世にも奇妙なマラソン大会

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784860112141

感想・レビュー・書評

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  • 高野秀行は面白い。
    フルマラソンに一度も参加したことがない人間(それどころか最も長く走ったのが15キロ……。ハーフマラソンの経験さえない)が、灼熱の太陽が降り注ぐ砂漠を走りとおすサハラ・マラソンに参加しようとは普通思わないだろう。
    そんな人間が、夜中の異常なハイテンションの精神状態で、たまたまネットで見つけた「西サハラの難民キャンプを走る!!」という言葉に魅かれ、18日後に開催されるその大会にエントリーしてしまう。
    なんとも滑稽で向こう見ずだ。
    ともあれ、申し込みをした以上、あとへは引き下がらない。
    飛行機のチケットを取り、現地に向かい、いざフルマラソンに挑戦である。
    高野秀行の凄いところは、それを成し遂げてしまうことだ。
    よくぞまあ、42キロ走り通せたものだ。感服に値する。
    この本は、その間の地元住民や世界中からやってきた参加者との触れ合いを面白おかしく描いたものだが、
    ノンフィクションだからこその面白みがそこかしこに漂っている。
    高野秀行、ただものではない。
    その他にも、バスで知り合ったおじさんに何となくついていった「ブルガリアの岩と薔薇」、インド入国を目指した迷走劇「名前変更物語」、アジア・アフリカで体験した奇譚集「謎のペルシア商人」が収められているが、どれも楽しく面白い。

  • この著者は、短編エッセイを書くのがとてもうまい。特にとある目的からパスポート名称の変更を企てる話には声をあげて笑ってしまった。

  • 高野さんの作品はいいなぁ!
    普通できないすごい体験ばかりしているのに、それをバカバカしく笑い飛ばせる文章で書く才能が素敵。

    どれも面白かったけど、「名前変更物語」は特によかった。
    へー!ってことだらけ。
    サハラマラソは想像以上に過酷だわぁ。

  • サハラマラソンに興味を持ち読んだ。
    レースそのものも過酷だが、同じ様に過酷な西サハラの現状とその独立運動などを織り交ぜ、単なるマラソン参加記になっていないところが良いと思う。
    「間違う力」と本人は言っているが、間違った所から回復して結果的に良い方向に持っていく所に本当の力がある人だと思った。

    後半のアジア・アフリカ奇譚集ではサハラとは毛色の異なるエピソードが納められており、強く印象に残った。
    妻が宿の一室で感じた「それ」や、沖縄で見た巨人など、「あちら」の世界に触れて来た様な話は恩田陸の小説に近いものがあった。

  • 日本に生活しているだけだとあまり見ることが出来ない世界を面白く見せてくれている。

  • ウルトラマラソンを完走した会社の先輩が「今度は砂漠でも走るかな」と言っていたのを思い出し、目を引いた、彼も本好きだが読んだことあるかな?読んでみようと手に取る。
    フルマラソンの経験もない筆者が、深夜ノリでサハラ砂漠マラソンを申込んで、走る話。その他短い話もいくつか。
    楽しく読んだ。私も旅人として彼の経験をうらやましくも思い、本を読むことで経験を共有してもらえ嬉しい。

    他にも本著者の本を読んでみたいとググる。「ソマリランド」の人かこれは読んで面白かった覚えがある。また「納豆」の話もどこかで見たな。(雑誌の紹介文かな?)また他の本も読みたいと思う。

    読んだ本の感想を毎回残していて、ふと最近始めたチャットGPTにこの本の感想文を作るようにお願いした。それらしき文が出てくるが、「サスペンスマラソン」の感想文になっていて、この本の読んでないな感丸出しの文章が出てきて笑った。著者名も入れて実行したらまた違った結果になったかな?

  • コロナ禍で海外旅行に行けない中で本書を手に取り、海外に行ったときのような高揚感を味わうことができた。中東やイスラム圏に行ったときのような混沌感や独特の雰囲気を思い出すことができた。

  • 2020/07/14

  • 砂漠でマラソンて楽しそう。
    いや、自分では絶対やらないけど。
    これ映像で見たいなー。

  • 旅行記にもいろいろあるが、西サハラというモロッコとの長年の係争状態にある地域で開催される、珍しいマラソン大会に出場した、確かにかなり奇妙なドキュメンタリー。フルマラソンなど経験したこともない著者が、いきなり挑戦したというのがかなり驚き。体力的にも実はかなり強いものをもともと持っている人ではないか、と思うが、それ以上に、ほかにも世界のいろいろな国や場所に出かけていって、様々な体験をしてきている行動力から、メンタル面でもきっと強いんだろうなと思う。タイトルになっているマラソンのドキュメント以外に、何篇かの話が掲載されている。最後の方に、いろいろな短い奇譚集が集められているが、ものすごく怖がりなので、2つ、3つ読んでしまって後悔。残りは読み飛ばした。怖い話は苦手なんです。

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著者プロフィール

1966年、東京都八王子市生まれ。ノンフィクション作家。早稲田大学探検部在籍時に書いた『幻獣ムベンベを追え』(集英社文庫)をきっかけに文筆活動を開始。「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをやり、それを面白おかしく書く」がモットー。アジア、アフリカなどの辺境地をテーマとしたノンフィクションのほか、東京を舞台にしたエッセイや小説も多数発表している。

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