- Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
- / ISBN・EAN: 9784847091797
作品紹介・あらすじ
ピース・又吉直樹、すべての東京の屍に捧ぐ。「東京は果てしなく残酷で時折楽しく稀に優しい」いま最も期待される書き手による比類なき文章100編。自伝的エッセイ。
感想・レビュー・書評
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R4.2.8 読了。
又吉さんの思い出やその場所で想像した物語の数々。クスッとした笑いやどのように解釈したらいいのかよく解らないものや急にグッと私の心を引き付けるものなどがありました。中でも私が好きな作品は「お台場の夜空」「便所」「一九九九年、立川駅北口の風景」「池尻大橋の小さな部屋」「ルミネtheよしもと」「昔のノート」です。
読み始めて又吉さんのその世界観にいつの間にか引き込まれてしまいました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
18歳で上京して以来、東京暮らしをされているピースの又吉直樹さん。
売れない芸人時代から現代に至るまで、又吉さんの目に映った東京を切り取った100編のエッセイです。
文学作品所縁の風景やお金が稼げなかったころの貧しい生活を、独特のユーモアとちょっとの切なさを混ぜて綴った文章は、少し色褪せた写真を眺めているような感じでした。
かと思えば、後輩と「通りすがりの人の魂を吸う遊び」をしながら町を歩いた…なんていう、思わず笑ってしまうエピソードもあったり。
彼の自由律俳句を読んだ時に「この人の目から世の中を見てみたい…」と思ったのですが、本書を読んでさらにその思いを強くしました。
それにしても、彼は今までに何回職務質問をされているんだろう…。
途中から彼が職務質問されていることに違和感を感じなくなってきてしまい、苦笑い。 -
どうして芸人になろうとしたのか不思議になるキャラクターだが、今となっては、立ち位置を確保し、独自路線を歩んでいくことができ、一口で芸人といっても、さまざまなのだなぁと。
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笑いあり涙ありとか軽々しく言いたくないけどこれは別に言っちゃってもいいと思いました。
東京の、いろんな景色と感情がごちゃ混ぜになった鬱陶しい雰囲気がもっと好きになりました。
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(「はじめに」より抜粋)
__東京は果てしなく残酷で時折楽しく稀に優しい。ただその気まぐれな優しさが途方も無く深いから嫌いになれない。
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とても不思議な感触のエッセイ。
現実と妄想が入り混じった又吉さんの東京がここにある。
「二十五 ゴミ箱とゴミ箱の間」とか東京か?というテーマの回もあるけど、東京だからそんなことも気になるのかもしれない。よく知らないけど。
この本の裏テーマは「自意識の恐ろしさ」ではないかと思う。
又吉さんの過剰な(ご本人談)自意識について繰り返し語られていて、それがまるで催眠術みたいにじわじわと効いてくる。
自分の一挙手一投足が白々しく思えたり、なんかこっぱずかしかったりし始める。
困った…。
一度見失うと何が自然なのか分からなくなる。
感染力「強」。 -
「火花」、「劇場」に続き又吉さん三冊目。
どうやら私は又吉さんの文章が、かなり好きなようです。
ご自身の東京での思い出を綴られているのでかなり内に、内に向かっている内容なのだけど、時に晴れやかに時に俯瞰して、時に皮肉たっぷりに、時に苦しみながら描かれる東京の風景に重なる又吉さんの心の風景は、私自身に土地勘がないのが少し残念な気はするけれど、初めから最後まで私の心を捉えて離さず、ああこれは何度も繰り返し読む本になるな、と感じました。
申し訳ないが彼のネタを一度も面白いと思ったことはなかったし、本書に出てくるネタのシーンも文章だけでこちらが恥ずかしくなるほどなのに、それが本になるとまぁ、笑いを堪えるのが困難なほど面白くて、これだけ厄介で難しい人だけど私にとって好きにならずにはいられない強烈な個性を放っていました。
売れなかった頃、売れてから、日常の中に注がれる彼ならではの視線、「火花」や「劇場」のネタ元であろう、また、先輩芸人、後輩芸人との、やはり普通の人とはかなり乖離した感覚や、それでも胸が熱くなるエピソード、拘り、喜び、苦しみ、後悔、やり切れなさ。
様々な思いが活字から凄いエネルギーを持って届いてきて、心は常に揺さぶられ続けて、泣いたり笑ったり忙しい読書でした。
彼の作品をもっと読みたい。 -
大好きな又吉さんの原点となった作品。
又吉直樹エッセイ集。
東京の100の景色とその思い出が又吉節全開で解説されています。
東京の雑踏と喧騒を又吉直樹独特の視点で表現し、美しく言い表されています。
笑えて、どこか心がぎゅっとするエッセイです。
おすすめです。
「僕の憂鬱も一緒に踏んでおくれ。」
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作者は、つくづく面倒臭い人やなあと感じさせてくれます。何かにオドオドして、でも好きな事を突き詰めたい、好きなことは好き。それを通して、今の成功したと言える立場までたどり着いていると言うのはすごいと思います。成功とは程遠いですが、面倒臭いと言う部分では共通する自分と照らし合わせて苦笑いする部分が多々あります。
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昨夜、『ハリーポッター』を観ていたせい、だろうか。
この本が、
『忍びの地図』の様に思えてしまった。
(知らない方はゴメンナサイ。。。)
「又吉君」と、声をかけなくても、
本を開くと、
東京のあちこちに又吉君の足跡がテコテコと浮かび上がる。
どこへ行く?
と、いうよりも、
何してた?
が、気になって、
何度も何度も地図を開いてしまう。 -
2021.10.18
再読。何度読んでも良い。
素敵なエッセイ。彼の目を通して見る東京がすごく新鮮。