誕生日

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制作 : 八重樫 克彦  八重樫 由貴子 
  • 作品社 (2012年9月21日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861824036

誕生日の感想・レビュー・書評

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  • 途方もない迷宮のような作品。閉鎖的で永続的で螺旋状。上手く言い表せないが、ここまで矛盾を孕んだ作品には中々巡り逢えない気がする。いわゆる「この矛に貫けないものはない」と「この盾で防げないものはない」が両方とも間違いなく違和感なく共存している。濁流のような理不尽さをどうにか消化したくて一気に読了。とにかく不可解で、けれど明解さも併せ持っている。宗教的で、哲学的なエッセンスが強い。

    「扉が扉でなくなるのはどんな時?」

    それに対する答えに鳥肌が立つ。

  • 亡くなって一年に読もうと、西語版も取り寄せて読むこと五回。未だに難解。最初、こんなもん書いて(宗教的に)大丈夫かと思った。二回目で、あまりの拡散ぶりにクラクラし、三回目はミステリ風かと思い、四回目でこれは実はAdam y Edenにループするのではと思い、五回目、本日、一年たってやっと、私が大好きだったフェンテス氏が亡くなって、もう新作は読めないのだと納得した。私は彼の文章を終わることなくずっと読んでいたかった。邦訳ですら、彼独特の西語のリズムを伝えていると思う。

  •  ハッピー・バースデー・ジョージ。

     映画化もされた『おいぼれグリンゴ』やその他戯曲等も手掛けるメキシコの国民的作家カルロス・フエンテスが挑んだ、揶揄と批判が隠された挑戦的小説。回転し続ける迷宮とも表現されている、宗教的な禁忌を絡めた傑作文学です。

    「その目はキチョウの群れを集め、フクロウの夜を散らす」
    「扉が扉でなくなるのはどんなとき?」

     見知らぬ部屋で目覚めた主人公の前に現れる少年と女性。登場人物がほぼ3人(と1匹)だけ、しかもほとんどが部屋の中という状況での物語は、言いようのない不安感を与え続けます。

    「あのときは一人だった。アルプス山脈という巨大な純白の霊柩車のなかで」
    「いつまでも夏が続くとでも思っていたのかい。夢を見るにもほどがある」

     困惑する主人公の畏怖をよそに無神経にも淡々と進んで行く筋書は、目覚めた後にも一日中頭に纏わりつくような生々しい夢のよう。

    「唯一の真実は永久に一粒のブドウの中心に葬られ、失われるかもしれない」
    「五つのハスの花が思い出させる誓いとは、どんなものか?」

     閉鎖的な空間でもありながら、それでいて果てのない感覚を味わわせる。この状況下や奇妙に小奇麗なメタファーは形而上学的な解釈に通じるものなのかもしれません。また、40ページ以上に及ぶ訳者解説も読み応え十分。

     あらゆる理解と時空を超えたトリック・アートのような世界。難解極まりないので、閲読希望の方は迷い込まないようくれぐれもご注意を。

     そんなお話。

  • 難解ではあるが、集中して読めばある程度はついていける。ただし、疲労感はすごい(なんとも心地よい疲れ)。フエンテスを読むのはこれが2冊目だが、相性はいいように感じた。小説メインで読んでいるので後回しになっていたけど、やはり(ラテンアメリカ文学に触れるのであれば)オクタビオ・パスぐらいは読んでおくべきなのかもしれない。

  • 生まれ変わり続ける男の数々の生を折りたたんで透かしてみたらこんな感じ...という話。自分の好みからするとちょっと凝りすぎだけど、パズル的でほんのり面白かった。

    輪廻転生の概念にもともとなじんでいる日本人としてはわりと普通の話に感じられた。また、キリストをこういう風に取り入れる必要があるんだろうかとも思った。世界のベースが西洋文化にあるひとたちには、フエンテスの狙いを感受できるのかもしれないけれども、どうなんだろう。

    永遠に追っかけをしているヌンシアが気持ち悪くて、よかったといえばよかった。

  • ★★★★★+★
    凄まじく禍々しい小説。
    迷宮の中で私が互換する、つまりは生まれ変わる。
    よくこんな小説を書けたな。

  • 謎に包まれて始まり、ページをめくるにつれて、「私」が何者なのか、が分かっていく。宗教的な色合いが強いが、解説に書いてあるように、反キリスト教的にも読める。

  • 一筋縄ではいかない感じ。

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誕生日の作品紹介

過去でありながら、未来でもある混沌の現在-螺旋状の時間。家であり、町であり、一つの世界である場所-流転する空間。自分自身であり、同時に他の誰もである存在-互換しうる私。目眩めく迷宮の小説。『アウラ』をも凌駕する、メキシコの文豪による神妙の傑作。

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