放っておいても明日は来る― 就職しないで生きる9つの方法

  • 本の雑誌社
3.77
  • (20)
  • (25)
  • (29)
  • (3)
  • (1)
本棚登録 : 254
感想 : 40
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784860112004

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • タイトルがいいよねえ。力が入っているような、抜けているような、その加減が絶妙。

    大学での講義の一環として行われた対談だが、「お友達価格」できてくれた方たちだそうで、リラックスした様子が伝わってくる。皆さん、フリーの立場で好きなことを仕事にしていて、それぞれに苦労もあるのだが、基本的にのんきで楽天的な雰囲気の方ばかりだ。

    私が一番面白かったのは、フツーのOLからプロのムエタイ選手になっちゃった下関崇子さんのお話。キレイになって彼氏がほしいとダイエット目的でキックボクシングを始め、成り行きで試合に出たりしているうちに(計量がダイエットの目標になるから、という理由で試合に出てたそうだ)、本場タイでムエタイの選手としてデビューすることになっていく。

    「こんなはずじゃなかったんだけど」とご本人もおっしゃっているが、そういう迷いみたいなのが吹っ切れたきっかけになったという、レストランでのエピソードがとてもいい。「注文と違うけれど、おいしいからいいや」。いやまったく、注文通りの人生じゃなくても、楽しいからいいんじゃないかというこだわりのなさが本当にすがすがしい。

    この下関さんに限らず、どのゲストの方も「将来に向けての堅実な人生設計」なんてものとは無縁である。大丈夫だろうかと傍目には見えても、皆さん実にのびのびと楽しそうである。こういう人生も「あり」なんだと思わせてくれる。

    高野さんがあとがきでこう書いている。「さんざんユニークな人間のユニークな生き方を紹介しておいてなんだが、できれば普通に生きるのがいいと思う。」 でも、残念ながら人生何があるかはわからない、「普通の人生」からドロップアウトしてしまうことがあるかもしれない、それでもそれも悪くないんじゃないだろうか、と。

    どっちにしても明日は来る。高野さんが言うように、若い人にはそんな気持ちで就活に立ち向かってほしいなあと思う。

  • 高野秀行が好きで、読んだ。
    笑えて、元気になれる。級数が大きく、1,2時間でさらっと読める。

    主に東南アジアらへんでちょっと変なことを生業にしている9人との対談(大学での講義)をまとめたもの。大学の講義なので学生に向けて話している内容だが、単にぶっ飛びエピソードとしておもしろく、若者に限らず読めます。

    9人それぞれが無計画だったり無鉄砲なエピソードばかりで、なかなかいい。というか、計画に支障が出ても第二第三の興味へ移ることで、なんとかなってきた人たちの話。
    とくに、ダイエット目的でキックボクシングを始めた女性が気づいたらタイでムエタイのプロになってた話が好き。タイでは勝っても負けても楽しかったけど、日本では負けて楽しい試合はなかった、という言葉は、何かズシっと来るものがある。

    だいたいこういう変わった人生体験談を聞くと、「彼らはぶっ飛んでるし特殊だから、普通は参考にならんよ」といった感想になりがちだが、そこは最後の章で著者本人の口からフォローが入っている。私こそめっちゃ普通の人間なんですよ、と。
    とはいえ多くの人にとってはやはり簡単には実践できないだろうが、思い悩むしんどさから一時でも解放してくれたり、別の切り口があるかも、という気づきにはなるだろう。

    ただし、「放っておいても明日は来る」という言葉を「なんもせずぼーっと生きても大丈夫」と受け取るのはちょっと危ない。
    登場する9人は、ほとんど成り行きまかせに生きてはいるものの、自ら行動はしている。それがどう転ぶか分からないし、思った成果が出ない場合もあるけど、とにかく何かやってみるという点は一致している。
    何もしなくても幸運や巡り合わせで誰かが仕事を斡旋してくれる確率は低い。何かはやらなあかんと。
    ものすごく当然だが。

    ということで、つまらないことや意味のなさそうなことだとしても、まず何かやらなきゃな、って、すごい当たり前のカッコ悪い反省をしました。

    ※全然関係ないけど、最初この本がブクログで検索に引っ掛からず困ったなぁと思ってそれをツイッタしたら、「ジャンル変更すれば出てきますよ」と教えてくれた方がいる。親切な人もいるもんだ。
    さらに関係ないけど、ツイッタで知らない人から来たはじめてのメッセージだった。罵倒や嫌がらせでなくてよかった。

  • 高校生に読んで欲しい

  • 「希望」は最強のセーフティネットだ。辺境作家・高野秀行が自分のまわりにいる“類友”に、どんな風に生きてきたかを聞き歩く、ドロップアウト対談集。(アマゾン紹介文)

    「こうしましょう!」というより、「こうなってもなんとかなるよ!」という前向きだか後ろ向きだか判断に難しいハウトゥ本…って、誰も真似はしないだろうけど。
    選択の岐路にある人や迫られている人にも、一息がつけるような一冊かと。

  • 就職というのは僕らにとって絶対必須だと思っているし、定職を持たない人には一抹の胡散臭さを感じてしまうのが本当の所です。面白い人だとは思っても一緒に何かするパートナーには選ばないと思います。
    その昔、会社を辞めて旅に出てしまった僕も、ずっと次の就職の事が頭にありました。定職について地道に生きるという事への義務感は拭えなかったし、拭うつもりもありませんでした。
    この本に出てくる人たちは特殊な例なのかもしれませんが、別に大成功している人達ではありません。高野氏が交友関係の中から選んだ、結果的に独立独歩の人達です。
    どこか頭のネジが外れている高野氏のセレクトなので、同じような匂いの人が山盛り出てきて非常に興味深い本でした。
    どうしても会社員に馴染めない人や、就活が上手くいかない人にとっては天啓のような本ではないでしょうか。努力で突き進むとかではなく、成り行きに任せてふわふわと居場所を求めてさまよい、たまたま落ちた場所で咲くたんぽぽのように強かに生きている人達の話を読んでいると、「ああ、生き方なんて自分で好きにしていいんだなあ」とつくづく思います。なんなら野垂れ死にも自由。
    とにかく笑える面白い本なので単純にお勧め。でもどこか心に残る本でもあります。

  • 自己啓発

  • 世界各地で活動しエンタメノンフのジャンルを提唱した高野氏。彼が就活を目前にした大学生を相手に、8人のゲストを招いた講義録だ。自分の求めていた内容ではなかったが、就活に失敗しても何とかなる強かな方々との対談は面白い。それぞれの活躍の場が東南アジアであったり、日本の端っこ(屋久島)であったりと、辺縁部が苦境を打破する鍵になっていそうだ。

  • その人の生き方とうよりは、その人が飛び込んでいった異国の地での人々の人生や生活に対する考え方の違いにへぇ~っと思うことが多かった。

  • [ 内容 ]
    「希望」は最強のセーフティネットだ。
    辺境作家・高野秀行が自分のまわりにいる“類友”に、どんな風に生きてきたかを聞き歩く、ドロップアウト対談集。

    [ 目次 ]


    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 著者が上智大で「東南アジア文化論」という講義を持ったときに知り合いを講師として招いて対談方式で講義を行ったのが面白かったらしく本になっている。講義録。アウトローな人ばっかりで面白いです。

全40件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1966年、東京都八王子市生まれ。ノンフィクション作家。早稲田大学探検部在籍時に書いた『幻獣ムベンベを追え』(集英社文庫)をきっかけに文筆活動を開始。「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをやり、それを面白おかしく書く」がモットー。アジア、アフリカなどの辺境地をテーマとしたノンフィクションのほか、東京を舞台にしたエッセイや小説も多数発表している。

高野秀行の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
森見 登美彦
磯崎 憲一郎
川上 未映子
伊坂 幸太郎
三浦 しをん
村上 春樹
森見 登美彦
村上 春樹
伊坂 幸太郎
伊坂 幸太郎
中島 京子
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×