東京大学「80年代地下文化論」講義 (白夜ライブラリー002)

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著者 : 宮沢章夫
  • 白夜書房 (2008年7月23日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (485ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861914393

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東京大学「80年代地下文化論」講義 (白夜ライブラリー002)の感想・レビュー・書評

  • 2016年初読み。

  • 筆者は、何度も繰り返し「おたく」の保守性を批判して、それに対して「ピテカン」側の批評性が持つ(とされる)可能性を称揚する。

    でも、この批判形式にこそ80年代がスカだったと言われる所以がなわけだし、そもそも、今や筆者のいう80年代の「ヒエラルキー」こそが実は保守的だったんだから、筆者には、あんまりにも再帰性というか反省がない気がした。

    「おたく」を、「ピテカン」に対してルサンチマンを抱くダサい集団(それゆえに内閉して保守化する)として描くことに拘泥してること自体が、筆者の、つまりは「ピテカン」のルサンチマンなんじゃないのかな、と思ったし、このルサンチマンが何回も繰り返されるのが鼻についた。

    面白かったけどね。

  • 一度目で、気になったワードは「差別化」「ヒエラルキー」「ルサンチマン」「おたく」「保守」と「批評性」
    繰り返し読むことになると思う。
    これをきっかけに自分が学生時代を過ごした00年代について、自分なりに読み解いてみたいと思った。漠然と過ごしてきた年月の中で感じていた生きづらさ、ムーブメント流行り廃りなどを読み解くプロセスのヒントみたいなものが、この本の中には散りばめられている。

  • 本として読むものではなく、ライブで聞くものかな?

  • 空虚な80年代と著者が呼んでいる時代の考察。

    ・西武セゾン文化
    ・スネークマンショー
    ・YMO
    ・森ビル戦略
    ・おたく論のはしり

    このあたりがメインのテーマでしょうか。
    なんというか、60年代の学生運動が冷め、消費を消費し始めた時代なんだろうなーと思います。どうやって生きるか、ひたすら物質重視ではなく、いかに生きるか、経験重視、みたいな時代の転換点だったように思います。

  • 2005年に東京大学教養学部で行われた講義の記録。かなり読みでのある本で、その時代を生きてきた者にとっては同意できる点もあるし、それ以上に新たな発見が多い。

    そのひとつとして、音楽や演劇などを志す若手が「フリーター」という生活形態を選択することについて、興味深い指摘をしている。
    宮沢によれば、これは「きわめて巧みに作られた資本の仕組み」であって、「フリーター」をしながら夢を実現できる者はごく僅かであるにもかかわらず、彼らに「自分は志があるのでフリーターをしている」という自己欺瞞を与えることによって、結果的に大量の非正規労働力を確保している、というのだ。

    もしこの見解が妥当なら、「フリーター」とは彼らの夢を食い物にする、一種の貧困ビジネスなのかもしれない。

    2012/03/01 記

  • 1番、目からうろこだったのは都市論的な話題の部分。埼京線が恵比寿まで延びたことに伴う地下文化の衰退みたいな話は、すごく興味深かった。

  • 84年生まれという自分の微妙な世代のずれもあるのだろうが、結構面白い。
    六本木WAVEが潰れたことがニュースになった時に、そこに含まれている意味合いを理解できなかったが、今ではある程度分かる。
    あくまでその時代の空気は浴びてない以上、頭で分かったという感じなんだろうけど。
    (六本木か表参道ヒルズみたいに、その時代のある空気を閉じ込めたような施設が消滅するようなもんなんだろうな、という感覚。生活における役割はだいぶ違うけど)

  • 081108購入。081121日読了。
    80年代、地下文化。このキーワードだけで食指が動いてしまう。前々からこの本に興味があり、文庫化されたものを発見したので購入してみた。この著者の講義のねらいは「80年代の再考」にある。いわゆる巷の世代論では「80年代はスカだった」というのが定説らしい。それは大塚英志の領分である「おたく」であったり、世間的にもすでに過去の夢物語となっている「バブル経済」からのアプローチのものが多く、一言で括ってしまえば、どこか軽妙な時代であった。著者宮沢は改めてあの時代を「地下文化」という新しい見地から捕らえなおしてみようと試みている。
    この本の最重要キーワードとなるのは「ピテカントロプス・エレクトス」いわゆる「ピテカン」である。日本発のクラブなのだが、クラブといっても現在あるような朝まで踊り明かすようなものとはどこか違うものらしい。「踊らない舞踏会」。どこか気取った精神的な貴族階級の文化であったようだ。全体を通して、この著者の80年代文化に関する造詣の深さには感心させられるが、思索がどうにも緻密に深慮にされている気がしない。極めて私怨に近い感情がそもそも問題提起の根底にあるのがあからさまに見え隠れしている。80年代文化という枠組みの中に「サブカル」と「おたく」があった。小題の「それを好きと言ったら変に思われるんじゃないか」という部分に著者の「おたく」にたいする評価が凝縮されていると思う。サブカル側は「おたく」のことを真っ向から批判はしない。相手側がこちらに劣等感や引け目を感じているのだろうと仮定し、自分達の位置を相対的に保つ。実際にそれは保たれていたが、ゼロ年代の今「おたく」が奇妙なことに市民権得てしまう。著者はもしかしたらこの現状が気に食わないのかもしれない。80年代をスカだと総括された上、あの時は相手にもしていなかった「おたく」が新たな文化の潮流となっていることに対してである。本書で面白かったのは、60年代に70年代80年代90年代と文化の変遷を見ると新宿、原宿、渋谷というように山手線沿いを見事に下降しているという分析だ。「新宿騒乱」「ヴィレッジ・ヴァンガード」「ピテカン」「渋谷系」。たしかに年代を経るにつれ下降している。90年代で渋谷の文化を崩壊させたのは埼京線が恵比寿につながったことによるらしい。そして00年代、全く関連のない秋葉原がある意味で時代を代表する文化の中心点となった。そのほか演劇論に見る反近代(60年代、70年代、アングラ新劇、唐十郎、寺山修司)、脱近代(80年代)や「アメリカ30周期説」、西部セゾン文化(情報を売る文化)と森ビル文化(ドカンと建てる文化)の対立が面白かった。<変奏と反復>という文化の法則は正しいと思う。これを活用すれば、今の文化の分析やこれから来るであろう文化も予想できるかもしれない、というように考えていくのが<批評性>ってことでしょ?たぶん。脱線の多い講義で、結局カチッとはまる結論のでない講義だったけど、それは承知してたし、そういうところがまた80年代ぽくて微笑ましい。

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