世の中の罠を見抜く数学

著者 :
  • セブン&アイ出版
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本棚登録 : 38
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784860086206

作品紹介・あらすじ

政治に、経済に、自然界に、現実に起きている急変化を正しく読み取るための数学的思考法。早大学院人気ナンバーワン教師が贈る、激変する世の中の変化を読み解くための賢者の数学。

感想・レビュー・書評

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  • 335

    宝くじの返還率は46%程度である。長く買い続ければ、あなたのお金は1万円が4600円になることになる。中央競馬の変化率は75%


    「有限」を「無限」に装う最大の詐欺=ネズミ講
    等比数列の莫大な増え方を利用した詐欺が世界中にある。伝統的で、歴史的な詐欺であり日本では「ねずみ講」と呼ばれている。それは明治時代にできた刑法にも詐欺であると規定されているが、現在は「無限連鎖講」という呼び名を使って、取り締まる法律ができている。これに引っかかるのは若い人が多い。それには理由がある。このタイプの詐欺を働く者は、摘発されると、しばらくは隠れているが、ほとぼりが冷めると再び動き始める。つまり、人が注意を怠り始めると出て来て、そのからくりのよくわからない若い人たちを狙うからだ。ネズミ講の手口は単純である。さんざん「儲かる」説明をしたあと、最後にこう持ちかける。「あなたは5人の会員を集めてくれればいいのですよ」たった5人である。その5人から会費を集めればいいのだと言う。持ちかけられたほうは、5人ならすぐに集められると思う。集めた会費の何パーセントかが自分の懐に入り、残りが「詐欺師」のもとに行くことになるが、自分のところから始めて、孫会員や曾孫会員かお金が入って来る。そのあとの会員からも、必ず何パーセントかのお金が入ってくる。それが無限に続くといわれる。そんな、うまい話があるのだろうか。まず、5人の会員を集めるということがどんな数になるのか、考えてみよう。5人の友達を集めるのは、確かに簡単である。しかし、この考え方は自分だけが5人集めればよいということしか考えていない。友人も、同じように5人の会員を集めなければならない。そうでないと、孫会員や曾孫会員からお金が入ってこない。これを繰り返すと、どんなことになるか。実際に計算をしてみよう。会員を集める場所を東京近郊とし、そこに住む1200万人を対象としよう。これより外にねずみ講が広がることも当然ある。しかし、ねずみ講は基本的には人と人との話し合いで広がるものである。地域を限定しても、それほど無理な条件にはならないだろう。ねずみ講が広がる地域は限定されることが多いし、それに東京近郊にはちょっとした国の人口に匹敵する人々がいるので、5人の会員がどんなに早く増えるかを考えるには、ちょうどいいからだ。最初の5人の会員というのは、たいてい詐欺師たちである。会員を集めている各段階での、会員の首都圏における人口比率を計算してみよう。第1段階は、最初の5人のときである。25人に1人が会員ということになる。もちろん子どもも含めてである。無限に日本人がいるのなら、この「無限連鎖講」は必ずしも詐欺にはならない。しかし、多いといっても、人口は有限である。したがって、この話は明らかに詐欺だということがわかる。等比教列を勉強するということは、教科書の問いに答えるためではない。等比数列が支配している現実の現象を調べるためなのである。実際に、等比数列のグラフなどを書いてみれば、その増加がよくわかる。あっという間に1億を超えてしまう。等比数列は借金の金利計算にも使える。簡単にお金を借りるのがよくないことをわかるのと、「ねずみ講」に引っかからないことは、同じことなのである。

  • ↓利用状況はこちらから↓
    https://mlib3.nit.ac.jp/webopac/BB00523974

  • タイトルと内容にちょっとギャップがあるような。

  • 社会、経済、科学、生活…、日常生活に関わる広い分野にわたり、数学的に「真実」を解き明かしていく考え方を説く。
    広範に及ぶ考察の材料が、読者を学問の世界に誘う。
    最近、数学に関する類書が目に留まることが多いように思うが、数学を苦手に感じている人でも手にとれる1冊ではないか。

  • 数学=真実を知るひとつのツール

    スピードガン ドップラー効果

    投票率4割 得票率A60%B40%→有権者全体では12%の差

    名目,実質GDP

  • テレビや新聞、ネットなどのニュースで扱われる『数字』。「100年に1回の大地震」といったような言葉は、実は背景や前提によって、『数字』のもつ意味や説得力が変わってきます。そんな様々な数字の罠に対して、『数字』を鵜呑みにしないようにしようという意識を持たせてくれる1冊です。

  • 数学的なスキルを磨くというより、前提となるポイントをちゃんと意識できるかどうかがまず問題。

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著者プロフィール

柳谷晃(やなぎや・あきら)
1953年、東京生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科数学専攻博士課程修了。数学をわかりやすく教えることに定評があり、その対象は学生からビジネスマン、リタイアした人まで幅広い。一方で、数学や統計学の正しい使い方に注意を喚起している。日本の伝統芸能や西洋史、西洋文明にも精通する異色の数学研究者でもある。現在、早稲田大学高等学院数学科教諭・早稲田大学理工学術院兼任講師、早稲田大学複雑系高等学術研究所研究員。著書に『武器になる「わり算」 知っている人が一生得する計算式』(角川書店)、『面白くて仕事に役立つ数学』(SBクリエイティブ)がある。

「2021年 『円周率πの世界 数学を進化させた「魅惑の数」のすべて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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