母系―河野裕子歌集 (塔21世紀叢書) (塔21世紀叢書 第 130篇)

著者 :
  • 青磁社
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861981074

作品紹介・あらすじ

母の死、そして自らの病を見つめた第十三歌集。親とはなにか、子となにか。そして生とは?死とは?早くも重版出来!!
迢空賞・斎藤茂吉短歌文学賞

感想・レビュー・書評

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  • うつらうつらと千年ほどが過ぎたのよ風にそよぎて竹たちが言ふ

    ゆめやなぎの絮がほよほよ飛んで来てここだつたんだと肩の上で言ふ

    ひとことも言はずに死んだひと風草のやうなそれがやさしさだつた

  • (河野裕子著/青磁社/3000円+税)装幀は濱崎実幸さん。
    http://www.amazon.co.jp/母系―河野裕子歌集-塔21世紀叢書-河野-裕子/dp/4861981077

    この本、実は2008年に初版が発行されており、このコラムで取りあげるには少し古い出版かもしれない。でも不勉強ながら私は目にしたことがなかった。

    著者は著名な歌人で、昨年8月に亡くなっている。その最終歌集『河野裕子歌集 蟬声』が最近発売され、それと一緒に神保町の東京堂書店に平積みされていたのが『母系』だ。『蟬声』もすてきなブックデザインだったのだが、どうにもこの『母系』の方が心惹かれるものがあり、4年前のものながらここでご紹介する次第です。

    最初はタイトルの流れるようなタイポグラフィに目がいき(ちなみに赤いこのタイトル文字には、スクリーン印刷でUVスポットニス厚盛りになっていて、透明なニスが少し盛り上がっている)、手にしてみると、帯は白に赤い文字が印刷されているのだが、何やら赤い色がちらちら目に入ってくる。気になって帯をめくってみると、裏側には赤ベタが刷られグロスPP貼り加工が。その赤が反射したり、帯の断面から覗き見えたりしていたのだ。「母という生命の本源は、歌人としても、ひとりの女性の思いとしても、わたしの最も大きなテーマであった」と帯にあり、またこの歌集を読んでみると、人の内側に流れる血、そして思いのようなものがこの帯で表されてるように感じ、ひとりなんだか納得させられた装幀でした。

    そして、帯に見られるような繊細で心の行き届いたブックデザインは、他の部分でも随所に感じられる。例えば表紙。手触りのいい白いクロス装に、背部分のみ深い赤色のビニルクロスが継がれていて、その上から透明の艶箔(もしかしたら赤い箔かも)でタイトルが押されている。

    また手触りのいい表紙、見返しを開いていくと、扉には透明の艶箔押しされたタイトル文字。手間暇、そして愛情がかけられた本書。どうしても通勤電車内などで慌ただしく読む気にならず、休みの日、椅子に腰掛けてゆっくりと拝読しました。

  • 声にだして一冊通して読み切ってしまった。
    装丁が素晴らしい。

  • 100310byお.さん

  • 母親の死、自らの病に直面し逃げることなく、真正面から対峙して、率直に歌にする。河野裕子という人はつくづく強い人だなあと思う。一首一首が圧倒的な重さで迫ってくる。言葉のひとつひとつが、どすんどすんと心に響く。妻として母として歌人として、与えられた日々を精一杯生きる。生きることをあきらめない。心の叫びで、胸が痛くなるような歌集だ。

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