ラジオ (ダリア文庫)

著者 :
  • フロンティアワークス
4.13
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本棚登録 : 84
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (387ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861345272

感想・レビュー・書評

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  • 前作ドラマがまさかのお別れEDで、続きがあると知ってすぐに読みました。
    結果的に幸せに終わりとりあえず一安心。
    恋愛ものはよく相手を思って身を引く、という状況がありますが、身を引かれた方の辛さにもフォーカスが当たっていてハッとさせられました。身を引いた側は美談で終わるかもしれないけど、相手も辛いのは同じだよね、と…。
    この作品は主人公たちだけでなく、前作でもキーになっていたドラマの海と岡崎の話にもかなり心を揺すられました。海の遺書のような手紙の中の、このまま1番幸せな時にしにたいという切実な気持ちがすごく切なかった。
    本の1/3程はスピンオフ作品ですが、そちらもとても良かったです。当て馬が不憫ではありますが(笑)

  • 本編はちょっと間延び感ありますが、「ドラマ」の後の二人の甘々な物語を楽しめました。私はむしろ、後半の「バックステージ」と短いスピンオフが面白かったです!

  • コバルトから足掛け12年で続編……当時からの読者さんも裕次さんも拓人もお疲れ様とおめでとうを。

    正直劇中劇の「白の傷跡」に時代の空気を感じるなーと思ったのですが、あれから12年、同性愛者が置かれている立場や社会の状況が如実に反映された、いまだから書ける完結編になっているなぁと。
    あれから6年、『海』から離れられず、答えを見つけられないまま停滞していた拓人は白の傷跡の再放送を記念しての特別企画で自ら別れを選んだ裕次と再会を果たす。

    二人の過ごす五日間を丹念に描いていく物語はまるで本当にラジオ番組を聞いているよう。
    海として生き、恋をし、岡崎の幸福のために自分の人生に彼を巻き込むわけにはと身を引いた海の行動はそのまま、裕次との別れを選んで身を引いた拓人の行動と重なります。
    結婚と離婚、周囲との軋轢や成功と挫折の両方を味わってきた裕次の導き、『海』の死に囚われたまま時間を止めて生きていた拓人を見守り、時に叱咤激励する周囲の大人たちとのやりとりを経て、拓人は6年前に自ら身を引くことで逃げてしまった裕次との関係性に、『海』が自らに語りかけてくれたものに向き合っていく。
    他者を巻き込んでしまうのなら自ら一人で背負うべきだ、と心を閉ざそうとしてしまう拓人の身勝手なひたむきさと弱さと純真さ、そこに対してきちんと向き合っていく裕次の情熱と、彼らを守ろうとしていく周囲の人々。
    お芝居を通して向き合った「岡崎と海」を振り返りながら互いの信頼関係と愛情を隠すことなく語り合っていくラジオでのやり取りはとてもドラマチック。
    悲恋が実っておめでとう、と素直に応援したくなります。
    裕次さんの叱咤に向き合い、きちんと拓人なりの新しい生き方を見つけていくところが清々しかったです。

    朝丘さんは同性愛の差別や偏見を真っ向から描く人なのでなー、というのはひしひし感じますが、時代が変わり、状況が変化しつつあることが今作ではきちんと踏まえられてるなと。
    日本だと簡単にはいかないのかもしれないし、ドラマで恋人を演じた二人がその延長で仲の良さをアピールする、というある種のファンサービスとして受け入れられているのに過ぎないのかもしれませんが、二人の再会を祝福しようという空気が日に日に高まっていく様は見ていてホッとさせられました。
    拓人のプロポーズ宣言が大胆過ぎて、でもあの拓人が自ら裕次さんに堂々と告白したことに意味があるんだよね。
    現実でも著名人同士の同性カップルが当たり前のように皆の前で堂々と二人の関係を明らかにできるようになったらいいのになと考えてしまった。

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