改訂版〈学問〉の取扱説明書

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  • Amazon.co.jp ・本 (398ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861823220

作品紹介・あらすじ

哲学・思想、政治学、経済学、社会学、法学の基礎からサンデル『白熱教室』などの最新の動向まで、「正義」、「公共性」、「熟議」、「経済成長」他、よく使われる用語の誤用や基礎的なレベルでの陥り易い勘違い、思い込みを指摘し、これから勉強をする/し直す、のに最適な書。

感想・レビュー・書評

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  • ・サヨク的に自分の正義で脊椎反射するバカ学生とは自分のことではないか?と読み進めるうちに反省モード。

    ・著者は日本のサヨク的言論の浅さに辟易しているという感じが伝わってくる。すでに権威ある理論や海外のかっこよさそうな理論を持ち込むけれど、その理解はゆるいけれども自分の賢さアピールのためにファッションレベルで扱かってしまうようではダメだよということ。しっかり理解して、自分で考えたのか?と。著者の言葉では「脊椎反射的に吠えるバカ」はサヨクにもウヨクにもいる。

    ・「自分たちとはまったく立場・関心が違う人にとっても重要な意味を持つ問題提起が重要」

    ・「自分の「共感」の表現こそが、正義についての議論に参加する最低限の資格であり、それが感情的に分からないような奴は話にならん、というような排他的態度が問題」

    ・「苦しんでいる当事者の間にどういう価値観・ライフスタイル・社会的言説が形成されているかを社会学的に明らかにすることと、それを新しい倫理として普遍化すべきかどうかという問題は別の話」

    ・「問題なのは、自分が自分にとって「都合のいい構築された現実」を見逃していることを自覚しないで、他人に対して啓蒙的に振る舞おうとする人たち」

    ・「その社会における政治的・経済的権力関係によって「構築」された現実、あるいは現実感覚のようなものは、その構築のプロセスを明らかにすることによって、解体されねばならない、というようなことを政治的に主張する。特に”私たち”の日常感覚に密着していて、いかにも当たり前のようなことのうちに潜んでいる権力性を暴露しようとするわけです」

    ・「何となく左派的な権力暴露がかっこいいと思っている、薄らサヨクな学生」

    ・編集者の質問に著者がこたえるインタビュー形式的に進んでいく中で、著者の解説を聞きながら編集者の素朴な質問や投げかけが理解を助けるときがある。「仲正さんはマルクス主義をしつこく批判しているようで実は評価しているのでは?」とか。

  • 【図書館の電子書籍はこちらから→】  https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000107289

  • 色々な思想家が出てきて勉強になるが、著者の愚痴や文句が多すぎる感じがある。

  • 180929 中央図書館 仲正の、親しみやすくて時々ニヤリとしたり思わず膝を打ちたくなる切れ味は、楽しい。勉強に際してはやはり手頃な地図を見てからのほうが能率的ということ。

  • 積読状態だったけど、さっき仲正昌樹のドラッカーとハイエクをamazonで注文したので、それが届く前に片付けようと思い一気に読み終えました。

    「仲間内でいいところを褒めあって自分を高めるのが好き」だったりすると、こういった本は受け付けないのだろうけど、そういうのが嫌いであれば楽しめると思うし、「哲学を学ぶことで周囲に差をつけたい」みたいな「なんとなくどこかおかしい」ような人、「違い」ではなく「差」を気にするタイプも受け付けないと思う。インスタ好きとか。

    「じゃあどういう人が楽しめるんですか!?」と詰め寄られそうだけど、楽しめるとしたらおそらくは「なんとなくどこか違和感がある人に違和感がある」という人が対象か。
    その「我々」が感じている違和感がどういったことなのか、なぜ「我々」は「彼ら」に違和感を抱くのか、という点について著者が「丁寧に」説明している。

    本に出てくる草の根哲学者のブログみたいなのは全然知らないのでなんとも言えないけど、ビジネスに限っていえば、自分としては「内輪の評価を高めたい」のなら、こういう本ではなく「ビジネス書」を読めばいいのだと思う。
    そうしたビジネス書に載っている「明日から使える知識」で自分の資料にハクをつけたり、会議で発言したりすれば良いのだと思うし、それが悪いことだとは思わない。たまに自分もそうしているし。
    ただそれは学問ではないだろう。

    学問における「学びの着地点」が、「XXを学んだことによって成功に繋がった」ので、それが「学んだ結果」というのは違和感がある。あと思想を学ぶことで「おかげさまで仲間が増えました」というのも違和感あるのだけど、そういった意味でこの本はそういう着地点の違和感を解消するための「ビジネス書」だと思う。ビジネスっぽくいうと「出口戦略として仲正昌樹を選択する」ようなものか。

    そういう意味で「ビジネス書」のドラッカーが届くのが少し楽しみ。

  • 社会科学系を中心に各分野を、易しめに説明している。重要な概念(著者のピックアップした数個)について解説することでそれぞれの分野紹介になっている一面がある。

    以下、メモ。
    ・思想系の話題に私は疎いので、特に法哲学の部分は参考になった。
    ・経済学には触れていない。というか、中身には踏み込まない。著者の専門分野ではないからでしょうか。
    ・あと著者が嫌う対象が、「学問」ビギナーにはよくわからない。
    ・ネットがらみの話題は、本書とあまり関係がない。それこそネット上で済ますべき。


    ・2015年2月18日に追記
    News Weekのピケティ特集に仲正氏が登場していた。が、経済の話題を展開できていなかった。「なんかブームあるよね」的なスタンスで、コラムの出来としては低し。つまるところ、やる気がないのか……。

    ・2015年2月20日
    ※この感想文を(間違って)旧版に書いていたので新版にもってきた。

  • 哲学,政治学,経済学,社会学及び法学についてある程度聞きかじったことがある人が,自身の立ち位置を確認したり,隣接分野に視野を広げるために役立つ本。
    サンデルへの言及など,最近(2011年)の話題にフォローアップした改訂版。

    私が比較的勉強したことのある「法学」に関する記述を読むと,自分が法律学(実定法の解釈学)に閉じこもってきたことを自覚させられる。
    法学徒が法学のルーツ探求に消極的であるとの指摘(326~327頁)は耳が痛い。

    あとがきに相当する「帰宅する前に――『ネット系言論人』への注意書き」では,仲正先生のストレスが爆発。事情を読めば,それも致し方なし。

  • 全く知らない学問ばかり出てきますが、
    批判を聞いているだけで、なんとなくちょっと分かる気がするのが不思議です。
    ちょいちょい聞いたことがある話も出てきて、単に流して読んでも面白い。

    その分野の勉強をした人だったら、もっと面白いかと思います。

  • けっこうおもしろい。あんまりしゃっちょこばらずに読むと良いと思う。

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著者プロフィール

哲学者、金沢大学法学類教授。
1963年、広島県呉市に生まれる。東京大学大学院総合文化研究科地域文化専攻研究博士課程修了(学術博士)。専門は、法哲学、政治思想史、ドイツ文学。難解な哲学害を分かりやすく読み解くことに定評がある。
著書に、『危機の詩学─へルダリン、存在と言語』(作品社)、『歴史と正義』(御 茶の水書房)、『今こそア ーレントを読み直す』(講談社現代新書)、『集中講義! 日本の現代思想』(N‌H‌K出版)、『ヘーゲルを越えるヘーゲル』(講談社現代新書)など多数。
訳書に、ハンナ・アーレント『完訳 カント政治哲学講義録』(明月堂書店)など多数。

「2021年 『哲学JAM[白版]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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