ガロア理論の頂を踏む (BERET SCIENCE)

著者 :
  • ベレ出版
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本棚登録 : 182
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (504ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784860643638

作品紹介・あらすじ

本書は、「一般の5次方程式が根号で解けないことをきちんと証明する」ことを頂上(ピーク)として、そこに向かって一歩一歩、しっかりと登っていく本です。前提としているのは、高校数学の知識です。それがしっかりと理解できていれば読めるようになっています。ピークへの過程に出てくる定理には、証明が全て書いてあります。一番易しいルートを選択しながら、途中から急に難しくなることなく、最初から最後まで、同じ丁寧さで解説していきます。

感想・レビュー・書評

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  • 全ての証明を省略せずに記述し,高校数学履修者であれば読み通して理解できるよう設計されていて素晴らしい。
    ガロア理論,一般相対論の次はもしかしてゲーデルの不完全性定理?
    準同型定理に関するこのくだりなんか,ホントそう↓
    “数学という学問のひとつの目的は,世の中にある同型を探ること…一見異なる2つの対象の間に対応が付き,実は2つの対象が同じ形をしていると思える瞬間に,人は物事を分かったと実感できる”p.137
    ガロア理論は数学ガールでも読んだけど,物語部分が苦手な人やもっと証明が欲しい人は石井俊全さんのがおすすめ
    https://t.co/p66tXV6P2u

  • ガロア理論における「5次方程式には解の公式が存在しない」ことを,出来るだけ最適限の知識から1冊にまとめた意欲的な教科書。アルティン流の参考書と併読するのが良いか。

  • 2022-07-04
    06/10に読み始めたから、3週間以上かかってようやく読了。スッキリした訳では無いが、言わんとする所はようやくわかった気がする。
    2冊読んで懲りたところ、複数の解説動画で勧めていたこれを知って、懲りずに頑張った甲斐はあったか。
    気が向いたら分かったことをnoteに書いてみるかも。
    しかし、証明の途中で「定理n.nnより」と何百ページも前の定理を持ってくるのはまあいいとしても、「問n.nnの解説より」ってのは受け入れ難い。だってそれ問じゃんよ!

  • 分厚くて取っつきにくいかと思いきや、そうでもなく。解説が丁寧で、用語で引っかかることがないようになってて、読み進めれば目的の理論が分かるようになってる。

  • 中学生の時に学んだ二次方程式と解の公式を覚えているだろうか。
    当時は呪文のようにx=・・・と覚えて、あとはこの公式に従って具体的な数字をあてはめて計算すると解を求めることができた。
    が、高校生を卒業しても3次方程式の解の公式を習っ多記憶がある人はあまりいないのではないだろうか。
    そして4次方程式となるとほぼ皆無だと思う。

    一般に、N次方程式にはN個の解が存在するわけであるが、どんなNでも二次方程式のように解の公式と呼ばれるものが存在するだろうか、という問題は実は昔の重要な問題であった。

    余談であるが、昔は方程式の解を求めるのは一種のスポーツ?ギャンブル?になっていたそうだ。
    二次方程式の解の公式は昔から知られていたから問題にはならなかったようだが、3次、4次方程式を出題し、その解を早く見つけた方が勝ち、というゲームらしい。

    閑話休題。
    さてN次方程式の解の公式だが、結論を言うと実はN=5以上の次数では解の公式は存在しない。
    (ということは3次と4次方程式の解の公式は存在するのだ。が、学校で学ぶには難しすぎる(長すぎる笑)ということもあり学ばないのだと思う・・・)

    これを証明するためには、実は現代数学の基礎ともいえる「群論」と呼ばれる数学の分野が必要となる。
    本書は、このN=5以上の次数では解の公式は存在しない。という定理を証明するための書籍である。
    工学部でも群論は線形台数で少し学ぶ程度であるため、ほとんどの人間になじみがないと思う。

    群とは何か、ということから入り、その群を導入することによって何がすばらしいか、何がわかるのかということを紹介しつつ、目的の定理を証明する。
    本書の良いところは、定理すべてに証明が記載されているところで、大学で使用するようなテキストでは定理の証明を練習問題(解答なし!)に回したり、途中のロジックを飛ばしたりするのが常であるが、本書はこのようなことをすることなく、一種の読み物のように一から説明するスタンスである。
    (とはいいつつ、たくさん数式が出てくるので片手間で読めるような簡単なものでもないが)


    群論の入門書としては、目的(N=5以上の次数では解の公式は存在しないという定理の証明)がはっきりしすぎているため読者を選ぶかもしれないが、群論は昔から興味あったけど大学の教科書を読むのもしんどいという人、とくに大学の教科書は定理→証明が永遠と続く苦行なので、本書のように目的がはっきりしている分やる気が出る。


    この群論と呼ばれる数学の分野は、本書のタイトルにもある通りGalois理論と呼ばれる理論が基礎となっている。
    これは、当時20歳程度のGaloisがほぼ独自に発見した分野である。
    早熟の大天才と呼ぶにふさわしい偉業であると思う。悲惨な事に、この偉業は当時の最高の数学者たちにも理解されず、そして若くして死んでしまったという悲しいお話し。

  • 請求記号 411.73/I 75

  • 各章冒頭に見取り図を入れた構成、丁寧な式の展開、文字の大きさ、2色刷などなど、本当にガロア理論を理解させたいという情熱と緻密さが結びついた本。

    私は大学は工学系卒ですが、40歳を超えて、初めてガロア理論の頂を踏むことができました。最後のページをめくり、理解し終えた今、少し寂しい気持ちです。なぜなら、登坂の過程が苦しくも余りに美しく、楽しかったからです。

    私は3刷を読みましたが、まだ、何カ所か間違いと思われる部分がありました。こちらはあらためて、出版社に問い合わせたいと思います。

    それはさておき、次は何に進めばよいのか。今は燃え尽き症候群です。あまりに根を詰めて1週間ほどで読み終えたからでしょうか。。。

  • 例題豊富でわかりやすい本である。分厚いが、其の分丁寧であり、ガロア理論の入門書としては一番わかりやすいのではないかと思う。 中島匠一 先生の「代数方程式とガロア理論」が一番わかりやすいと思っていたが、これはそれ以上かも。

    著者は大人のための数学教室「和」講師の方。

  • ガロア理論について書かれた本。

    これまで読んだガロア理論の中で、最短距離でしかもわかりやすく書かれていると思いました。


    ブログはこちら。
    http://blog.livedoor.jp/oda1979/archives/4561407.html

  • p.71 ↑2 互いに素であるものの個数が4(2^3 ¥cdot 3^4 ¥cdot 5^2)
    は8(2^2 ¥cdot 3^3 ¥cdot 5^1)じゃないだろうか...

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著者プロフィール

1965年、東京生まれ。東京大学建築学科卒、東京工業大学数学科修士課程卒。
大人のための数学教室「和」講師。確率・統計、線形代数から、金融工学、動学マクロ経済に至るまでの幅広い分野で、難しいことを分かりやすく講義している。
著書
『中学入試 計算名人免許皆伝』(東京出版)
『1冊でマスター 大学の微分積分』
『1冊でマスター 大学の線形代数』
『1冊でマスター 大学の統計学』(いずれも技術評論社)
『まずはこの一冊から意味がわかる線形代数』
『まずはこの一冊から意味がわかる統計学』
『まずはこの一冊から意味がわかる多変量解析』
『ガロア理論の頂を踏む』
『一般相対性理論を一歩一歩数式で理解する』(いずれもベレ出版)


「2019年 『算数だけで統計学!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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