね。これは、どんな業界にも言えるんじゃないかな。。。

    折りしも、つい先日この本の中に出てくるマクドナルドの残業代裁判の判決が出た。
    結果は、「管理監督者とは認められないので、残業代を認める。」だった。
    当たり前だよ。過去2年分しか請求できないってのがなんともやるせないけど、それでも大きな一歩だったと思います。他の企業にも牽制になったんじゃないかなと。

    っとまぁそんな評価されなかった現場リーダとは逆に、その名の通り「肩書きだけの管理職」って人も実際いるけどね。。。
    経営層のレベルの低下。これは、年長者に話を聞くと結構いつも出てくるけど、中途半端な成果主義が根っこにあるような気がしますわ。
    今まで何もできない人は何もやらなくても職位が上がってったけど、成果主義が取り入れられたことで何かしなくちゃ上がれなくなった。そこで、現場知らねぇくせに権限だけは持ってるから思いつきで体制変更なんかして、いかにも「俺はやった」的な。組織の法則だからしょうがないっちゃしょうがないけど。。。なんか世の中おかしいよなって思います。

    多分、実力もあってめっちゃ仕事できる人なのになかなか評価されず、それでも腐らず頑張ってる人って世の中にたくさんいると思います。そんな人たちが少しでも幸せな生活を送れるようになればいいなぁと。その為には、やっぱ知識の底上げって必要だよなぁ。。。

  • ●No.1

  • 役職は管理職でもやってることはアルバイトと同じ。責任と低賃金と不自由だけを押しつけ、それを恥じるどころか合理化する経営者たち。まったく正当な怒りに満ちた書。「過労死するのも自己責任」とほざく無神経さ。同じ人間とは思えない。ならば空巣に遭うのも、強盗に襲われるのも、拉致されるのも、そして殺されるのも自己責任か。それぞれの個人の力を超えた、自らではいかんともしがたい大きな力を防げなかったことをもって、その人を責めることができるだろうか。残念ながら人間はそこまで「自由」ではないのだ。しかし、職場の理不尽な圧力に対しては、私たちはたたかう自由を持っているのだ。

  • 分類=経営・人事・労働。07年12月。

  • これまで、労働問題の本はいくつも読んだけど、正社員で管理職という立場から書かれた本は初めてだった。
    実際の仕事はアルバイトとさほど変わりないにも関わらず、無理やり店長という管理職扱いにされ、過酷な労働条件のもと働かされている。
    世の中では、こうして正社員でも搾取されている労働者がごまんといる。
    あー誰もが安心して働ける社会はほど遠い・・・。

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著者プロフィール

1964年生まれ。産湯は伊東温泉(静岡県)。週刊誌記者を経てノンフィクションライターに。『ネットと愛国』(講談社+α文庫)で講談社ノンフィクション賞、「ルポ 外国人『隷属』労働者」(月刊「G2」記事)で大宅壮一ノンフィクション賞雑誌部門受賞。『ルポ 差別と貧困の外国人労働者』(光文社新書)、『ヘイトスピーチ』(文春新書)、『学校では教えてくれない差別と排除の話』(皓星社) 、『「右翼」の戦後史』(講談社現代新書)、 『団地と移民』(KADOKAWA)、『沖縄の新聞は本当に「偏向」しているのか』(朝日文庫)他、著書多数。
取材の合間にひとっ風呂、が基本動作。お気に入りは炭酸泉。

「2021年 『戦争とバスタオル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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