- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784845627509
感想・レビュー・書評
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5年積読にしていてやっと読んでみたら、松本隆がこんなにフィリーソウルについて熱く語っていたことに驚いた。知らなかったな。
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ぼくは「はっぴいえんど」の解散した72年に生まれ,本書が単行本として出版された75年には,フィラデルフィアに住んでいた。著者によると,アメリカの「いくつかの都市にはそれぞれの特徴を持ったソウルが在」る(236頁)。そしてフィラデルフィアは,メンフィス,ロスアンジェルス,デトロイト,シカゴ,ニューヨークとともに,「都市のサウンドを確立させてい」た(236頁)。いわば,それぞれの都市には,それぞれの音があり,フィラデルフィアには「フィラデルフィアの音」(227頁)があるという。
ぼくがフィラデルフィアに住んでいたのは3歳から5歳までだったから,どの音がその音なのかは区別できないままに育った。ぼくにとってみれば,セサミストリートも立派な「フィラデルフィアの音」だった。ただ,あの時テレビやラジオ,あるいはスーパーマーケットのBGMから聞こえてきた音楽や,街角において黒人たちの呟く歌声は,まさしく著者の言う「フィラデルフィアの音」だったのかもしれない。だから,ぼくの体には無意識ながら,アメリカの都市のリズムが染みついていたことになる。やがて,ぼくが8歳で迎えた80年代に,著者が詞を表し,著者の親友たちが手掛けた曲を聴くにつけ,そのような幼児体験が掘り返されたのだと思われる。 -
1975年刊行作品が文庫で復活。歌謡曲の作詞家として歩み始めた時期の評論は貴重。当時の状況を推測しながら、後に生まれた様々な詩の始まりを夢想する。風街ではなく春街スケッチも印象深い。
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松本隆氏がこんなにも黒人音楽を好きだとは知らなかったし、音楽家として音へのこだわりも強いことを知らなかった。文章に初々しさもあり、今までいくつか文章を読んだけど、これは新鮮だった。