葉桜と魔笛 (立東舎 乙女の本棚)

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  • Amazon.co.jp ・本 (48ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784845628971

作品紹介・あらすじ

太宰治の『葉桜と魔笛』が、畠中恵原作の人気シリーズ『まんまこと』のコミカライズなどで知られ、色彩豊かな和服イラストで人気のマンガ家紗久楽さわによって、鮮やかに現代リミックス。全イラスト書き下ろしで贈る、珠玉のコラボレーション。

感想・レビュー・書評

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  • 三十乙女読了です♪
    太宰治と紗久楽さわさんのコラボ作。
    紗久楽さわさんははじめましてですね。
    これぞ少女マンガってタッチのイラストが太宰の世界観とよくマッチしていました。

    <あらすじ>
    老夫人が、35年前に亡くなった妹との思い出を語ります。妹は腎臓結核で余命宣告されていましたが、自分で自分あてに恋文を書いて、男性との恋愛を夢見ていました。老夫人は、妹の苦しみを和らげるために、その恋文の相手になりすまして手紙を書きました。しかし、妹はそれに気づいていました。妹は、青春を謳歌できなかったことを悔やみながら、老夫人にもっと恋愛をしてほしいと言いました。そのとき、外から軍艦マーチの口笛が聞こえてきました。それは、老夫人が妹に約束したものでしたが、実は神のしわざだったのです。妹はその3日後に亡くなりました。老夫人は、今でもあの口笛が父の仕業だったのか、神のお恵みだったのか、わからないと言います。

    この作品は、貞操を守ることの美しさと、処女を捨てて青春を楽しむことの素晴らしさという、二つの読み方ができると言われています。また、日本海海戦の砲声が物語の背景にあり、当時の日本の社会情勢を反映しています。太宰治の妻の美知子は、この作品のヒントは、彼女の母が日本海海戦の砲声を聞いた話だと述べています。



    太宰治の『葉桜と魔笛』が人気マンガ家とコラボレーション!

    不朽の名作が、いま新たによみがえる。
    太宰治の『葉桜と魔笛』が、畠中恵原作の人気シリーズ『まんまこと』のコミカライズなどで知られ、色彩豊かな和服イラストで人気のマンガ家・紗久楽さわによって、鮮やかに現代リミックス。全イラスト書き下ろしで贈る、珠玉のコラボレーション・シリーズです。
    巻末には、『グッドモーニング』『死んでしまう系のぼくらに』などで知られ、今をときめく詩人・小説家である最果タヒのシリーズ共通エッセイを収録。
    自分の本棚に飾っておきたい。大切なあの人にプレゼントしたい。そんな気持ちになる「乙女の本棚」シリーズの1冊です。

    著者について

    太宰治(だざい・おさむ)
    明治42年(1909年)青森県生まれ。小説家。1935年、「逆行」が第1回芥川賞の次席となり、翌年、第一創作集『晩年』を刊行。『斜陽』などで流行作家となるが、『人間失格』を残し玉川上水で入水自殺した。

    紗久楽さわ(さくら・さわ)
    大阪府出身。マンガ家。インターネット上で自主公開していた江戸の浮世絵師たちを描く「猫舌ごころも恋のうち」が書籍化出版。繊細で色気溢れる絵柄で人気を博し、幕末の歌舞伎を題材に取った『かぶき伊左』で連載デビューを果たす。畠中恵原作の人気シリーズ『まんまこと』のコミカライズなど、時代描写には定評がある。

    • かなさん
      ヒボさん、こんばんは!
      このお話、切ないですよね…。
      葉桜のころ…今年の葉桜は
      きっと違って見えるんでしょうね(*^^*)

      乙女...
      ヒボさん、こんばんは!
      このお話、切ないですよね…。
      葉桜のころ…今年の葉桜は
      きっと違って見えるんでしょうね(*^^*)

      乙女の本棚シリーズ順調に読まれていますね!
      もう、追い抜かれそうだわ(^-^;
      2024/02/05
    • ヒボさん
      かなさん、おはようございます♪
      太宰の切ないストーリーでした。
      今日は午後から雪予報。
      気をつけてくださいね。
      かなさん、おはようございます♪
      太宰の切ないストーリーでした。
      今日は午後から雪予報。
      気をつけてくださいね。
      2024/02/05
  • 太宰治と人気漫画家の紗久楽さわさんのコラボ作品。
    「葉桜と魔笛」
    切ない、姉妹愛を感じる作品でした。

    主人公である老婦人の、三十五年前の回想という形で進む物語。
    二十の主人公は既に母を亡くしていて、中学校長である頑固で厳格な父親と十八の病弱な妹と三人暮らし。
    妹の死期が迫り、ただ側で黙ってみていることしか、できない主人公は気も狂わんばかりに苦しんでしまっていた。
    日本海大海戦で、軍艦の大砲の音が絶え間なく響いてくる時代の最中でも、ただただ妹の事ばかりしか考えられない状態。
    そんなある日、妹の箪笥の中に恋人と文通していたらしい手紙の束を密かに発見する。
    当時、自由な恋愛などできない時代なので、はじめは自分まで浮き浮きした気持ちでいたのだが、最後の手紙の内容には、雷電に打たれたときのような衝撃を受けてしまう主人公。
    そしてある行動を起こす。
    妹の為に…!!

    途中で出てくる妹の台詞がなんとも切なかったなぁ。
    「ああ、死ぬなんていやだ。
    あたしの手が、指先が、髪が可哀そうー」
    まだ若い女性である妹の心の叫びは…たまらない。

    そして時々
    姉として、女性としての主人公の複雑な心理も、垣間みれるような部分もあって…
    なんともいえない、切なさも感じた。

    魔笛についても幾通りか考えさせられて、あとを引く読後感。
    葉桜の奥から聞こえてきたという軍艦マアチは、まさに魔笛という表現で、しっくりくると思った。
    魔笛の謎はどうあれ、それで姉妹はそれぞれ救われたのだといえると思う。
    じんわりあったかい気持ちになった読後感は良かった。

    「葉桜のころになれば、私はきっと思い出しますー」
    主人公が年老いてから語るという構成も素晴らしい。
    このタイトルも素敵。

    • かなさん
      チーニャさん、おはようございます(^-^)
      「葉桜と魔笛」すごくいいお話でしたよね♪
      妹さんが苦しんでいてそれを見ている姉もまた苦しんで...
      チーニャさん、おはようございます(^-^)
      「葉桜と魔笛」すごくいいお話でしたよね♪
      妹さんが苦しんでいてそれを見ている姉もまた苦しんで…
      でも、最期には受け入れることができたのかな…って、
      切ないけれど、家族の愛情をいっぱい感じたストーリーでしたね!
      2023/07/24
    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      かなさ〜ん、おはようございます。
      やっぱり太宰治の作品。
      名作ですね!!
      昔の時代の女性の生きづらさがあるなかで、だからこそより切なく、家族...
      かなさ〜ん、おはようございます。
      やっぱり太宰治の作品。
      名作ですね!!
      昔の時代の女性の生きづらさがあるなかで、だからこそより切なく、家族愛は強く感じられるような作品だったなぁと感じましたよね〜♡

      「女生徒」、「待つ」などでも思いましたが、女性主人公の一人語りの構成は太宰治の得意とするところなんだなとも、感じました。女性心理描写が見事ですよね〜
      女性一人だけの視点でしか描かれていないために、はっきりしない…。思わせぶり、というか、いろいろ考えられる描写にしていて、それが物語を面白くさせていますね…。
      かなさん、すごく良かったですね♪ありがとうございました(*^^*)
      2023/07/24
  •  乙女の本棚シリーズから、太宰治さんと紗久楽さわさんのコラボ作品の「葉桜と魔笛」です。鮮やかな表紙で、少女漫画から抜け出してきたような姉妹が描かれていますね♪って、いうか…お姉さんなのって、彼かと思っちゃった(^-^;)

     桜が散って、このように
     葉桜のころになれば、
     私は、きっと思い出します。

     で、はじまるストーリー。なんともきれいで切ないはじまり…老夫人が語りだしたのは、今は亡き妹と父のことでした。35年前、妹は腎臓結核の診断にて余命いくばくもない状態…ある日妹がしまい込んでいた、恋人と思われる男性からの手紙を発見する…。妹を元気づけるために、姉は恋人になりすまし手紙を書いて妹の枕元におく…。姉が書いた手紙だといとも簡単に見抜いた妹、そのわけは…。

     切なすぎる(涙)。そして、家族愛を思いっきり感じられる作品でした!!家族の思いを最期に感じとることができた妹は、この手紙のおかげでこの世での悔いをちょっと減らせたのかもしれない…きっと、そうだと思う、と解釈しました。

    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      綺麗なあったかい愛情も感じられる素晴らしい作品でしたね。
      いつまでも残ります、余韻が…。
      そして…ね、かなさん。
       
       葉桜のころになれば
      ...
      綺麗なあったかい愛情も感じられる素晴らしい作品でしたね。
      いつまでも残ります、余韻が…。
      そして…ね、かなさん。
       
       葉桜のころになれば
       私はきっと思い出します…よね。
      2023/07/26
    • かなさん
      チーニャさん、ホント今日も暑かったですねぇ…
      お疲れ様です!!
      ことしの夏は、暑すぎて…溶けそうですよねぇ(*_*;
      チーニャさん、ホント今日も暑かったですねぇ…
      お疲れ様です!!
      ことしの夏は、暑すぎて…溶けそうですよねぇ(*_*;
      2023/07/26
    • かなさん
      チーニャさん、本当に、この 

       「桜が散って、このように
       葉桜のころになれば、
       私は、きっと思い出します。」

      はじまり…...
      チーニャさん、本当に、この 

       「桜が散って、このように
       葉桜のころになれば、
       私は、きっと思い出します。」

      はじまり…頭に残って離れませんよね!
      思い出すだけで、気持ちが豊かになるような…
      ステキな作品でした。
      チーニャさんと共感できて、ホント嬉しいです(*^^*)
      2023/07/26
  • 乙女の本棚シリーズ
    太宰治の葉桜と魔笛は読んだことがなかったので選んでみた。
    話し言葉から始まり、美しい病弱の妹と無理難題の甘えも受け入れる優しい姉との手紙にまつわる話で、胸がきゅっと締め付けられる短編小説。ああ、先の見えない不安に包まれた時代にタイムトリップしたような気分。大砲の音、軍艦マアチの音色も恐怖心をあおりながらも、姉妹の甘美な時間が切なさを際立たせる。

    文章だけで読むのもいいけど、このように個性的で豪華な挿絵も作品に奥行きが出るよう。たまには良いかも。

    • ☆ベルガモット☆さん
      かなさん、初めましてメッセージ、嬉しいです☆
      こちらこそ、たくさんのフォローといいねをありがとうございます!
      短歌をご覧になったんですね...
      かなさん、初めましてメッセージ、嬉しいです☆
      こちらこそ、たくさんのフォローといいねをありがとうございます!
      短歌をご覧になったんですね、恥ずかしい(≧▽≦)

      そうそう、かなさんは乙女の本棚シリーズ、もしかしてコンプリートなさったのでしょうか!圧巻の本棚ですね♪ヨシタケシンスケもいっぱい読了されていて凄いなあと思ってました。
      私もかなさんのレビューに本への愛情が伝わってきて、読みたい本いろいろチェックしておりました。
      これからどうぞよろしくお願いいたします!
      2023/08/14
    • かなさん
      ベルガモットさん、こんばんは!
      5552さんと同じく短歌佳作に選ばれて
      同じ雑誌に掲載されるなんて
      なんとも喜ばしいですね(*^^*)...
      ベルガモットさん、こんばんは!
      5552さんと同じく短歌佳作に選ばれて
      同じ雑誌に掲載されるなんて
      なんとも喜ばしいですね(*^^*)
      おめでとうございます♪
      私は短歌詠むことはできないので
      最新のレビューにお祝いする勇気がなく
      こちらにひとことお祝いコメントしました。
      これからもステキな短歌、
      作ってくださいネ(*^-^*)

      乙女の本棚シリーズは、
      よく利用する図書館にそろってます。
      で「蜜柑」と、最新作の「木精」がなくって、
      あとしきみさんの作品集もないんですが…
      大体読めています(*^^)v
      2023/08/27
    • ☆ベルガモット☆さん
      かなさん、こんばんは!お祝いコメント感謝申し上げます!!!
      そーなんですよヾ(*´∀`*)ノ
      短歌投稿仲間の5552さんと仲良く佳作で
      ...
      かなさん、こんばんは!お祝いコメント感謝申し上げます!!!
      そーなんですよヾ(*´∀`*)ノ
      短歌投稿仲間の5552さんと仲良く佳作で
      ビックリと嬉しいとで興奮冷めやらずです。
      これからもネタ探しをして楽しく短歌詠いまーす

      乙女の本棚シリーズ、私の行きつけ図書館にもキラキラと並んでおります。乙女じゃないけどいいかねえと思ったり、皆さんのような魅力的なレビューは書けないなあと少し物おじしているところです。すごいなあ、ない本もちゃんと把握されてるんですねっ
      かなさんご紹介の、しおたにまみこさんも読みたいなあ♪と思っているのですが、人気過ぎて予約待ち人数が二桁なんですよね…
      『エリック』を読みたい本リストに入れてます♡
      2023/08/28
  • 少女乙女漫画チックなイラストで、物語の哀しさを薄めつつ美しい姉妹関係が描き出されている!

    個人的に大正レトロとか大正浪漫デザイン、めちゃくちゃ好きなので、作品読む前に絵だけ一気見しました笑

    病に苦しむ妹を見兼ねて、姉である主人公が、妹の元彼を装って書いた手紙。(結局、元彼は架空人物ということでしたが笑)

    ただ元気づけるためなら、音楽を聞かせたり、面白い話を聞かせてあげたり……と、既製品的対応になるのかもしれませんが、

    妹が幸せに最後を迎えられるよう姉としてできることはなにか?妹にとって本当に嬉しいこと、を真剣に考えての行動に心打たれます。

    しかも、姉が作った手紙ということを妹もちゃんと分かってる。姉の愛をノイズなく受け取れていることから、透き通った姉妹関係なんだなと感じました。男からの文通は自分で書いたものだと分かっているから姉の手紙だと見破るのは当たり前かもしれませんが……!

    お互いにお互いを想いあっているからこそ紡がれる会話が美しい。。。

    この作品もそうですし、押絵と旅する男もそうですが、乙女の本棚シリーズのおかげで、兄弟・姉妹愛感じる作品っていいなと思ったので、自分の中での新たなジャンルとして開拓して行けたらと思います。

    • かなさん
      Kさん、おはようございます!
      いい作品をチョイスしましたねぇ~♪
      切ないけど、じーんとくる家族愛を感じましたね(^-^)
      そして、桜が...
      Kさん、おはようございます!
      いい作品をチョイスしましたねぇ~♪
      切ないけど、じーんとくる家族愛を感じましたね(^-^)
      そして、桜がねぇ…
      私この作品、ホント好きです!
      2023/09/08
    • Kさん
      かなさん、おはようございます!
      短めですが、大きく心揺さぶられるような作品でした〜!かなさんイチオシも納得です✧(  ु•⌄• )

      私も2...
      かなさん、おはようございます!
      短めですが、大きく心揺さぶられるような作品でした〜!かなさんイチオシも納得です✧(  ु•⌄• )

      私も2人姉妹の上なのですが、、、毎年の誕生日プレゼント考えるのですらムズカシいです(笑
      2023/09/09
  • 何度か読んだことがある太宰の『葉桜と魔笛』。
    病床に臥している虚弱な妹のために、姉が文通相手のふりをして手紙を書いてあげる、しかしその文通相手がそもそも妹のつくりあげた架空の人物、という胸がギュッとなるような切なさを超えて、姉妹愛が麗しい。お庭の葉桜の奥からきこえてくる軍艦マアチの口笛は、どのような音色だったんだろう。新緑に目を細めたくなるような、眩くてやさしい短編です。

  • 絵も可愛くてすごくわかりやすかった。最果タヒさんのエッセイも良かった。

  •  乙女の本棚シリーズ。文学少女は、こうい話が好きなんだろうな。でも、よく読むと?なところがある。

  • 初めて読んだ作品です。
    太宰治作品はあまり縁がないが縁ある作品が女性主人公多し。太宰治って女性の視点が上手いのか?情緒のある物語でした。
    妹の、薄命が故の望みをこんな形で手紙に認める気持ち、そこにある恥じらいや欲望。姉の妹の不憫さを思いやる気持ちと姉としてのプライドや羨望。いろんなものが滲み出ている作品で、それを漂わせるイラストも良かったです!

    2023.12.30
    205

  • 島根の城下町に暮らす姉妹。
    病気の妹はある秘密を抱えていた。

    姉妹の苦悩が美しく描かれていた。
    太宰の人間描写が潔癖な乙女のように清らかで憂いに満ちていた。好き。
    紗久楽さんの絵が太宰の文と絶妙に合っていて艶やかで美麗だった。

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著者プロフィール

1909年〈明治42年〉6月19日-1948年〈昭和23年〉6月13日)は、日本の小説家。本名は津島 修治。1930年東京大学仏文科に入学、中退。
自殺未遂や薬物中毒を繰り返しながらも、戦前から戦後にかけて作品を次々に発表した。主な作品に「走れメロス」「お伽草子」「人間失格」がある。没落した華族の女性を主人公にした「斜陽」はベストセラーとなる。典型的な自己破滅型の私小説作家であった。1948年6月13日に愛人であった山崎富栄と玉川上水で入水自殺。

「2022年 『太宰治大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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