- Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
- / ISBN・EAN: 9784861998027
作品紹介・あらすじ
侵略は論外、聖戦も間違い!大日本帝国滅亡の真実。気鋭の憲政史家が左も右も一刀両断!
感想・レビュー・書評
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斬新な切り口で、現代の悪弊にも繋がる話で歴史の教訓は何かを語っている。
歴史とは人の産物であり、筆者は歴代内閣のキーパーソンの人物像を読み解きながら話を進めていく。
当初、大東亜戦争を語るのに何で1906年の第一次西園寺内閣の説明から始めるのか、迂遠ではないかと思って当初読書ペースが遅かったが、最後まで読んで理解できた。当初は、元老政治家がアクターとして国を切り盛りしている。しかし、時代が下がるにつれて、官僚機構内部、甚だしい場合は出先や中央の課長クラスが利害調整をした玉虫色の結果が国策となっている。誰も決断をしない、政権を投げ出す。そして最後の聖壇の時にまた意思決定が閣僚と天皇陛下に戻る。
結局、戦争指導を含む国の舵取りは視野の狭い課長クラスには出来ないこと。現代にも通じる教訓。
そして、真面目に国策を遂行せよと明確に訴えていたのが斎藤隆夫の反軍演説。レッテルとは怖いもので、反軍でも何でもなければ、真面目にパワーポリティクスを遂行しろという内容だった。同様に、定説的な人物評に批判を加えているのも面白い。米内・山本・近衛は亡国の徒では無かったか、終戦時に枢密院議長の任にあった平沼騏一郎の役割など。ご都合主義で重要局面で意思決定せず、戦後はいい子ぶりっ子をした海軍の代表である米内を、切腹前に斬れと言った阿南陸軍大将の真意は謎とされてきたが、そういうことだったのかと。
登場人物が多く、一読で吸収できる情報量ではないが、それでも切り口の面白さが光る名著だと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
昭和初期から大東亜戦争までの近代史の書籍は、なんど読んでも「悔しく、悲しく、情けなく」感じてしまいます。
しかもその流れが今も変わることがない現実のまま。
撲滅させなければならないものがこの国にはほんとうに多い。 -
読みかけとなっていた本です、最後まで読みたいと思っておりますが、現在このような本に部屋が占領されてきており、苦渋の決断ながら処分することに至りました。近い将来、この本を読破できる機会が来ることを願っています。
2018.1.2作成
・戦後70年たったが、あの戦争(大東亜戦争)な何だったか、というと、お役所仕事である(p2)
・元老は天皇の代理人であるが、元老とは天皇の勅語によって、維新の元勲としての礼遇を与えられた明治維新の功績者であり、伊藤博文・黒田清隆・山縣有朋・松形正義・井上馨・西郷従道・大山巌・桂太郎・西園寺公望の9人、彼らの仕事は、内閣総理大臣を推薦、開戦講和等の重要な外交案件の決定に与ること(p16)
・元老がいなくなると、総理大臣経験者を「重臣」と呼んで、内大臣が仕切る重臣会議が元老の代わりをするようになった(p18)
・内務省で重要なのは、地方自治を司る地方局(戦後の自治省)と警察、地方局は地方税という独自財源をもっていて、内務省の部長が県知事を務めた、そこで実績をあげたら東京で局長になれる(p24)
・警視庁は首都防衛を担うもので、明治初期から独立していた、士族反乱がおきたときには動員する警視庁抜刀隊(警視隊)のような集団が必要であった(p24)
・東條が独裁者とほど遠かったのは、帝国憲法の統治機構が優れていて分立的な体制だった証拠(p31)
・仇敵だった日本とロシアが日露協商(1907)、日英同盟と露仏同盟が結びついて、四国協商、となってお気楽極楽な時代を迎えた(p47)
・ロンドン宣言とは、第一次世界大戦の連合国側(英、仏、露、伊)が単独不講和を約束したもので、抜け駆けして自分だけ敵と講和しないというもの。日本がこれに加入し、最後まで付き合うと約束したので、ベルサイユ会議に大国として招かれた(p79)
・ワシントン条約では、3つの条約が締結された、1)4か国条約(1921)、日米英仏、日英同盟の廃止、2)5か国条約(1922)、軍艦保有制限、米英日仏伊、3)9か国条約(1922)、中国の門戸開放(p92)
・治安維持法は、ソ連の国家承認、ソ連との国交樹立とセットのもの、天皇を殺せ・金持ちを殺せというような危ないプロパガンダがあり、そのためには治安維持法が必要であった(p104)
・満州事変を起こした軍人たちは、目の前で日本国民である朝鮮人が酷い目にあわされているのに外務省が彼らの権利を守ろうとしない、という理由もあった。世論が熱狂的に陸軍を支持した(p133)
2018年1月2日作成 -
敗戦の総括について。
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責任を全くとらないことの恐ろしさがわかる。あの戦争はほんの少しの勇気が誰かしらにあれば止めることができた。それを止めることができなかったのは、上層部の責任。それら上層部への批判は徹底的に行わなければならない。山本五十六。いくら記念館があったとしても、批判しなければならない。そうしなければ、同じ過ちを繰り返す。戦争は確かに悪い。しかし、戦争をした人はもっと悪い。政治家が政治家でなくなったときに、歯止めがきかなくなった。政治家は官僚ではない。ヒジョンを示すことができなければならない。
各内閣が時系列に説明されているので大変わかりやすい。この一冊で戦前の流れが大体わかる。 -
戦後70年。“あの戦争”を左翼は「侵略」と批判し、保守は「聖戦」と主張する。だが、それは果たして本当なのか? 憲政史家・倉山満が日露戦争終結から大東亜戦争敗戦までの歴代内閣の主要閣僚、陸海軍、官僚の「お役所仕事」ぶりから、大日本帝国滅亡の真実をあぶり出す。
序章 大日本帝国の統治機構
第1章 日露戦争後の平和ボケ
第2章 リアリズムが失われた大正デモクラシー
第3章 しなくてよかった国際連盟脱退
第4章 支那事変に学ぶ日本を滅ぼす方法
第5章 亡国前夜の近衛内閣末期
第6章 地獄に落ちた大東亜戦争