福島 嘘と真実―東日本放射線衛生調査からの報告 (高田純の放射線防護学入門シリーズ)

著者 :
  • 医療科学社
3.83
  • (4)
  • (4)
  • (3)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 57
感想 : 6
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (108ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784860034177

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 福島原発事故関連で数冊読んだが、自身で採取した一時データにもとづいており、一番リアルで説得力があった。チェルノブイリとは桁違いの安全性を持つ日本の原発は再起動しても大丈夫だ!

  •  放射線防護の専門家である著者が,2011年4月6日から5日間にわたって行なった,東日本を縦断する放射線調査の結果をまとめている。札幌ー青森ー仙台ー福島ー東京。
     結論としては,今回の事故による放射能汚染で,健康への影響が懸念されることはないということ。チェルノブイリや他の核災害事例との比較,実測データを基にした考察で説得力がある。政府の対応への論難,除染の方法の提言なども。
     福島では,福一正門前での計測も含めて,3日間でわずか0.1mSvの被曝だったそうだ。プルトニウムの空中飛散もなく,用意していたマスクや防護衣も不要だったという。原発から20km圏内では,置き去りにされた家畜が餓死したが,チェルノブイリでも家畜避難はなされたという。政府の不手際。
     巻末に,調査旅行を終えた直後に新宿医師会で行なった講演会の内容(含む質疑応答)と,過去の著作から再録した世界の核災害(チェルノブイリ,スリーマイル,東海村,広島,ビキニ,楼蘭周辺)の概要を収録。楼蘭では合計22メガトンの地上核実験が行なわれ,中でも地表核実験では,大量の砂を巻き上げた大爆発により,広範囲に汚染された「核の砂」をまき散らした。チェルノブイリの比ではない。日本にも飛んできているらしい。
     ほかにもいろいろと書いているようなので,読んでみたいな。

  •  放射能汚染については、非常に厳しめに判断する武田邦彦さんのような主張もあるが、高田さんは、世界の各国の被爆地と比較して福島は格段に安全という主張。

     高田さんは札幌医科大学の放射能防護学の先生。この道のプロということか。

     4月6日から10日まで、札幌から福島、そして東京と実地にでかけて、現地の放射線量を測定している。

     高田さんの主張で大事だとおもった点。

    ①チェルノブイリ黒煙炉災害では急性死亡が30人発生しているのに対して、福島軽水炉災害では急性死亡はゼロ。公衆の線量も、前者で30キロメートル避難者で最大750ミリシーベルトもあったのに、福島の20キロメートル避難者で最大20ミリシーベルト以下で、桁違いに低い。

    ②政府が福島原発事故をチェルノブイリ原発事故の同じレベル7にした根拠は、対外的に専門家に説明されていない。

    ③中国の桜蘭の核実験(1964年から1997年)で、急性死亡が数十万人でていて、日本にも黄砂として飛んできて、日本人の骨にストロンチウムが溜まっている。

     いずれにしても、専門家同士、公開の場でよく議論して、意見の集約なり立場の違いを明らかにすべき。

     また、極端に基準を厳しくすると、避難民にかえって避難疲れによる病気などのリスクを負わせること、また、過大な除洗は、結局税金に跳ね返ってくることなど、バランスのとれた議論が重要。

     あと、高田先生の説に従えば、そろそろ福島県の復興計画の策定にも着手できそうに思う。

  • すっごい興味深い本だった。
    いったい今、放射能云々で発言してる人の中で、
    この人程、継続的に色々な地域で調査をしてきた人がいるんだろうか?
    線量と健康被害についての判断は、もちろん意見の割れるところだと思うけど、1つの冷静な意見として知っておいてもイイと思った。

    幼稚園の砂場が0.20μ㏜/hだったのは何なんだろう?とか、目の前の現実との違いは少々気になるけど…
    私は個人的には「日本の子供は大丈夫!」と思ってるので、勇気付けられる本だった。

    angelsroadさんより貸出、ありがとうございます♪

全6件中 1 - 6件を表示

著者プロフィール

札幌大学外国語学部教授
主要著書:
哲学のリアリティー: カント・ヘーゲル・マルクス (共著,有斐閣,1986)
ヘーゲル用語事典 (共著,未来社,1991)
承認と自由: ヘーゲルの実践哲学の再構成 (未来社,1994)


「1997年 『実践と相互人格性』 で使われていた紹介文から引用しています。」

高田純の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×