空とぶ鉢: 国宝信貴山縁起絵巻より (やまと絵本)

著者 :
  • 長崎出版
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感想 : 11
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  • / ISBN・EAN: 9784860954918

感想・レビュー・書評

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  • 国宝の「信貴山縁起絵巻」を絵本にしたもの。

    高僧の命蓮さんは、托鉢用の鉢を飛ばす技を持っていた。
    村の人々は飛んできた鉢に米や金を入れる。
    しかし強欲な長者どんは鉢を米蔵に閉じ込めてしまう。
    鉢は米蔵ごと命蓮さんの寺へと飛んでいく。
    慌てた長者どんが駆けつけるとにっこり笑う命蓮さん。
    心を入れ替えた長者どんに、鉢は米俵を従えて庄屋さんの屋敷に戻るのでした。

  • こちらは、「やまと絵本」と称するシリーズで、古くから伝えられてきたすばらしい文化を伝承しようという意図で作られたものだそうです。
    本作は、国宝『信貴山縁起絵巻』の「飛倉(とびくら)の巻」を元にしています。
    このほかに、やはり国宝の『東大寺大仏縁起絵巻』を元にした『生まれかわり』と『祈りのちから』があるようです。
    「元にした」というのはどういうことかというと、ストーリーはもちろん、それぞれの絵巻のものに準じるわけですが、絵が絵巻からシーンを選び取って絵本形式に再構成したものなのですね。これがすごい。

    このお話はちょっと不思議で、かつコミカルなところがあるお話です。
    命蓮(みょうれん)さんという偉いお坊さんがいます。ふしぎな術が飛ばせる命蓮さんは、托鉢に出かけず、山から村へと鉢を飛ばします。そうすると村の人がありがたがってお布施を入れてくれるという、なんともまぁ便利な仕組みになっています。
    さてここに、働き者で貧乏な男がおります。たいそう信心深く、鉢が飛んでくると必ず熱心にお布施をしていました。その御利益か、男の商売が大当たりし、長者と呼ばれるまでになります。そうなると現金なもので、鉢が飛んでくるのをうるさいと思うようになります。「ええぃ、めんどくさい! 倉に閉じ込めてしまえ!!」
    家の者が言いつけ通りにすると、あら不思議、倉から物音がして・・・。
    さぁ空飛ぶ鉢はどうなるのでしょうか。

    人々が怪事件に驚き仰天するさま、悠々たる山の景色、動物たちの仕草などが、生き生きと躍動感を持って描き出されていて感心します。
    絵師が誰なのか、詳しいことはわからないようですが、おそらくは平安後期の世俗画の絵師で、仏画にも詳しかった人物と考えられるとのこと。
    この巻に加えて、「延喜加持(えんぎかじ)の巻」、「尼公(あまぎみ)の巻」の三巻構成となっており、『鳥獣人物戯画』とともに日本の漫画のルーツとも言われるそうです。
    いずれ、機会があれば、全巻を通して見てみたいものです。

    • 淳水堂さん
      ぽんきちさん

      初めまして淳水堂です。
      フォローいただきましたのでご挨拶に参りました。

      私は動物や理系の本も興味はあるのですが理...
      ぽんきちさん

      初めまして淳水堂です。
      フォローいただきましたのでご挨拶に参りました。

      私は動物や理系の本も興味はあるのですが理解できずf(^^;)、
      こちらで分かり易く紹介されていたので、とりいそぎフォロー!させてもらいました。

      あと自分の子供たちで小学生がいるので、小学校の絵本読み聞かせボランティアもやっているんです。
      よさそうな絵本や、科学・動物の本とか参考にさせてください(*^^*)

      それではこれからよろしくお願いします。
      2014/11/05
    • ぽんきちさん
      淳水堂さん

      初めまして。コメントありがとうございます。
      こちらこそ、フォローいただきましてありがとうございます(^^)。

      理系...
      淳水堂さん

      初めまして。コメントありがとうございます。
      こちらこそ、フォローいただきましてありがとうございます(^^)。

      理系本だったり、絵本だったり、あっちこっちとふらふらしていますが、お目を留めていただいてうれしいです。本棚の整理もいまひとつついていなくてお恥ずかしいf(^^;)。

      読み聞かせボランティアを、されているんですね。一時期興味はあったのですが、結局、自分の子ども以外には読み聞かせをする機会はなく、子どもたちも大きくなってしまいました。いろんな反応があって楽しいんでしょうね。
      絵本はいまだに時々借りたりして楽しんでいます。
      また、レビューも拝見させていただきたいと思います。

      今後ともよろしくお願いします(^^)。
      2014/11/05
    • 淳水堂さん
      お返事ありがとうございます(*^^*)

      私の本棚で絵本はカテゴリーわけしておりますので、よろしければカテゴリー選択してくださいませ。
      ...
      お返事ありがとうございます(*^^*)

      私の本棚で絵本はカテゴリーわけしておりますので、よろしければカテゴリー選択してくださいませ。

      私は子供たちが小さい頃から寝かしつけ読み聞かせしていたはずなのに、小学生になった長男長女は自分ではほぼ読書せず、、、
      読み聞かせも、他のブクログの皆様のレビュー参考にさせていただいて手さぐりです。

      ではこれからもよろしくお願いします。
      2014/11/06
  • 信貴山縁起絵巻から。
    語りで聞いた話はもっと説教くさくなくて、空とぶ鉢の不思議さに惹かれて聞いた。
    長者も信仰心に関係ない話に仕上げてあった。
    話としてはそっちのほうがいいなあ。
    まあ、お寺の絵巻としてはあたりまえか。
    聞きやすい話に仕上げたのはさすが。

  • 大人でも楽しめました。

  • 信貴山の言い伝えを、信貴山縁起絵巻より絵本にしたもの。

  •  国宝『信貴山縁起絵巻』の『飛倉の巻(山崎長者の巻)』を絵本にしたもの。信貴山は、今の奈良県生駒市の山。小6の光村の教科書に鳥獣戯画も載っているし、どうかな?と思い見てみた。この「やまと絵本」って、シリーズなのかな?他にどんなものが出ているのか気になる。

  • 信貴山縁起絵巻を無理やり絵本化。
    正直、うまくリライトして良い絵をつけた方が良いのでは、と思う。
    というのも、ストーリー自体は結構面白いんだよね、この絵巻。
    ちと残念。

  • ★★★★☆
    日本人て昔からコミカルな読み物が好きなんだなあと^^
    お話も面白いのですが、絵巻の人物一人一人の表情がなんとも味が。
    (まっきー)

  • 国宝信貴山縁起絵巻が絵本化したもの。
    最近こういう古典作品の絵本化が多い気がするが気のせいだろうか。
    鉢が空を飛んだり、米俵が飛んで行ったりとハチャメチャな物語展開はユーモアがあるし、絵そのもののリアルさと躍動感と圧倒される。
    古典作品が手軽に読めるというのはすばらしいことだと思う。

  • 信貴山縁起絵巻の有名な空飛ぶ鉢の絵巻の図をそのまま使って絵本としたもの。
    高校の教科書でも見ているので懐かしい。

    長者が最初は貧乏だったとは知らなかった。

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著者プロフィール

東京生まれ。
2005年、泉鏡花文学賞受賞を機に、翌年奈良に転居。
2007年より、奈良少年刑務所で「物語の教室」を担当。その成果を『空が青いから白をえらんだのです』(新潮文庫)と、続編『世界はもっと美しくなる 奈良少年刑務所詩集』(ロクリン社)として上梓。
『あふれでたのはやさしさだった 奈良少年刑務所 絵本と詩の教室』(小社刊)ほか著書多数。

「2021年 『なっちゃんの花園』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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