ヒトラーの科学者たち

  • 40人登録
  • 3.00評価
    • (0)
    • (1)
    • (3)
    • (1)
    • (0)
  • 4レビュー
制作 : 松宮克昌 
  • 作品社 (2015年4月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (590ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861823565

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
トーマス・セドラ...
ジャレド・ダイア...
シーナ・アイエン...
エリック・ブリニ...
トマ・ピケティ
リチャード・ドー...
有効な右矢印 無効な右矢印

ヒトラーの科学者たちの感想・レビュー・書評

  • 科学に明るくないので前半ずいぶん読むのに時間がかかりました。

    総じてナチの抗癌戦争は「よい科学は反民主主義の理念の名においても追及し得た」ことを示した。(208P)

  • ユダヤ人への残虐非道な人体実験とかよく考えるね。本当に人間が人間にここまで出来るのか、という事例が多くて読んでいて、気分が悪くなる。

  • 図書館で予約して借りたんだけど、途轍もなく分厚く、しかも小さい文字がギッシリ詰まってて、少しいやになった。

    科学史家は、ナチの原爆の実現可能性を今日に至るまで論じている。………ヒトラーの人種主義政策は、理論ならびに核物理学を熟知する数百人の主要なユダヤ人物理学者を追放する結果を招いた。
    p.40

    「ロシア人が発明したものは何もない」とヒトラーは思い込んでいた。
    p.49

    彼は戦争が始まると早々に「最も好ましいことは、キリスト教を自然死させることだ」とヒムラーに告げた。
    p.50

    ヒトラーは、戦争に必要な応用科学と工学技術を理解し、さまざまな兵器に強い関心を持ち、それが、どのように働くか、すばやく理解した。
    p.38

    人種衛生学のようなドイツの優生学の進展は、アーリア人至上主義の神話と同じく、擬似ダーウィン進化論によって、具体化されていった。
    p.110

    四分の一のユダヤ人の血を持つ者でさえも非アーリア人とされた。
    p.158

    医学、人類学、地理学といった学問は、ナチのイデオロギーにのっとられていった。
    -p.214

    ハイゼンベルグは戦争は長引かず、ドイツが勝利するはずであり、ドイツの原子物理学は、英米と肩を並べていると想定していたのかもしれない。
    -p.349

    ジョン・ロールズはトルーマンの政治的手腕の純然たる欠如のため核兵器の使用なしに戦争を終結させられなかった、と1995年に論じた。
    -p.495

    ナチだけが格別に違う存在と言えるだろうか?
    アーリア人だけが人種的に優秀であるとする科学的な根拠はついに見出せなかった。
    -p.512

    日本は731部隊の医学研究者チームは、数千人の人間モルモットに、致死力のある病原性細菌や化学毒物を盛り込んだ実験を行った。

    広島と長崎の核兵器の先制使用の正当化における馴染みの議論は、それが戦争終結を早め、多くのアメリカ兵の命を救ったというもの。
    -p.495

    あとがき

    歴史は勝者の視点で描かれる。

    ドイツは世界に先駆けて、国家的にガン予防策(タバコの規制など)をとった。
    アスベスト素材を禁止した。被害者には国家補償を提供するという公衆衛生の先進性を実行した。

    我々は、科学の光と影を、より客観的に見つめねばならない。

  • この一冊ヒトラーの科学者たち ジョン・コーンウェル著 現代社会に投げ掛ける重い問い
    2015/7/5付日本経済新聞 朝刊

     核物理学の創始者ラザフォードは一九三七年、『新しい錬金術』の中で「人工的に核から有用なエネルギーを取り出せる見込みは、まずない」と書いている。彼の門下生チャドウィックが中性子を発見したのは一九三二年、その二年後にはフェルミが中性子の照射による元素の人工変換に成功しているが、そうした実績を踏まえてもまだ、ラザフォードですら、核エネルギーの実用化は非現実的とみなしていたのである。







     ところが、一九三八年、ドイツのハーンらが中性子の衝突によるウランの核分裂を発見すると、科学の進歩と国際政治は大きな曲がり角を迎えることになる。核分裂の連鎖反応を起こさせれば、化学エネルギーの百万倍に達する核エネルギーの実用化がにわかに現実味を帯びてきたからである。ヒトラーが政権を掌握してから五年目の出来事である。


     その間に、アインシュタインをはじめとする多くのユダヤ系科学者がドイツを去っている。もし、ヒトラーの台頭と核分裂発見の順序が逆転していたら、彼らはドイツ国内に拘束され、現代史は大きく塗り替えられていたかもしれない。本書によれば、一九四二年の時点においても、ヒトラーは原爆の概念と核物理学の革命性を理解できなかったとあるが、もし独裁者の認識にずれとわずかな遅れがなかったとすれば、世界の情勢は大きく変わっていたであろうと思わざるを得ない。


     本書は、こうした“歴史のif”を基礎科学から医学、応用技術の多分野にわたって想像したくなる、科学史と現代史を融合した刺激的な一冊である。その内容は書名を「ヒトラーとその時代に生きた科学者たち」と幅広く解釈して読める浩瀚(こうかん)さであり、科学技術の進歩と社会への影響が、特異な独裁者の存在に収斂(しゅうれん)させる形で論じられている。


     著者は、歴史的な証言を残した多くの著名な科学者への取材と貴重な資料の渉猟を試みており、そこから、ノンフィクションの面白さと研究書としての緻密さを併せ持つ力作が出来上がっている。


     最終部には、「ナチだけが格別に違う存在と言えるのだろうか?」と題する章が設けられている。そこでは、科学と軍事を含めたテクノロジーとの結びつきがますます深まり、その成果が人間の判断しだいで、功罪いずれの方向にも恐ろしい力で働くポテンシャリティをいっそう強めている今日の社会に対して、答えを見いだすのが容易ではない問いを投げ掛けている。




    原題=HITLER’S SCIENTISTS


    (松宮克昌訳、作品社・3800円)


    ▼著者は40年生まれ。英国のジャーナリストで作家。ケンブリッジ大の歴史と科学哲学科の研究員でもある。

全4件中 1 - 4件を表示

ヒトラーの科学者たちを本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

ツイートする