- Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
- / ISBN・EAN: 9784861824265
作品紹介・あらすじ
21世紀最も重要、かつ"危ない"思想家の主要著作と原文を徹底読解し、"危うく"理解され続けるキーターム「決断主義」、「敵/味方」、「例外状態」などを、その思想の背景にある彼が生きた時代と独特な世界観を探りながら、丁寧に解説。
感想・レビュー・書評
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本書では、カール・シュミットは、キリスト系保守主義と位置付けられているが『政治なるものの概念』ではアナーキストであるプルードンを評価していたりと面白い。
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古賀敬太著「カール・シュミットその時代」を読んでしまうと、内容の薄さが目立って、途中で放棄。
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長くナチスの桂冠法学者とみなされながらも、現代ではポストモダン左派の思想家たちに多大なインパクトを与えつづけているシュミットの思想について、著者がおこなった講義をまとめた本です。とりあげられているのは『政治的ロマン主義』『政治神学』『政治的なものの概念』『陸と海と―世界史的一考察』で、じっさいにこれらの著作の文章を読みながら、ときにドイツ語の解説にまで立ち入ってくわしい説明がおこなわれています。
とくに『政治的ロマン主義』は、ドイツ思想史の知識がなければ読み解くことのむずかしい内容ですが、ドイツロマン主義の研究から研究者としてのキャリアをスタートさせた著者が、ていねいな注釈をおこなっており、たいへん勉強になりました。また、著者はこれまでさまざまな著作を通して、難解な現代思想についてのクリアカットな解説を示してきましたが、本書でもシャンタル・ムフやジョルジョ・アガンベンらによるシュミットの受容についてわかりやすい説明がなされており、シュミットを取り巻く現在の思想状況についても概観を得ることができます。