春恋 (ダリア文庫)

  • 174人登録
  • 4.08評価
    • (19)
    • (19)
    • (7)
    • (4)
    • (0)
  • 11レビュー
著者 : 朝丘戻
制作 : 小椋 ムク 
  • フロンティアワークス (2013年10月12日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (303ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861346637

春恋 (ダリア文庫)の感想・レビュー・書評

  • 春へ、に登場する秋山と美里のお話。
    美里の視線でのお話が進みますが秋山が旭より性悪で笑いました。
    旭は無骨で頑固で冷たくしきれないへたれだと思っていたけれど、
    性格の悪さは秋山が上の様な(笑)
    高校生の美里も若さからかへこたれない。
    十希の前向きでひたむきな愛とはまた違う若さ特有の強引さ。
    昔の作品のせいか美里の未熟さがとても目につきました。
    後先考えない行動とか。
    登場人物にまりこちゃんがいるのですが、女子の出現におののきましたらやはり一悶着有りました。
    それがあって深まる絆もあるのですけれど。
    朝丘先生の初期の作品らしく初頭のシーンにあら?と思ったり
    瑞々しくて愛おしい作品です。
    私は春へ、がお気に入りでどうしてもあの二人と比べてしまいがちですが丁寧に書かれた言葉の一つ一つをゆっくり時間をかけて読みました。
    それにしても小椋先生の表紙、です。
    美里の想いが溢れて秋山に伝わっているのが分かる。
    次巻、秋色来月発売です。
    それまでにもっと読み込んでおこうと思える作品。

  • 『春へ』でその後のふたりを知っているから、続編『秋色』があるのがわかっているから、このエンドに耐えられたのだと思う。
    家庭教師をしてくれている美大生のアキ。そんなアキに胸を焦がしている高校生の美里。アキには彼女がいる。それなのに美里を抱いてくれる。ほんの気まぐれみたいに。美里の気持ちをからかうみたいに。それでもアキを想わずにはいられなくて、拗ねても意地を張っても、結局は抱いて欲しいと懇願してしまう。アキは決して愛をくれたりしない。苦しくて苦しくてたまらない。誰かを好きになることってこんなにもつらいことだっけ?
    そんなアキに変化が訪れる。もしかして…と勘違いしてしまいそうになるくらい。息もつけないくらいの幸せもつかの間、現実は容赦なく打ちのめす。
    想い合っているだけでは、決して越えられない壁。
    優しい嘘がつけないアキ。
    ふたりは自分達が何も持っていない子供だと知っているから、将来の夢も家族もあるから、手に手を取って逃げてしまえばいいと盲目にはなれない。
    いつか迎えに行くから待っていて欲しいとか、いつまでもいつまででも待っていからとか、戯れ言を口にできない誠実。でもそれはひどく残酷だ。
    血反吐を吐く想いで別れを選んでも、これからも生きていかなければならないし、またいつか誰かを好きになるかもしれない。アキではない、誰かを。
    それでもアキは暗闇の中のたったひとすじの光。永遠に自分を支えてくれる軸みたいなもの。
    つらくても、どんなに好きでも、別れるしかないのだというエンドはそれが現実なのだと納得はできた。
    でも朝丘さんが後書きで書かれていた『人生で唯一無二の相手に巡り会えたのだから、別れてもハッピーエンド』ていうのは素直に頷けなかった。例えファンタジーと言われても、やっぱり夢をみたいから。
    続編で大人になったふたりが、今度はどんな選択をするのか、気持ちよく受け止められることを願いながら読了。

  • アキはどうしようもなくひどいやつだけど嫌いになれないんだよな、なんでだろう……。
    再読してみてもやっぱりそんな感じ。

    受験生の美里が好きなのは美大生の家庭教師のアキこと秋山順一。頭が良くてぶっきらぼうて口も態度も悪く横柄なのに、絵に対する情熱やストイックさ、良くも悪くも嘘のつけない真摯さが美里には眩しく見えて仕方がない。
    減らず口ばかり叩きながら身体の関係を持ってからも、アキは恋人のような甘いキスをくれるのに美里の心を見てくれない。

    恋に焦がれる純粋さ、理屈なんて抜きにただ誰かをまっすぐに思う気持ちのひたむきさ。
    全身全霊で思いを込めて誰かを好きになる切なさや苦しさを描くのが朝丘さんは本当に上手いなぁとしみじみと。
    アキは美里を弄んでひどいやつだなぁと思うのですが、身勝手さも横暴さも自分にも他人にも厳しく真摯に生きている証なのかな、とも思えたり。
    どれたけキツく当たっても逃げずにぶつかろうとする美里の想いにいつしか愛おしさを堪えきれずになっていく姿にわー、わー、と。

    心と心で向き合って魂を結び合うような恋をしたとしても、夢物語ではない。
    永遠に共にはいられなくともアキがそばにいることを許してくれた時間があればそれだけを頼りにずっと生きていける、とあらかじめ別れを覚悟している美里はどうしようもなく強くて優しい子だなあ。
    家庭教師と教え子として超えてはいけない線を超えたこと、社会的に認められない男同士であること。
    父親との遭遇を経て二人は別れ、五年の後に再会を果たす。

    無力で未熟な、恋に溺れただけの子供同士だったということに尽きるのかな。
    一生に一度の唯一無二の恋をして、一番大切な相手を思いながら違う相手と共に生き、それぞれの待つ場所へと帰る。
    冷や水をかけられるような結末ではありますが、朝丘さんの思う「人を愛すること」への命題であり、今の社会で同性愛に立ちふさがる障害があることは確かで、朝丘さんにとっては避けて通れない永遠に貫かれるテーマなのだろうと思います。
    朝丘作品はホモフォビアがきつすぎてなー、と思うことは多々ありますが、「あの頃はそうだった」といつか言える未来があるといいなぁと。

    美里のいじらしいまでの健気なまっすぐさとアキの腹立つ色男っぷりはなんだかんだと好きです。
    しかしまぁ母子家庭なのに美大に通い、なおかつ一人暮らしで2LDKに住んでお母さんにも資金援助してるアキはどんだけ高給取りなんですか…

  • なんで登録されてないんだ・・・
    コバルトのリメイクなのに両方並べてあります。
    何回読んだかわからない
    商業誌も結構読んできたけど、今まで読んだ中でアキが一番好きな攻めかもしれない

  • 春恋、秋色、春への3巻は世界観が一緒です。
    春恋と秋色がアキと美里のお話。ページをめくる手の動きが止まりませんでした。

  • 十八の春、美里が恋に落ちたのは、美大生で家庭教師の秋山だった。秋山は他人にも自分にも厳しくて素っ気ないが、たまに優しい。美里は異性愛者の秋山に対し、傷つきながらも一途な想いを寄せ続ける。そして夏が過ぎ秋がきて、育む時間はお互いをかけがえのない存在へ変えていくが……。
    ――あの頃、俺たちは子どもだった。
    四季の移ろいと共に積み重なる、永遠の愛の物語。

  • 春へ、持ってるのですがこのお話が未読だったためずっと積んでました。美大生で家庭教師アキと受験生美里。途中までなんで美里はこんなにアキの事が好きなのか、アキの気持ちも全く読めなくて正直イライラしてたんです。でも片想いに胸が苦しくなり、美里の嘘のない一途な気持ちにジンとなり、少しずつ変わっていくアキにほんわかした。そして若い二人の想い合う様にどこか危うさも感じていたら…。真っ直ぐすぎて、正直すぎる想いに胸が苦しくなりました。続けて秋色を読める幸せに全サの為帯を外したらアキの薬指にまた切なくなった。ペーパー付

  • 春への中にちらりと出て来るふたりの話。
    春へに出て来たメッセージの意味が知りたくて、仕事放りだして続けて読んでしまいました。(おかげで今晩は徹夜ですw)
    仕事放り出しても、最後まで読みたかった。

    何よりも自分の生の軸に出来るような愛する人を私は持っているんだろうか?

    そう思うと、これは確かに作者さんの描く通りにハッピーエンドなんでしょう。
    好きなものに1番2番と順番をつけることはすごく空しいと思っているのですが、何よりもというたった一つを持っているのは、凄く幸せなのかもと思えます。

    カテゴリをBLにしていますが、それにこだわりなく読んで欲しいです。

  • 新装版だったんですね。大学生の家庭教師と高校生の苦しくて切ない恋物語でした。
    アキのことがすごく好きなのに、傷つくのが怖くて本心をさらけ出せない美里。すぐに拗ねたりかわいくないことを言ってしまったり、強がってばかりでハラハラさせられます。Hから入ってしまった関係も決定的な誤解を招いているのに、むしろ遊びかのように見せかけて自分の臆病な想いを隠そうとしてしまいます。
    口では強がってばかりだけど、美里はガラスのように繊細な心の持ち主で放っておけない子です。
    その不器用で一生懸命な恋心が、不憫で不憫で…
    そんな美里の態度で、アキはひどく誤解しているんです。気まぐれな遊び半分か、受験勉強のストレス発散にでもつき合わされているとずっと思い込んでいたからこその、いじわるでからかい混じりの扱いかたです。
    アキも年上とはいえ、まだ大学生で人生経験も浅いから包容力もまったくなくて。
    それでも、美里の気持ちに気付けたところでは、ものすごく精神的な成長を感じました。

    ただし、気持ちが通じ合っても、現実は手厳しい。後々切ないことになっていくのが辛かったです。
    楽しく幸せそうな場面があるので、余計に涙が止まらなくなってしまいました。
    未熟さゆえの結果であり、未熟だからこそ気持ちはあっても未来が見えない恋愛です。
    この二人がもう少し大人で出会っていれば、ちゃんと生きていく地盤が築けていたら、また違う結末になったんだろうなと思わせます。
    ほんとに“たられば”なんだけど。

    なんか、他人事とは思えない痛くて青い恋愛です。つまらない意地とか、プライドとか、愛するものに比べたら取るに足らないものだったと気付いて反省できるのは、いつだって後になってからなんですよね…
    アキと美里の、そんな心の痛みがはっきりくっきりと描き出されていて、読んでいる間も読み終わった後も、心から離れることがありません。
    続編が待ち遠しいです!

  • 旧版既読だけど、やっぱり切ない。こういうラストは稀で、何度読んでももどかしいけど、あとがきにある朝丘先生の「自分が書く小説は全てハッピーエンドだと思っています」という言葉もわかる。リアルではなかなか気付けないけど。
    ところで…「春へ」既読だけど、関連作だったのって気付けなかったヘタレな自分が悲しい。「秋へ」も買う。

全11件中 1 - 11件を表示

春恋 (ダリア文庫)を本棚に「読みたい」で登録しているひと

春恋 (ダリア文庫)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

春恋 (ダリア文庫)の作品紹介

十八の春、美里が恋に落ちたのは、美大生で家庭教師の秋山だった。秋山は他人にも自分にも厳しくて素っ気ないが、たまに優しい。美里は異性愛者の秋山に対し、傷つきながらも一途な想いを寄せ続ける。そして夏が過ぎ秋がきて、育む時間はお互いをかけがえのない存在へ変えていくが…。-あの頃、俺たちは子どもだった。四季の移ろいと共に積み重なる、永遠の愛の物語。

ツイートする