- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784861524110
作品紹介・あらすじ
表現への情熱、恐るべし
新発見資料を駆使した解説コラム15篇により、
全く新しい植田正治像に迫った画期的写真集
■亡くなる直前のカメラに残された「最後のカット」全掲載
■発表当時の写真雑誌記事多数収録
■あの名作のベタ焼に見知る選択眼の秘密
■戦後すぐに挑戦していたカラー撮影
監修:金子隆一(東京都写真美術館学芸員)
解説:成相肇(東京ステーションギャラリー学芸員)
感想・レビュー・書評
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砂丘にたたずむ、意図的に配置された人々の写真がよく知られる植田正治の、生誕100周年を記念した写真展の公式カタログ。写真展には出品されなかった代表作も多数掲載されており、植田の仕事を概観できるうえ、植田の写真の持つその独特の美しさに改めて触れられる、充実の内容となっている。
植田の写真はノスタルジックなファンタジーでありながら、ありふれた心地よさをどこかで裏切る。それは涼やかな親和性に緊張が混ざる瞬間であり、意識に上らない非現実の露呈の瞬間でもある。静寂と懐古が行き交う、「いつまでも新しい場所」としての写真世界を堪能する。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
砂丘の写真を見ると、昔あったサントリーのCMでのランボーのシリーズを思い出す。
たまたま新聞の書評欄に取りあげられていた。
「空々しさこそ、かえってリアル感じられて…」と述べておられたが、そもそも前提としている「空々しい」とは思えない。
このカットのためにお父さん号令のもと、遊びたい盛りの子供が砂漠に出かけ、それぞれ花を持ったり、自転車に乗ったり、奥さんも忙しい中出掛けポーズをとったり。見ていて微笑ましい。
お父さんが撮るという写真のために、皆がポーズ取る。
これほどぬくもりを感じる家族の作品はない。
「パパとママとコドモたち」という題名を、あえてカタカナ表記にしているところに植田正治の意図を感じる。
「つくりかた」は写真のつくりかたばかりではなく、写真家(アマチュア?)植田正治のつくられかたもあるだろう。
「つくる」には「写真」を害するニュアンスはないと思う。
「とる」ことが「つくる」ことであるから。