教養としてのロースクール小論文

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  • 早稲田経営出版
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784847118975

感想・レビュー・書評

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  • 法哲学、社会学の教科書的知識を踏まえて、ロースクール小論文のお題となりがちな現代の具体的なテーマをどのようなデザインパターンで読み解くかについて、(くだけて言えば)漫談調で語っている。

    ロースクール入学試験にどう役立つのかはわからないが、なかなか面白いし、法学部の出題者達(教授連・・)が現代の社会問題をどう捉えているのか、自分達の専門知識のフィルタを通した時にどういう構造が漉きとられるべきだと考えているのかが、だんだん見えてくる。

  • 知識のない人間からするとズバズバ新しいものごとの考え方が頭に入ってくる感じ

    今まで考えたことなかったが、なるほど言われてみればそうだということが多々。

    J.S.ミルやベンタム、カントやロールズなどチンプンカンプンな哲学者たちの考えをわかりやすく教えてくれてます

    ロースクール目指すひとでなくても十分楽しめます。

  • 法哲学・法思想/公共哲学・応用倫理学についての「受験参考書の体裁をとった」教養書。
    常識を根底から問い直す「原理論」の視点(ツボ)を得ることによって、平凡な常識論(バランス論)を超える。
    具体的事案におけるバランスを論じるにも、原理から出発し原理に即して展開することによって、骨太な論述をすることができる。

  • 080804購入。080913読了。
    この6章に渡る講義録に詰め込まれた思想的歴史的知識が著者の博学さを物語る。話の脱線ももはやこの一つの思想的作品の一部として欠かせない。
    <第1章>
    個人主義とパターナリズム(愚行権、パターナリズム、2つの功利主義、ロールズ「正義論」、社会契約論、臓器くじ、ポルノグラフィ)
    <第2章>
    自己決定論の限界(性的自己決定、未成年の売春、出生前診断による中絶、臓器売買、しつけ)
    <第3章>
    個人主義の発見と資本主義(近代ブルジョワジー、ホモ・エコノミカス、グローバリズム、市場原理主義)
    <第4章>
    専門家と素人(目的と手段、オルテガ「大衆の反逆」、法曹・医師・エコノミスト)
    <第5章>
    実力と正義(世界政府、近代国民国家、ハート&ネグリ「帝国」、帝国の再評価)
    <第6章>
    正義と利益(自然法主義、法実証主義、相対的道徳、トックヴィル「アメリカの民主主義」、中間集団、援助交際、世間)
    ざっとまとめるとこんなもんだろう。なにしろ、話の展開の仕方が目まぐるしく、一言で「こう」と言えない。それはそれで本としての完成度は高い。おおざっぱに言ってしまえばこれは自己決定論の検証、専門家の役割、国家の展望、法律における正義について論じた本である。もともと僕は法学部であるし、知的エリートの怠慢に関する問題ついても小谷野敦や西部遇などの著書で知っていた。浅羽氏の著作は割りと読むので、中盤の思想史はおなじみといったところか。自己決定論については前々から知りたかったのでためになった。個々の知識は割りと知っていたが、それを一つなぎにして論じるという手法に圧倒された。この本に出会い改めて再読したい本も見つかった。久々に本と格闘できた気がする。

  • 読み物としてはおもしろいけど
    小論文を書く上ではそこまで
    役に立たないかも。

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著者プロフィール

浅羽 通明(あさば・みちあき):1959年、神奈川県生まれ。「みえない大学本舗」主宰。著述業。81年、早稲田大学法学部卒業。著書に『ニセ学生マニュアル』三部作(徳間書店)、『大学で何を学ぶか』(幻冬舎文庫)、『『君たちはどう生きるか』集中講義』『右翼と左翼』(以上、幻冬舎新書)、『教養論ノート』(リーダーズノート新書)、『思想家志願』『天皇・反戦・日本』『昭和三十年代主義』(以上、幻冬舎)、『「反戦・脱原発リベラル」はなぜ敗北するのか』(ちくま新書)、『ナショナリズム』(ちくま文庫)、『野望としての教養』(時事通信社)、『教養としてのロースクール小論文』(早稲田経営出版)、『澁澤龍彦の時代』(青弓社)、『時間ループ物語論』(洋泉社)等がある。

「2021年 『星新一の思想 予見・冷笑・賢慮のひと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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