秋色 (ダリア文庫)

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著者 : 朝丘戻
制作 : 小椋ムク 
  • フロンティアワークス (2013年11月13日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (305ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861346651

秋色 (ダリア文庫)の感想・レビュー・書評

  • 子供で無謀で無力で身勝手だった二人がもう一度結ばれるまでには五年の歳月が必要だったんだろうなと…しかし、好きで大切だからこそ二度と会わない、と決めたわけではなく、「人生の指針で一生涯の宝物」と誓いながら忘れずに思い続けていたのなら、そりゃあもう離さないと誓い合うしかないよね。
    (ふったらどしゃぶりの和章と整を思い出しましたが彼らはもう行き止まりだったからね)
    美里を傷つけて、思いに報いることが出来なかったのだから…と身を引こうとするアキと、それでもアキが好きで好きで堪らない美里の純粋さが胸打たれるよう。

    シーナの子供っぽさと横暴さ、狭量さにはイライラしましたが「二番手でいい」と甘んじたのはシーナ自身、それを飼い殺していたのは美里。
    美里のやろう、とも思うし、社会から外れて芸術家として生きる美里、芸術家であり一経営者として若くして身を立てるアキに反して、未熟な社会人一年生として重要な立場なのでしょうが、完全に「アキならわかってくれたのに」と引き立て役にされて不憫やで。
    正直シーナがキレて癇癪起こすのはよくぞ言った!!! としか。
    かわいそうな当て馬人事の役割後、あの子は未熟なところもあるけれど成長できる子で、抜け殻になった美里を大事に守ってくれた、と見守るアキにほろりときました。
    なんだよハンサムスーツめ。
    言葉足らずのせいで美里を傷つけて癒えない傷を負わせたけれど、それを償えるように生きていく、と誓うアキにジーン。なんだよあのハンサムスーツ。

    同性愛はなだらかな自殺、のくだりは「苦悩」という幻想を押し付けて消費していやしないかい? とも正直なところ思っちゃうのですが、世間体や社会からの様々な保障を受けられず、マイノリティの肩書きを背負って生きていくことになるのは確かで…。
    困難な道であることを覚悟してそれでも選ぼう、そのためには反対された両親にもきちんと話をして理解してもらおうと改めて美里の親御さんに挨拶するアキはカッコいいし立派ですね。
    理解や同意を求めて家族との対話を図るのが朝丘さんなんだな、と。

    いつまでもお幸せに、とは思いつつも、いつまでもべったりいちゃいちゃ恋人気分はちょっとしんどいかなと思わなくもない。笑
    これからコンプリートブック2を再読しようかな。

  • すごくすきなところもいっぱいあるのに、やっぱり朝丘さんの作品は同性愛の苦しみがテーマになりすぎてて、わたしにはむりだとおもった。同性カップルだと子供ができないとか、制度的に結婚できないとか、だからってなんで緩慢な自殺とか寂しい恋愛とか言われなきゃいけないのか。子供ってそんなに大事ですか、男女カップルでも子供ができなかったり作らなかったりする人はたくさんいるし、子供つくるためにひとは生きてるわけじゃないよ。結婚できないのは国の制度のせいだよ。どんなにハッピーエンドを描いていても、同性愛自体を肯定することはないんだとおもった。それにすごく苛立つ。ホモフォビックなBLなんていらない。朝丘さんの本、すごいすきなときもあるのに、時々だめだってなっちゃう。これはだめな方だった。

  • 春恋の続刊。アキの性格に惚れ惚れします。

  • 再会編。家庭教師先生×生徒5年後
    お互いに自分の無力を思い知って別れてから5年。
    アキの絵画教室の展覧会で再会する二人。
    お互いにずっと好きでも、二度と元に戻ることも前に進むこともできないことを痛感してるのにお互いを求められない辛さに泣き出しそうな話です。
    ただひたすらに相手の幸せを願いながらも、お互いがいない時点で本当の幸せを得られない二人と、周囲も大人になってく話。
    前半コバルトで読んだせいもあるかもしれないけど、なんだかちょっとキャラ違うなーって感じたのは大人になったからなのかどうなのか。
    泣きました…。

  • あの雪の日から五年。美里は作家になり、秋山はお絵描き教室を開いて、そして少し大人になった。二人は再会し、お互いを深く想い合いながらも、それぞれの人生を歩もうとする。次に会う約束はしない。それは二人にとって暗黙の決まりだった。けれど、歳月を経て変化したことが、二人の絆をより強いものへと繋いでいき??…。優しい色彩を塗り重ねる、無二の愛の物語。

  • 前作『春恋』から5年後。アキは人気イラストレーターのかたわら子供向けの絵画教室を開いている。美里も在学中に小説で賞を取り、卒業した今は本屋のバイトで食いつなぎながら新人作家として創作活動に打ちこんでいる。ふたりの隣にはそれぞれ恋人がいる。
    アキの教室の展示会に訪れて、5年振りの再会。自分の気持ちは1ミリもどこにも動いてないのだと再確認する美里。それでも一緒にはなれない。『お前が女ならよかったのに』と5年前別れ際にアキが告げた言葉を美里は一生忘れないだろう。真実で、でも残酷な言葉。
    再会してから、人目もはばからずお互いへの愛情を隠さないふたり。それを何だか生暖かく見守る周囲の眼差しにも、それでも結ばれることはないのだと、頑なに不器用に美里と距離を取ろうとするアキにも、アキに心を捧げているのに、今の恋人シーナをまだ隣に置こうとする美里の無神経さと傲慢さにも、どこか釈然としなかった。
    シーナの未熟さにも狭量さにも辟易したけれど、そうさせているのは美里。
    周りを巻き込みながらも、結局はなるべくして元サヤにおさまったふたり。
    5年の歳月を経て、何が変わったんだろうか。5年前はダメで、今はOKだった理由は何…? とひとしきり考えた。経済的に自立してそれなりに夢を実現して、もう何も持たない子供ではなくなったから? 5年経っても少しも色褪せなかった気持ちが興味本位や気まぐれじゃないと周りに証明できたから? 正直よくわからなかった。
    それでも『春恋』のあのエンドのままではつらすぎるし、満を持して愛し合えるふたりを見れて心底ホッとして嬉しかった。
    『同性愛はなだらかな自殺』という作中のアキの言葉。
    世間の常識からはずれ、種を残さず、ふたりだけで育む孤独な愛情。
    前作でBLというファンタジー枠を飛び越えて、同性愛という現実を突きつけられた読者が与えられた答えは、それでも寄り添うことを選んだふたりを見守ること。
    その後の甘い甘いふたりの新生活を目の当たりにして、とてつもない安堵の気持ちと、一方あの悲壮感の正体はなんだったのかとどこか判然としない気持ちで本を閉じました。

  • サイトで読んだことはありましたけど、本で出てたので迷わず購入。
    もう・・・何回泣かせればいいんですか・・!!!
    読んで辛かったり痛かったりですが、続きが読みたい読みたいとなる本。
    アキは自分よりも年下ですが、こんな考え方出来ないよ・・・
    こんな考え方出来るようになりたい。
    きっと、今後も何度も読み直すことになるだろう。
    BL小説好きなので色々な二人を読んできたけど、一番好きな攻めかもしれない。

  • 「春恋」の続編。前作ではまだ若くて自立できていなかった二人が、5年の歳月を経てそれぞれに成長している様子が描かれています。
    意地を張ったり、強がってみせたりして本音が見えなかった二人がやっと両想いになったかと思ったら、今度は親にバレたことで結局別れることに。
    生活力があれば、もっと大人だったら。
    そんな、「非力さ」というどうにもならない理由が切なかったです。
    解決するのは年月だけ、という状況で、まだ互いを求めて止まない真剣な気持ちがあってもあきらめなくちゃいけなかったのは不本意だな…と胸が痛くなりましたが、アキも美里もそのことを受け入れたんですよね…
    そして、5年後の二人は別々の道を歩んでいるけれど、その人生は確実に相手を愛した記憶が影響していて…

    周囲の人達とのかかわり合い、特にシーナと美里の関係は痛かったです。シーナに依存しているかのような美里、あえて二番目に甘んじているシーナ。どう見ても上手くいきそうにないww当て馬人事が悲惨でした…
    アキも女性と付きあったりしてみても、美里への気持ちは消えることなく深く静かに潜行していたようです。
    彼らのぐるぐるに巻き込まれた人々は傷ついたかもしれないけど、それも恋愛のうちだと思えます。解決するのは年月。
    シーナも救済してあげてほしいです…

    やっと、正々堂々と自信を持って恋人同士として一緒に生きていく道を選べた二人に、心からよかったねと言いたいです。
    ほっとしました、ほんとに。

    寄り添う二人の日々の掌編が、どれも甘くて満足です。
    アキが美里の両親に挨拶に行くシーンはけっこうツボでした。エロシーンじゃないけどツボ。
    お父さんと和解できて、一緒に酒を酌み交わす場面もよかったです。

    ペーパーは同棲9年後!!工藤が二人のイチャイチャにお邪魔虫で楽しかったです!

  • はー。遠回りだったけど、良かったよ(T_T)春恋から5年。若すぎて、真面目すぎて、遠回りだったのかな。シーナにも、美里にも、正直になれよ!と何度思ったことか。でも彼らが成長していく様子がゆっくりながらも読めて、アキと美里が本当に幸せそうで、そしてムクさんの表紙の笑顔が素晴らしくて胸がいっぱいです。後半は本当二人の幸せな日常が漏れてきて良かったです。ペーパーが幸せすぎて萌死です。これはペーパーもぜひ読んで欲しい!!ペーパー付

  • 「春恋」の続編。本としてはこれで完結。でもきっと物語は静かに続くんでしょう。
    とにかく、全編通してアキの愛情の記録と言うか、、
    本当に愛する人を見つけた人ってこんなふうに優しい人になれるんだなぁと。


    BLってボーイズラブの略なんでしょうけど、ボーイズというにはちょっと無理のある年齢になった男の子(それでもまだ男の子。特に美里君はアキの前だとすごく子供っぽい)2人。
    実際、「子供」の恋愛ってその時限りで将来の見えない話が多いのですけど、朝丘さんの作品はどの登場人物もその後の未来がちゃんとあることを想像させてくれます。

    生きている人の生きている様を丁寧に切り取って精錬して私たちに見せてくれる朝丘さんの作品は、特別なドラマチックな出来事がなくても、私たちが毎日いろんなことにつまづいて、悩んで、喜んで、生きていくその日々こそ、愛しい生というドラマなんだと思わせてくれる。
    SFやファンタジーといった日常からかけ離れたフィクションを好む私が朝丘さんに嵌ってしまった理由は、この「切り取り方」の美しさが、いろんな意味で自分を安心させてくれるからなんだと思います。
    ここ数年の朝丘さんの作品は、特にその傾向が強いように感じます。

    秋色はBL特有のハラハラファンタジー設定はありませんし、Hシーンもほとんどありません。
    これだけを読むと、淡々と綴られた日記のように思うかもしれません。
    前編にあたる「春恋」と合わせて読んで、2人の未来にそっと祝福を贈ることで自分も少し幸せになれる。
    そんなふうに読んで欲しいなと思います。

  • 朝丘さんのサイトに掲載されていた作品を大幅加筆修正。「春恋」の続き。途中でまたもや胸がつまされる場面にギョッとしつつも心温まるエンド。相愛ベッドで美里の頭の中に思い出が蘇って再生され─「おまえがしてくれっていうから抱いてやってるのに」「男なんて気持ち悪くて恋愛なんてごめんだね」「恋人になってやってもいいぞ」「泣くなよ」アキの言葉にこちらまで泣ける。美里とアキは朝丘さんの中で確かに息づいているのがわかる作品。終わりの方はアキが美里に甘々で良い。

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秋色 (ダリア文庫)の作品紹介

あの雪の日から五年。美里は作家になり、秋山はお絵描き教室を開いて、そして少し大人になった。二人は再会し、お互いを深く想い合いながらも、それぞれの人生を歩もうとする。次に会う約束はしない。それは二人にとって暗黙の決まりだった。けれど、歳月を経て変化したことが、二人の絆をより強いものへと繋いでいき-…。優しい色彩を塗り重ねる、無二の愛の物語。

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