新自由主義: その歴史的展開と現在

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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861821066

感想・レビュー・書評

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  •  〈新自由主義の結果、貧富の差の拡大という弊害が現れた〉ではなく、〈金持ちたちが貧富の差を拡大するために新自由主義を断行した〉というストーリー。

  • 後半の比較は纏めずに各章都度載せた方が面白いと

  • 現今、日本や世界の問題を語るうえで「新自由主義」の概念を抜かすことはできない。そして新自由主義をめぐる議論で、頻繁に引用・参照されるのが本書である。あまり軽々しく使うべき言葉ではないが、この問題を論じるうえでの「必読書」だと言っていいだろう(原著は2005年刊)。

    本書は見た目には結構ボリュームがありそうだが、ハーヴェイによる本文は全体の4分の3ぐらいで、300ページに満たない。残りは渡辺治による付録論文、訳者あとがき、用語解説、参考文献、索引である。特に渡辺による付録論文「日本の自由主義」が重要である。新自由主義の「地理的不均等発展」に着目するハーヴェイは、米英はもちろんチリや中国の事例の検討にも紙数を費やしているが、惜しいかな、日本への言及は限定的だ。渡辺論文はその点をしっかり補足してくれる。

    本書は読み通すのに深い専門知識などは要さない。訳文は十分整っているし、訳注も豊富だ。広く読まれるべき一冊だと思う。

  • 1356夜
    読みたい。

著者プロフィール

(David Harvey)
 1935年、イギリス生まれ。ケンブリッジ大学より博士号取得。ジョンズ・ホプキンス大学教授、オックスフォード大学教授を経て、現在、ニューヨーク市立大学特別教授。専攻:経済地理学。都市研究分野の第一人者であり、「人文・社会科学で最も引用される著者の一人」として知られる。
 2005年刊行の『新自由主義』は高い評価を得るとともに、アカデミズムを超えて話題となり世界的ベストセラーとなった。また同年、韓国で首都機能移転のため新たな都“世宗”が建設されることになったが、その都市デザイン選定の審査委員会の共同議長を務めている。2008年には、『資本論』の講義動画をインターネットで公開し、世界中からアクセスが殺到。現在の世界的なマルクス・ブームを巻き起こすきっかけとなった。この講義は『〈資本論〉入門』および『〈資本論〉第2巻・第3巻 入門』として刊行され、世界で最も読まれている入門書となっている。2010 年刊行の『資本の〈謎〉』は、『ガーディアン』紙の「世界の経済書ベスト5」に選ばれた。
 現在も、ギリシャ、スペインから、中南米諸国、中東、中国や韓国まで、文字通り世界を飛び回り、研究・講演活動などを行なっているほか、エックス(旧ツイッター)のフォロワー数も本書刊行時点で18万人を超えており、コロナ禍でも、本書のもとになったオンライン番組の更新を続けるなど精力的に活動し、インターネット空間でも変革を求める人々を世代を超えてインスパイアし続けている。
(エックスID:@profdavidharvey、ウェブサイト:davidharvey.org)

「2023年 『反資本主義』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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