アルゼンチンババア

  • ロッキング・オン
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  • Amazon.co.jp ・本 (153ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784860520120

作品紹介・あらすじ

初子出産を控え、ペンネームも改名したよしもとばななの最新書き下ろし小説。それに加え、世界的アーティスト、奈良美智の描き下ろし絵画16点に撮り下ろし写真40点。全文英訳文も同時掲載の、まさに世界が待っていた日本人アーティストによるコラボレーション最新作。

感想・レビュー・書評

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  • 吉本ばななの本には、ほんわかしていて、とても変わっている人々が多く登場する気がします。

    そしてとても大きなことについての“語り”のシーンがあります。

    なんだかその大きさが、少し重くて受け入れきれず、読むのを敬遠していたので、ずいぶんと久々に読みました。

    やっぱり穏やかで、優しくて、いい小説だなぁと思います。
    なんとなく笑えるし♪

    日常になじむ庶民的なアイテムが登場するのもいいところ。

    コタツとか、冷蔵庫とか、屋上菜園とか…。

    登場人物が、そんな日常の道具をわりかし普通に使っていたりするのも、ほのぼのしてていいかなぁ、なんて。

    あと、デブとフケツについてもさりげなく語られている気がします。

    デブ、はいいとしても、ふけつって…。

    なんとなく幽霊チックにゆらゆらした人たちが多くて、あっちの世界にいってしまったのかな~、感もないこともないのですが。

    こうゆう、一般的に受け入れられなそうなポイントをなんとなく受け入れられるように、この本を読ませてくれたばななさんに拍手を贈りたくなりました♪

  • よしもとばななの自然体の文章には奈良美智の絵がよく似合う。

    「母が死んだ時、私の平凡だった世界は消えた」
    いきなりこの印象深い一文から始まる物語。
    母のいた当たり前の日常は全て錯覚だった…ばなな流、喪失と再生のプロセスはやはり独特。
    古くて暗くて臭くて埃っぽくておよそ快適な住まいではないけれど、浮世離れした「アルゼンチンババア」の元で徐々に救われ、自分の居場所を創り上げていく父と娘。
    大切な人を喪って心にぽっかり穴があいた時、日常から離れてちょっと一休みすることも大切。

    「人は死ぬ瞬間まで生きている、決して心の中で葬ってはいけない」
    インパクト絶大な「アルゼンチンババア」からの尊い教えに胸いっぱい。
    涙ぐんだ後はちょっとだけ笑顔になれる、そんな心優しき絵本のような物語だった。

  • 「文・よしもとばなな、絵と写真・奈良美智」、という、なんとも贅沢で、ある意味なんともミーハーな本です。
    ド派手なキラキラした装丁と、タイトルが気に入って、図書館で借りてきました。

    主人公の「私」は18歳のときに、母親を亡くす。
    その後、職人気質の石工の父が、“アルゼンチンババア”と呼ばれる変わり者のおばさんのところに出入りしていることを知る。
    アルゼンチンビルに住む、派手な衣装と化粧をしたちょっと頭のおかしなおばさん、通称“アルゼンチンババア”。
    「私」は父親に会いに、半ば廃墟と化したアルゼンチンビルに入って行く――というお話。

    大人向けのおとぎ話のような、心温まるお話。
    奈良さんの絵(と写真)が加わることでその効果が増幅されています。

    ちょっと物足りないけど、時と場合によってはいいかな。
    たとえば、ほっと一息つきたいとき、とか。

    実はこの本、日英対訳になっていて、右側のページが日本語、左側のページが英語になってます。
    英語の勉強にはいいかも。
    とか言いながら、英語の方は読まないで返しちゃいました。

  • なんだか匂いの漂ってくる本だったな。

  • やさしいやさしい物語。心洗われる。
    昔読んだのだけど、年齢を重ねて身近な人の死を経験したことで思う感情がある。
    主人公の心理描写が好き。いろんなメディアで物語が作られるけど、こんなにやさしく寄り添えるのは小説ならではだと思った。

    奈良美智さんの絵や写真もやさしく、けれどもぶっきらぼうに寄り添っていてとてもよかった

  • すごい不思議な温かい気持ちになる。言葉があまりにも綺麗で表現が透明で、なんだかふわふわした世界を見ている気がする。シャボン玉みたいに冷たくはないけど掴もうとしても掴めない、分かりたいけど分かる気がするけど不思議。掴めない。

  • 《祈りの詩》

    喪失を経験し祈りを捧げること、それも生きながら祈るということ、それが美しく綴られていると思った。
    この物語の登場人物たちは、悲しみに沈むのではなく悲しみを日常に溶け込ませて常にまとわせているのかな。
    船と一緒に泳ぐイルカのように。
    私は祈りたい時はこれからもずっとこの物語を読むと思う。

  • 前に読んだ。
    古い、きれいなガラスみたいな作品だと思った。

  • 何度も読み返してしまう。手元に置きたい。奈良美智の絵がいい。

  • 時代の流れに乗れなかった父親が、何にも制限されずに、自分の想いに身を委ねていくような話だった。しかし、個人的には、亡くなったお母さんが可哀想だと思ってしまう…。

    2015.5.31

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著者プロフィール

1964年07月24日東京都生まれ。A型。日本大学芸術学部文藝学科卒業。1987年11月小説「キッチン」で第6回海燕新人文学賞受賞。1988年01月『キッチン』で第16回泉鏡花文学賞受賞。1988年08月『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で第39回芸術選奨文部大臣新人賞受賞。1989年03月『TUGUMI』で第2回山本周五郎賞受賞。1993年06月イタリアのスカンノ賞受賞。1995年11月『アムリタ』で第5回紫式部賞受賞。1996年03月イタリアのフェンディッシメ文学賞「Under 35」受賞。1999年11月イタリアのマスケラダルジェント賞文学部門受賞。2000年09月『不倫と南米』で第10回ドゥマゴ文学賞受賞。『キッチン』をはじめ、諸作品は海外30数カ国で翻訳、出版されている。

「2013年 『女子の遺伝子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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