世界史劇場 日清・日露戦争はこうして起こった

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著者 : 神野正史
  • ベレ出版 (2013年7月22日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784860643614

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世界史劇場 日清・日露戦争はこうして起こったの感想・レビュー・書評

  • 近代化の端緒で起こった日清・日露戦争を、東アジアという視野で、幕末から語り起こし、歴史の流れを分かりやすく解説しています。個人的に手探りで模索してきた日本近代史の流れと重なり、我が意を得たりの思いです。主観に走る表現はありますが、広く共有したい歴史的認識ですね。残念なことに、このあと日本は夜郎自大になってしまいます。一方、列強には黄禍論が広がり、米国はオレンジ計画の検討を始めます。

  • つい最近知ったばかりの、神野氏による「世界史劇場シリーズ」ですが、この本で早くも三冊目になります。今回のテーマは、私が長年、その内幕を知りたかった、日清戦争を含む、日清・日露戦争がテーマです。

    日露戦争になぜ勝てたか、というのは今までに何冊か本を読んできていますが、私にとっては、当時の世界でGDPはおそらく世界一で、アジアの盟主とされていた「清」との戦争を決断することは、凄いことだと思い続けてきました。しかし、その内容を詳しく解説していた本に、今まで巡り合えませんでした。今回、この本を読むことができて大変嬉しかったです。

    多くの「天祐」に助けられて、清に勝利(しかも大勝)できたことで、その原因解析が十分にされていない様子であること、それが後にどれだけ活用されたかは不明だということが、私には印象的でした。成功を導くものには様々な要因があるが、失敗した原因を変えないといつまでも繰り返し、失敗することになる、というフレーズを思い出しました。

    以下は気になったポイントです。


    ・清の康熙帝のころは、3400万ヘクタールで1億人を養っていた。国庫はお金で溢れかえり、税金を軽減していたほど。乾隆帝の時代になると、5000万ヘクタールに対して、人口は3億人となった(p18)

    ・西太后は、100万両あれば最新戦艦が買えた時代に、自分の還暦祝いに800万両、頤和園建立に2500万両をかけた(p28)

    ・科挙の殿試において、第一位は「状元」、二位は「耪眼」、三位を「探花」といった(p34)

    ・歴史・伝統(下部構造)の中から、「制度・学問・思想」などという文化(中部構造)が生まれ、そしてその中から、「システム・技術」という上部構造が生まれる。清は、軍事改革の前提として、社会・教育・行政改革が必須なのに、軍艦や銃火器だけを仕入れようとした(p37)

    ・日本の「和魂洋才」が、清の「中体西用」との違うのは、下部構造と上部構造の接着剤の役割をしている「中部構造」を、二重構造として、その下側は「和魂」、上側を「洋才」として、その接着面をぴったりとマッチさせるようにした(p39)

    ・漢民族を「華」と呼んで、唯一の文明人とした。北は「荻」と呼んで、犬コロ類、西は「戎」として、ケモノ類、南は「蛮」として、虫けら、東は「夷」と呼んで、野蛮人と見做した。これが中華思想である(p40)

    ・中国と朝鮮は、1)幼君、2)暗君、3)傾国の悪女、という条件が揃った。当時の日本にはそのようなことはなく、それが極東3国の運命を変えた(p47)

    ・暗記は、どうしても物事が理解できない最終手段、理解しろ、考えろ、そうしたとき初めて、知識が役立つ知識となる(p48)

    ・清国がアヘン戦争で負けるのをみた(1842)幕府の強気姿勢は一気に崩壊、薪水給与令を公布した(p56)

    ・遊牧民族(白人)にとって、侵略・征服・略奪・搾取は、正当な権利・正義そのもの、である。働くのは奴隷の仕事という考え方(p60)

    ・日米和親条約は勅許が下りている、補給基地としての開港であり、通商のための開港ではないので(p68)
    ・公武合体の中心人物二人(孝明天皇、将軍家茂)をたてつづけに失ったので、公武合体は崩壊し、尊王派が活気づく(p73)

    ・征夷大将軍とは、そもそも、防衛大臣にすぎない、天皇が「一時的に統治を委託している」に過ぎない。何かあれば政権(大政)を返す(奉還)するのは当然とも言えた(p74)

    ・王政復古の大号令にて、5つの藩兵(土佐、薩摩、尾張、越前、安芸)によって警護された(p76)

    ・欧州では、封建諸侯を一掃するのに、200年前後の時間と戦争が必要であった、日本は廃藩置県で完了(p87、97)

    ・版籍奉還は、大政奉還・辞官納地の、「大名版」ともいえる、奪うのではなく「国替え」という言葉のトリックがあった(88)

    ・台湾出兵により、清朝は、賠償金・見舞金の合計、50万両を支払った。日本が使用した戦費の10分の1だが、台湾以東の領有権を確認できたのは大きな効果(p104)

    ・当時世界屈指の金保有国であった日本の金塊は、あっという間に吸いつくされて庶民の生活は壊滅した。1ドル銀貨4枚が、12枚になるという為替レートを利用した(p136)

    ・清朝にはすぐれた政治家がいたが、イギリスを後ろ盾とした対日海軍増強、フランスを後ろ盾とした、対露陸軍増強、宮廷を後ろ盾とした、対仏のための軍備増強する考え方があった(p144)

    ・甲申事変の後の天津条約(1885)以降、日本は清国の脅威に直面して、それ以降、死にもの狂いで軍拡をした(p153)

    ・122代明治天皇がポケットマネーを30万円出した(戦艦1隻250万円の時代)、それを見て全国から義捐金が200万円集まった(p160)

    ・日清戦争は、じつは、薄氷を踏むがごとき「辛勝」の連続で、いつも敵の失態に救われたものであった(p184)

    ・香港九龍南部は永久割譲地、新界は「99か年租借地」であったが、新界・香港は表裏一体の経済区として活動してきたので、一括返還となった(p212)

    ・人は肩書に忠誠を誓うのではなく、恩恵に忠誠を誓う(p228)

    ・八か国共同出兵は、イギリスがロシアが独り勝ちしてしまうので、日本に出兵を要請した。8か国となっているが、実際には日露連合軍であった(p241)

    ・白人たちは、反乱に対して自ら武器を取って戦うのではなく、ライスクリスチャン(食い扶持を求めて信者になった人)を先頭にたたせて同じ民族同士で殺し合わせる。披露しきったところへ、本国軍がやってきて制圧する、これが通用しなかったのが日本(p244)

    ・伊藤博文に要請された、金子賢太郎は、アメリカの財界はロシアとの縁戚関係にあるものが多く、アメリカを説得するのは難しいと言葉を発した(p272)

    ・ロシア艦隊は、旅順と仁川、浦塩に入港していた。陸軍を運ぶために、陸海軍の主張を聞き入れる形で、仁川艦隊を攻めることになった(p281)

    ・南山の戦い1日(5月26日)で、日清戦争で消費した全砲弾量と、その戦死者数を超えてしまった(p286)

    ・当時招聘していた欧州の軍事教官は、宣戦布告してから戦争を始めるのは愚かな行為であると教えている。これが卑怯となったのは、太平洋戦争「後」である。国際外交法規上の不備を糾弾しようとしたが何も見つからなかったので、仕方なくその概念を導入した(p288)

    ・三笠の主砲から放たれた運命の一弾が、敵旗艦の指令室に命中、提督以下、司令部の人間が消失、かろうじて残った艦長が、旗艦権委譲信号を送ろうとしたときに、第二弾が指令室に飛び込んで、操舵不能となった(p295)

    ・当時の国力差、歳入:2.5億円の日本に対して、ロシアは20億円(8倍)、陸軍、日本の20万程度に対して、10倍の200万、海軍は、日本の26万トンに対して、3倍の80万トン(p302)

    2016年10月9日作成

  • 日本史と世界史を別々に学んだのでは、結びつかなかった歴史上の出来事が、つながる。ペリー来航で帝国主義時代の到来に目覚める日本。目覚めぬ朝鮮、中国。中国への朝貢外交を捨てない朝鮮を独立させて、ロシア帝国の南下を防ごうとする日本。日清戦争。三国干渉。日英同盟。日露戦争の辛勝。旅順・大連・東清鉄道。日露戦争は、日本の歴史の分岐点。

  • 素晴らしい。日本が絶望の淵に立たされたあの瞬間、もうダメだ、日本滅亡だとと思った、しかし決して諦めなかった軍人がいた!政治家がいた!神に導かれたとしか思えない、奇跡のような歴史の流れ、強烈に運を引き寄せる指導者たちのパワーに熱くなる!!
    あの時代の温度に是非、触れてみて!

  • 主題の日清・日露戦争だけでなく、
    19世紀後半、欧米の帝国主義が東アジアに及び、
    中国・朝鮮・日本がそれにどのように対処して、
    そのような結末になったのか、
    グローバルな流れがわかるようになっています。

    特定の歴史観ではなく、客観的に解説されていて、好感が持てました。
    司馬遼太郎氏の「坂の上の雲」のバックグランドを深く理解できると思います。

    当時、日本が賢明な英知と、その結果得た薄氷の奇跡で、
    生き残ったことが理解できるとともに、
    それが、その後生かされなかったのか…という読後感を得ました。

  •  かなり主観的なところもあるが歴史を浮き上がらせ生徒に印象付けるには仕方のない事なのでしょう。

     しかし、これが教科書ならもっと世界史の授業も変わるのかもしれない行間はかなり空いて読みやすそうだが内容はそれ以上に濃い。すごく濃い物語を読んでいるようだった。

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世界史劇場 日清・日露戦争はこうして起こったの作品紹介

まるで劇を観ているような感覚で、楽しみながら歴史を“体感”できるシリーズ第2弾。なぜ日清・日露戦争が起こるに至ったのかを、世界史的視点からドラマティックに描いていきます。中国・朝鮮・日本は列強の脅威にさらされ、どのようにそれを乗り越えようとしたのか。そしてそれがもたらした結果は何であったのか?19C後半から20C初頭の東アジアの歴史をくわしく見ていきます。臨場感あふれる解説と歴史が“見える”イラストが満載で、歴史が苦手な方でもスイスイ頭に入ってくる一冊!

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