フールズ・オブ・フォーチュン

  • 河出興産
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  • Amazon.co.jp ・本 (341ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784846001025

感想・レビュー・書評

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  • 忘れないということ。赦すということ。

    '贖罪の後に与えられた赦し'彼らは複雑に絡み合ったイングランドとアイルランドという二つの国における、運命の犠牲者(Fools of Fortune)だったということなのだろうか?しかし最後には'犠牲者'であった彼らにも赦しと救いが与えられる。この物語が書かれた当時、北アイルランドでは内戦が起き、血みどろのテロ行為が各地で行われ、独立戦争を彷彿とさせる惨状を呈していた。それが作者にこのような物語を描かせたのかもしれない。改稿元とされた名短編、'聖人たち'も邦訳されており是非読まれることをお勧めしたい。

  • 先に読んだ『アイルランド・ストーリーズ』に収録されていた「聖人たち」を長編化したものだそうな。なるほどね~あの話しはこうなるんだ。
    長くなった分、当然ながら書き込まれ、登場人物も増えて、悲しみも深くなってる。それでも結ばれれなかった若い二人が、ラストになってようやく寄り添えるようになったのは救いかな。
    長編もいいと思うけれど、この人の場合、やっぱり短編の方が好き。

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著者プロフィール

Willam Trevor Cox 1928-2016.
1928年、アイルランド・コーク州生まれ。
本書はペンギン社版
トレヴァー短編集『After Rain』(1996)の全訳。
邦訳書に、
『同窓』
(オリオン社、鈴木英也訳、1981年)、
『リッツホテルの天使達』
(ほおずき書籍、後恵子訳、1983年)、
『20世紀イギリス短篇選 下 岩波文庫』
(「欠損家庭」(ウィリアム・トレヴァー)所収、
 小野寺健編訳、岩波書店、1987年)、
『フールズ・オブ・フォーチュン』
(論創社、岩見寿子訳、1992年)、
『むずかしい愛  現代英米愛の小説集』
(「ピアノ調律師の妻たち」(ウイリアム・トレヴァー)所収、
 朝日新聞社、柴田元幸・畔柳和代 訳、1999年)
『フェリシアの旅  角川文庫』
(アトム・エゴヤン監督映画化原作、角川書店、皆川孝子訳、2000年)、
『聖母の贈り物  短篇小説の快楽』
(国書刊行会、栩木伸明訳、2007年)、
『密会 新潮クレスト・ブックス』
(中野恵津子訳、新潮社、2008年)、
『アイルランド・ストーリーズ』
(栩木伸明 訳、国書刊行会、2010年)、
『恋と夏  ウィリアム・トレヴァー・コレクション』
(谷垣暁美 訳、国書刊行会、2015年)、
『異国の出来事  ウィリアム・トレヴァー・コレクション』
(栩木伸明 訳、国書刊行会、2016年)、
『ベスト・ストーリーズIII カボチャ頭』
(「昔の恋人 ウィリアム・トレヴァー」所収、
 宮脇孝雄 訳、早川書房、2016年)、
『ふたつの人生  ウィリアム・トレヴァー・コレクション』
(栩木伸明 訳、国書刊行会、2017年)、
『ラスト・ストーリーズ』
(栩木伸明 訳、国書刊行会、2020年)ほか。



「2009年 『アフター・レイン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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