危ないリニア新幹線

  • 緑風出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784846113155

作品紹介・あらすじ

実験線を走らせるだけで宙に浮いていたリニア計画が、JR東海によるリニア中央新幹線計画の浮上で現実味を帯びてきた。しかし、建設費だけでも5兆4000億円を超え、リニア特有の電磁波の健康影響問題や、中央構造線のトンネル貫通の危険性、地震の時の安全対策など問題が山積している。また電力も膨大に必要になり、自然破壊も問題だ。時間短縮も都心間では在来新幹線と比べてさほどではなく、採算性は極めて怪しいという。本書は、こうした様々な問題点を、専門家が詳しく分析し、リニア中央新幹線の必要性を考える素材を提供する。

感想・レビュー・書評

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  • リニア中央新幹線に関する問題の概略を、一般市民の目線で、ある程度幅広く理解するには、よい本だと思います。
    が、何しろ誤植が多い。
    多すぎる。

    他人(主にJR東海)の欠点や不備を突くことも、この本の目的だと思うのですが、そうであるならば、正しい情報に基づいて突くべきだと思うのです。
    しかし、これだけ誤植が多いと、内容的な信憑性が怪しくなると思いますし、実は、間違った記述もちらほら…。

    ですので、この本を読むときには、リニア中央新幹線に関する問題の概略の理解を目的とするのがよいと思います(この本は、リニア中央新幹線に関する問題の入門編、というところかと)。
    問題を、もっと詳細に、あるいは、もっと適切に知りたい場合には、他の本に当たる必要があると思います。

  • 多くの問題点やリスクを抱えたリニア新幹線。既に建設工事が始まっていますがこのまま工事を継続しても大丈夫なのか。もう一度学び直しましょう。

  • もう着工されようとしているリニア新幹線ですが、これは原発よりもやっかいな お荷物になる ヤバイものだと感じました。 一見 未来の乗り物♪で 夢がありそうなんですけどね・・・。
    いつのまにか 作られちゃった で すみますか?

  • 新幹線を名古屋まで時々利用しますが、「のぞみ」ができてから20分短縮されて、100分程度で行けるようになりました。

    この本で述べられている「リニア」が完成すると、名古屋までが1時間も短縮されて40分で行けるようになるとのことです。

    最終的に大阪まで完成すると、東京・名古屋・大阪が1時間で結ばれて巨大な都市圏が完成するという「リニア礼賛本」を何冊か読んできましたが、この本はリニアの問題を提起した本です。

    私の意見はまだ決まっていませんが、確実に言えることは、全体の8割(東京名古屋間で、286キロ中232キロ、p245)がトンネルを占めるルートなので、移動途中の景色を楽しむことは殆どできず、どの時間帯に乗っても真っ暗のトンネルをただ移動しているようになると予想されることです。

    初めて山陽新幹線で、広島まで行ったときに殆どトンネルでさびしい思いをしたのを覚えていますが、車窓を楽しむことは諦めざるを得ないでしょう。

    その様な「ささやかな楽しみ」は別にしても、電磁波の健康への影響、原発をやめて電力供給が不十分な環境で、電力を多量に使用するリニア、採算性、中央構造線にトンネルを掘る危険性など、この本はリニアをつくることの危険性を提起しています。

    停滞気味の日本において、リニアを完成させることは、東京オリンピックの成功と同様のインパクトをもたらせるような気もしますので、それに水を差すようなことは慎重になるべきと思いますが、製造や開発してきた人達サイドの論理ではなく、利用者の安全や利便性を十分に考慮してリニア建設をして欲しいと思いました。

    以下は気になったポイントです。

    ・東海道新幹線の輸送力は、まだまだ余剰分がある、乗車率は平均すればやや5割を超える程度(p12)

    ・リニアが環境にかける負荷として、1)エネルギーの問題(新幹線の3倍)、2)自然破壊は景観の問題がある、特に東濃地区には、ウランを含有する残土が発生する可能性すらある(p14、15)

    ・長野市と松本市の商品販売額を見ると、新幹線が停車する長野は5年間で400億円減少したのに対して、松本市では143億円増加した(p22)

    ・電磁石を並べることで強い推進力を生み出すリニアモーターの仕組みは、大江戸線などで実用化されている(p28)

    ・JR東海が開発しているのは、超伝導技術というもので、超伝導磁石をもちいて電気抵抗をゼロにすることで永久に電気が流れ続けるという技術を応用する、これにより1センチ程浮上が可能になる(p29)

    ・南海トラフにそっておきる地震として、東海地震・東南海地震・南海地震が知られている、最近では1946年頃、その前は1854年頃、その前は1707年(宝永)である(p35)

    ・大鹿村からは、石器・土器が出土しない、考古遺物が見当たらないということは、数千年前以前の土地は流れてしまったことを意味する(p56)

    ・ガンマ線の周波数は10の23乗にもなるので、実用的ではなく、その代わりにエレクトロンボルト(eV)というエネルギー単位で分類する、太陽光線は波長で分類している(p71)

    ・中国ではリニアの延長が電磁は問題でストップしているのは事実、ドイツも計画していたリニア建設を断念した理由は、経済性と電磁波問題(p79)

    ・高速走行中では、窓から入る太陽光線がまるでフラッシュ光のように点滅しているように思える(p87)

    ・最近の東海道新幹線の輸送実績は、座席利用率でみると2003年の66%から、2011年の58.8%と下がっている、輸送人キロ・輸送人員は増加している(p155)

    ・東京湾岸道路は、計画の38%(片道4000円から800円へ値下げした後も)で、1日当たり1億円の損失が出ている、この道路は日本道路公団へ売却された(p161)

    ・リニア建設費の推移は、80年代後半で3兆円、90年代末には5兆円、現段階では9兆円、リニア開発技術を急いだ結果(p172)

    ・東京ー名古屋の開業の場合、名古屋でのリニア乗り換え利用率を33%(名古屋以西から東京方面行きの新幹線利用者の3人に一人が乗り換える)が損益分岐点(p176)

    ・夏目漱石がイギリスで見た重工業の発達による事実は、1)石炭の煤塵、2)人々の多忙ぶり、3)金の権力性という象徴的事実(p185)

    ・動物は、エネルギーを使えば使うほど、時間の進む速度が速くなる、つまり時間の速度は、エネルギー消費量に比例する、これは人間の社会活動にもあてはまる(p189)

    ・リニア開発のジレンマ、1)事故リスクと電力消費(余裕のある過剰な電力供給が必要)、2)超伝導は電力浪費(ヘリウム冷却のために電力必要)、3)電磁波防護と重い遮蔽版(電磁波の影響防止のためには多量の電力必要)(p222)

    ・1962年に日本が国産ウランによる原子力発電を目指していたときに、土岐市付近が有望とされた。土岐市にウラン鉱山を開削しして核原料物質鉱山に指定された、ウラン埋蔵は人形峠とならぶ地域である(p270)

    2014年2月9日作成

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著者プロフィール

2009 年3月に発足、リニアについて検証し、問い直す市民団体として、沿
線各地の人たちと学習会やシンポジウムの開催、実験線の現地見学などを行
なっています。また、「ストップ・リニア通信」を発行しています。

「2017年 『総点検・リニア新幹線 問題点を徹底究明』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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