椿色バラッド 1 (BLADEコミックス)

著者 : 皇ハマオ

• マッグガーデン (2011年3月10日発売)

感想・レビュー・書評

[空知ノチウさんの感想 · 2012年3月4日]

大正という縛られた時代に生きる女学生

日本が江戸から明治、大正と時代を移りかわらせていく中で、だんだんと女性が学校に通い、社会に参加するようになっていく。そんな中で女学校に通う椿は警察官になることを目指します。
この時代に女性がもっている節度とか上品な話し方を丁寧に描いていて大正の空気が感じる事ができました。今の時代は女子が男子に話しかける事なんてあたりまえですが、この時代は女子が男子と楽しく絡むことなどはしたないって感じなんですよね。そういう距離感っていうのが、なんとなく儚く感じます。椿の友達、かの子はそういう子です。弱々しく恥の心をもった佇まいに日本女性の儚げな美しさを再認識させられます。現代はそういう子ってあまりいませんもんね。
かの子とは対象的に椿は男にも臆することなく自分の意見を主張する快活な子です。今いたら普通に元気な子だなって感じですけど、この大正の世界ではとても異質な存在に感じられます。それまで閉鎖的に作られていた空気に吹き込む新しい風って感じです。こういうそれまでとは違った考えを持った人が現れて時代って変わっていくんでしょうね。それは1人というわけでなく、一般的には大衆の大半の考えが変わっていって雰囲気の変化がおこるんでしょう。この作品では椿がその代表って感じですね。

そして、絵がとにかくキレイです！
１コマ１コマとても細かく丁寧に描かれていて、セリフをただ読んで進めていくのがもったいないくらいです。どのページでもポストカードにしたいような、漫画もある種絵画なんだなって思いました(笑)
キャラクターも可愛くて良いです。椿なんかは裏のない笑顔と明るい性格で見てるこっちまで楽しくなってきます。男キャラはこういう明治・大正モノによく出てくる細目の美青年とか猿っぽい奴とかですけど、女性読者はこういうの好きそうですね。少女マンガの男性キャラって感じです。

ところどころで椿が話す「時代が変わっても、人を本当に救えるのは人だけなんだ」っていうテーマがこれからどう話の中で描かれていくのか楽しみです！

[hinonomeさんの感想 · 2011年7月27日]

大正時代の雰囲気が感じられる絵でストーリーも爽やか。
今後の展開に大いに期待！
長～く続けて連載してほしい作品。