- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784861825538
感想・レビュー・書評
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国内で数少ないイスラーム法学の第一人者である著者によって書かれた本。日本語によって書かれている貴重な本であるにもかかわらず、初心者の私には難解で遅々として進まず。もっとカジュアルな本から進めていき、知識が深まったところで再度チャレンジすることにして、閉じて眠らせた。
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【書誌情報】
著者:中田考
価格:本体2,400円
ISBN 978-4-86182-553-8
発行 2015.10
日本人が知っている「イスラーム法」とは、幻想にすぎない。ほんとうに、イスラームを理解するには、「イスラーム法」を知らなければならない。「イスラーム法学修学免状取得」をもつ第一人者による、イスラーム法の要諦。
http://www.sakuhinsha.com/philosophy/25538.html
【簡易目次】
序 「イスラーム法」などというものは存在しない [001-005]
凡例 [006]
目次 [007-010]
第I部 イスラーム法の基礎 011
イスラーム法とは何か――これだけは知っておこう、基本的なこと 013
オリエンタリストのイスラーム法研究の問題点――私たちの「考える枠組み」を考えなおす 039
解釈学としてのイスラーム法学――「法」のみを切り取って理解はできない 061
第II部 イスラーム神学と法学の交差
言葉として顕現する神――誰に「責任」を負うのか? 099
理性と啓示の虚偽問題を超えて――理性[アクル]による善・悪(利害)の判断 123
イスラーム法の非霊的権威――もしくは、イスラーム法の「非」宗教的性格 141
第III部 イスラーム法学の要諦
現世と来世を貫く法――あの世が組み込まれた構造 167
イスラーム法の主体――誰が法を守り、誰が裁き、誰が裁かれるのか? 183
イスラーム法の要としてのカリフ――法と法“外”の問題 203
終章 「時間のなかを生きる」人間がなすべきこと 241
附録 249
索引 [266-269]
略歴 [270] -
61
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イスラーム法の入門書。平易な表現でわかりやすく書かれているが、専門的な内容も多く含む。非常に勉強になる一冊で、また読み直したい。イスラーム法は西洋法学をそのまま当てはめても理解できず、また別の体系が存在することがよく分かる。イスラーム国家は政教一致とみなされることが多いが、政教分離(正確には教会と国家の分離=separation of church and state)はそもそもヨーロッパのローカル概念であり、日本や中国、イスラム国家においてはそのまま適用できない。イスラーム世界において権威である法学者は政治に参加しない、(戦前の)日本においても神職が国政を牛耳っていないなど、政教分離でもないが祭政一致でもない。イスラームでは、判例は重視されないし、法学教育でも学ばない。イスラーム法学者の回答は法的拘束力がないにも関わらず刊行され、学ばれるという。この世で強制力がなくとも来世での最後の裁判において最も適切な助言とされるからだ。現世と来世を意識した法規範はとても面白い。
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全体に難しいけどめっさ勉強になった。