モンサント――世界の農業を支配する遺伝子組み換え企業

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制作 : 戸田 清  村澤 真保呂  上尾 真道 
  • 作品社 (2015年1月17日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (565ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861823923

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モンサント――世界の農業を支配する遺伝子組み換え企業の感想・レビュー・書評

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  • TPPをはじめとした、アメリカが仕掛ける食の世界戦略を解説した
    『食の戦争 米国の罠に落ちる日本』(鈴木宣弘 文春新書)の
    なかで触れられていたのが遺伝子組み換え作物だ。

    その遺伝子組み換え種子の世界シェア90%を誇るのが本書が
    取り上げている多国籍企業モンサント。本社はアメリカ・セント
    ルイス、日本にも支社がある。

    著者は映画「モンサントの不自然なたべもの」の監督であり、
    本書は映画の為に行った取材を元に書かれている。映画は観て
    いないのだが、本書だけで十分に怖い。

    モンサントは遺伝子組み換え種子に辿り着くまでにも、多くの
    人々を殺傷している。それは発がん性のあるPCBであり、
    ヴェトナム戦争で大量に散布された枯葉剤エージェント・オレ
    ンジであり、食肉や牛乳に残留してアレルギーやホルモン異常
    を引き起こす牛成長ホルンである。

    販売商品が次々と人の生命を脅かす。こんな企業が何故、成長を
    続けるのか。

    恣意的なデータの抽出、データのねつ造は当たり前。ロビー活動で
    自社製品の市販申請を勝ち取るのは勿論のこと、研究者には研究
    資金を、政治家には寄付金をばら撒き、自分たちの懐に抱き込む。

    監督官庁に圧力をかけるのなんて朝飯前。自社の幹部を政府中枢に
    送り込み、政府中枢の人間を自社へ迎える「回転ドア」じゃ規制
    も何もあったもんじゃない。

    モンサントが行った実験を批判する科学者がいようものなら、
    あらゆる手段を使って誹謗中傷し、内部告発者はある日突然、
    窓際に追いやられるどころか、不当に解雇される。

    モンサントは自然環境を考える会社だと自分で言う。だが、
    モンサントの除草剤と、その除草剤に耐性のある遺伝子組み
    換え種子は土壌を荒廃させ、作物の収穫量は年々減少して行く。

    遺伝子組み換え作物を与えたラットの実験では、多くの異常が
    見つかっているのだが、モンサントはそれにも知らんぷり。

    本書では「これでもかっ」というくらいに遺伝子組み換え種子の
    脅威が紹介されている、特に南米のトウモロコシと大豆、インド
    の綿花の例は恐怖だ。遺伝子組み換え種子は在来品種にまで
    影響を与え、インドでは在来品種の種子の入手が困難になって
    いるとか。

    さあ、どうするよ日本。TPPに参加してモンサントの遺伝子組み換え
    種子や遺伝子組み換え作物を行けいなきゃいけなくなったら?
    今でこそ食品パッケージに「遺伝子組み換えではない」と表示
    されているが、モンサントにねじ込まれたらこれも出来なくなる
    かもしれない。

    食べたくないよ、遺伝子組み換え作物なんて。だって、モンサント
    の除草剤に耐性のあるように作られた遺伝子組み換え種子って
    結局は「毒」が遺伝子に組み込まれているってことでしょう。

    もっと怖いのは、運搬の途中でこぼれた遺伝子組み換え種子や、
    遺伝子組み換え作物の畑から飛んで来た花粉が、在来品種に
    受粉してしまい、いつの間にか遺伝子組み換え作物がそっち
    こっちにはびこることだ。気が付いたら、そこらじゅうに
    遺伝子組み換え作物って。うわぁぁぁ。

    本書は極めて冷静に怖いことが綴られている。世界を征服しよう
    と思ったら、銃なんていらないんだよね。食糧を抑えちゃえば
    いいんだもの。人間が生きていく上でなくてはならないもの
    だもん。

    いかに儲けるか。モンサントの社是ってこれだけだよな。消費者
    の健康なんてまったく考慮してない。実際、散布されたモンサント
    の除草剤を浴びて亡くなった人も多くいるんだもの。

    あぁ、いつか日本にも遺伝子組み換え作物が溢れるんだろうか。

  • 3か月掛かって読み終えました。 南米大陸のほぼ全域がGMO 遺伝子組み換え大豆の栽培農地で インドも南米もモンサントに支配されていることを知って まともな野菜は無いということに衝撃を受けた。 そのうち日本も解禁されてGMO種でおかしくなっていくのかと想像するとこれは何としても 日本古来からの農業を、在来種固定種を守って維持しないければならないと強く思った。 

    特に日本の種苗会社や農家は 品種改良がとにかく好きでどこにいってもF1種ばかり。タネは出来ても雄しべがなく 雌しべしか育たない野菜の種ばかり。 種の保存という生物多様性が守られていない危機的状況に気づいてほしい、 固定種や在来種の自家栽培 自家採種よりもモンサントのように 品種改良品種改良 しかも遺伝子組み換え食品が悪いと思わないという研究者も居てそれも驚いた。 毎日の食事。自分が食べるもの口にするものくらい 安全でまともなものがいいと思うのが普通だと思うけど。利益を追求するばかりのF1種、GMO種を栽培している農家や企業、研究者はモンサントとやってることがほとんど変わらない。 無知であってはならない。 簡単にホームセンターで種が手に入るがそれらがどういうタネか ちゃんと知る必要がある。 ただの自給自足ので終わらせるのではなく、その種がどういうものか知って もっと自家採種で固定種在来種を育てる、農薬を使わない、除草剤を使わない、化学肥料を使わない農業を普及させなければならない。 

  • 農薬で世界2位のバイエルは同6位のモンサントの買収に合意したと発表した。新社は世界シェア3割弱でトップに躍り出る。同時に種子ではモンサントが世界首位でバイエルは7位こちらも世界シェアは3割弱となる。ちなみにモンサントは農薬首位、種子では3位のシンジェンタの買収に失敗し中国化工集団がシンジェンタを買収、種子で2位のデュポンはダウとの合併で農薬でも3位になる。バイエルーモンサント、シンジェンタ、ダウーデュポンの3社のシェアは農薬では7割、種子では6割ほどになる。

    PCB、ダイオキシンとモンサントは化学メーカーの負の側面を代表するような企業だがこの本の第一部ではその二つに加え世界で最も売れた除草剤ラウンドアップと牛成長ホルモンを取り上げいかにモンサントに代表される企業がEPA(米国環境保護庁)やFDA(米国食品医療品局)を手玉に取ったかを指摘している。

    ダウとモンサントが木材化工用の製品中に含まれるダイオキシンが問題になった際にはEPA職員がモンサントの不正行為(ダイオキシンの毒性データの捏造)について報告書をEPAの化学評議会議長や大統領府におくりつけた。これはすぐにモンサントの知るところとなり、講義を受けたEPAは報告書はEPAではなく職員が個人として出したものだと弁明しその職員を辞めさせるように圧力をかけた。この報告書が一つの契機となりベトナム戦争でのオレンジ剤の被害はその後よく知られるようになったがオレンジ剤被害者協会のモンサントに対する訴状は退けられた。ジュネーブ議定書はいわゆる毒ガスの使用を禁じているがこの除草剤の副作用はそれには当たらない。「もし、除草剤を販売することが戦争犯罪であったとしたら、化学メーカーはその販売を拒絶することもできたはずである。」 さらに2004年にモンサントのスポークスマンがこう述べている。「私たちは、病気で苦しんでいる軍人の方々に同情していますし、彼らがその原因を知りたいと思っていることもよく理解できます。しかし、あらゆる確実な化学的証拠が、オレンジ剤は長期にわたって健康的影響を引き起こすことはないことを示しています。」しかしモンサントはその安全性データーを捏造していたのだ。

    モンサントの主力商品となったラウンドアップだったが2000に特許が切れる。そこでモンサントが開発したのがラウンドアップ・レディと名付けられた遺伝子組み替え作物(GMO)だった。本書ではラウンドアップそのものの毒性や虚偽広告も指摘しているが、モンサントの悪名を高めたのはやはりGMOだろう。あらゆる植物を枯れさせるラウンドアップに耐える種子があれば、農家の作業は一気に楽になる。

    「遺伝子組み替え食品の安全性を保証することは、モンサントの役割ではない」「私たちの関心は、可能なかぎり遺伝子組み替え食品を販売することであって、その安全性を確保するのはFDAの仕事です」。FDAはモンサントが提供するデーターに基づいて評価をするがそのデーターはモンサントによってコントロールされている。そのモンサントにも危機が訪れる。売上の45%を占めるラウンドアップの特許切れに続いて、ターミネーター特許(1台限りの種子)を持つ企業の買収を認められず、GMOはまだ成果をあげていなかった。2000年頃は遺伝子組み替え技術自体も偶然に頼る未完成な技術だった。

    モンサントがその本性を剥き出しにするのはそれから間も無くだ。まず、90年代前半にバイオテクノロジーを重要な技術とみなすアメリカ政府はGMOを伝統的な交雑法による品種と同じ枠組みで規制すると決めている。「多くの場合、遺伝子操作を施された植物からつくられた食物の構成要素は、タンパク質や脂肪、炭水化物をはじめとして、一般的な食物の構成要素と同じであるか、あるいは実質的にほぼ同じである」FDA の元幹部が安全性についてほとんど同じだから大丈夫だと証言している。そしてGMOは「食品添加物」のカテゴリーから「一般的に安全と認められる(GRAS)」と言うカテゴリーに変更された。歴史的にずっと食べてきたものとおなじだと。狂牛病を考えればそれがどれだけ科学的な根拠とほど遠いかわかるだろう。

    次いでモンサントが武器にしたのが生物特許だ。「彼らは一方で、遺伝子組み替え植物は同品種の在来種と厳密に同じ性質をもつのだから試験は必要ないと言いながら、他方で、GMOは独自の創造物であると主張し、その特許を要求しています。」モンサントはラウンドアップ・レディと言う耐性遺伝子の特許を取得した。もはや特許切れのラウンドアップのジェネリックは問題ではない。むしろラウンドアップ・レディ販売の助けになるのだ。そしてラウンドアップ・レディから得られた種子を植えることも特許に抵触する。モンサントの遺伝子警察はある時は買い取り、またある時は無断で農場からサンプルを入手し、そこにGMO遺伝子を見つければその農場主に損害賠償を請求した。種子が飛んでこようが花粉が飛ぼうがアブラナなどは簡単に交雑が起こる。周りの畑がGMOを使っていれば、GMO汚染を防ぐ方法はほとんどない。「この判決は常軌を逸している。ある農民が、自分の畑を遺伝子組み替え植物に汚染されたら、それはGMO種子を生産する会社の特許を損なうことになる、というのだから。」

    この本では一方的に搾取されているインドだが「バイオパンク」には農民の抵抗が描かれている。種子の特許が認められていないインドでモンサントは遺伝子組み替えにより自然の殺虫剤成分を作り出すBT綿花の価格を4倍にしたが、農民たちは品種を改良しBEST綿花として販売している。

    著者の主張が全て正しいのかは判定できないことも多い。個人的にはGMOそのものもモンサントの作り出したビジネスモデルもイノベーションと言っていいと思うし、実際に瞬く間に世界に拡がっていっている。遺伝子の組み替え自体は自然界でも起こっており、不都合な形質が現れても時間が解決する。GMOの問題点は安全性を十分に確認できていないことだろう。モンサントのGMOの安全性を信じることは簡単にはできない。

  • モンサントが悪名高い「枯れ葉剤」を作った会社だというのをこの本で初めて知った。そんな会社が今や農作物を牛耳ろうとしている現実。どう考えても有害な農薬を無害として耐性のある作物と抱合せ販売して売上アップ!この本に書かれていることが全て事実だとしたら、ただただ怖い。全力で遺伝子組み換え(GMO)小麦が世に出てくるのを関係各国は阻止して欲しい。また、こういった話が全くメディアにも乗っかってこないで、芸能人の離婚やら薬物使用騒ぎを連日報道している日本の情報操作もほんとに怖い。

  • 遺伝子組み換えというものはもっと科学的な手法なのかと誤解していた。これではどこまでが制御されているのかわかったもんじゃない

  • あとがきにもある通り、遺伝子組み換え作物でも原発関係と同じ構図が見られるのは安全性の議論以前に動かざる事実のようだ。ちなみに「遺伝子組み換え・ニセ科学」でググるとトップに表示されるのは東大名誉教授や消費者団体顧問やらの「科学リテラシー対話」のPRページ。もはや誰かがお金を払っている事を隠そうともしていないのでステマとも言い難いが、安全論の押し付けにならないように丁寧に配慮しながら確実に誘導しているあたり、手馴れたものだなと感心させられる。
    そもそも専門家界隈が反対派、危険派をラッダイト扱いしてきたのはGMOによる爆発的な収穫の増加と飢餓の克服という錦の御旗があったからだが、本書はその根拠そのものを否定する。これが事実であれば食品としての安全性以前の議論が必要になるだろう。成り行きに注目したい。

  • 教員推薦図書

  • モンサントといえばGMO大豆、というイメージしかなかったが、もともとは化学会社でPCB,ダイオキシン(ユーシェンコの顔にできていたクロルアクネはダイオキシン中毒の特徴らしい)なども作っていた。

    と、いう話が前半部分を占めているように、本書の論調はやや陰謀論に傾いている。公正でないのでは、と感じさせる記述(GMOを擁護する論文がNatureの「手紙」のページに掲載されたが、これは査読のない論文だ、というような明らかな誤解に基づく攻撃も目立つ)もあるが、モンサントという会社が非常に政治的、法的な運動を活発に行ってきた結果、現在のGMO市場があることはよく分かる。

    そもそもGMOとしては大豆が一番多いが、アジア以外では大豆といえば飼料のイメージなんだとか。菜種油や綿花のような、直接ヒトの口に入らないものはそこそこ売れているらしい。小麦も出そうとはしたが、これには相当な反発があり、ほとんど売れていないらしい。

    本書の話題の中心である耐性大豆だが、これは偶然見つかったものではない。ラウンドアップの工場に近い土壌であれば、ラウンドアップによって汚染されているはずだしm,これに耐性をもった微生物も見つかるはずだ、という仮説をたててDNAを探した結果見つかった遺伝子を組み込んでいる。

    ただし遺伝子の組み込みはランダムでどこにいくつ入るかが制御されていないため、ラウンドアップ耐性大豆は従来のものと全く同じ成分ではなく、イソフラボン含有率なども12−14%低い。未知の成分が含まれているかどうか、ということは検討されておらず、アレルギー反応などが疑われる事例も何件か起こっている。

    法的には従来のものと同じなのだから検査などしなくてもいい、というと実質等価性原則をたてに、GMOを原料とした食品であっても米国ではそれを記載する必要はない(欧州などでは反発が強い)。一方で特許を主張するという二枚舌ぶりが批判されている。

    また、購入にあたってはきっちり契約を交わす必要があり、種子を保存することは認められていない。GMO反対派の農地に花粉が飛んできたりして耐性大豆が育った場合には特許を侵害したとして訴訟を起こされる(相当な額で法務チームを雇っているモンサントと戦おうという農家はほとんどおらず、和解金を支払うことになる)
    南米などでは逆に、種子だろうがなんだろうが栽培は黙認されている。ただし、南米で作られた農作物が欧米の港に着いた時に、1トンあたり十数ドルがモンサントに入ることになっている。

  • 新着図書コーナー展示は、2週間です。通常の配架場所は、3階開架 請求記号:615.21//R53

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モンサント――世界の農業を支配する遺伝子組み換え企業の作品紹介

世界43か国で、遺伝子組み換え種子の90%のシェアを誇るモンサント社-。この世界最大級のバイオ化学企業は、これまで、PCB、枯葉剤…と、史上最悪の公害をくり返し、多くの悲劇を生み出してきた。そして現在、遺伝子組み換え作物によって、世界の農業を支配しようとしている。いかに同社が、政治家と癒着し、政府機関を工作し、科学者に圧力をかけ、農民たちを訴訟で恫喝することによって、健康や環境への悪影響を隠蔽し、世界の農業を支配下に収めてきたか。本書は、3年にわたる調査によって、未公開資料、科学者・政治家・農民たちの証言をもとに、その驚くべき実態を明らかにした、世界が瞠目した話題騒然の書である。

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