ニーチェ―すべてを思い切るために:力への意志 (入門・哲学者シリーズ 1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (141ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862280152

作品紹介・あらすじ

ニーチェ すべてを思い切るために:力への意志
「ひとは見たい現実しか見ないものだ」というのがジュリアス・シーザーの口癖だったという。
ニーチェの魅力は、「ひとが見たくない現実」をこれでもかと突きつけてくる点にある。
しかもかれは、美しい理想や価値を否定して終わるなどという無責任なことはしない。
通常の見方をどのように改めればいいのか、その結果、世界がどう見えてくるのかを、
ニーチェは示している。
本書は、哲学についてほとんど、あるいは、まったくご存じない読者にもニーチェの考えを理解していただくため、背景となる哲学史的な事情をふくめ、かれの考えを、できるかぎり噛みくだいて描いた。
ニーチェはなぜ道徳を否定するのか。「わたし」や「自我」も無用の長物だ、という。
「力への意志」など、ニーチェの過激なヴィジョンは何をもたらすのか。

感想・レビュー・書評

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  • 中学生にもわかる、はじめての哲学者全体像というシリーズ、ありがたい。貫先生の解説でニーチェの解説が読みたかった。貫先生の「哲学で何をするか」を読んだ後だったので、双方が補い合って理解が進んでありがたかった。大人だけれど、このシリーズで学びたい。

  • 特に哲学自体に深い関心は無かったものの、
    表題にそえてある副題

    “すべてを思い切るために:力の意思”

    という文にひかれて購入。
    中学生にもわかるといううたい文句にあるように
    とてもわかりやすく、ニーチェというとっつきにくい
    しかめっつらのおっさんのおおまかな全体像が
    わかりやすく書いており、一気に読む事が出来た。

    個人的に立ち止まっていて、思考を停止せざるを
    いけなかった点においてのヒントをくれるものであり、
    ニーチェ自身がすすめる“善悪の彼岸”“道徳の系譜”を
    読んでみようかなと思った。

  • この世には、意味も価値もない。

  • 以下、読書メモ。

    すべてのものは関係によって決まる。よって絶対的な価値というものない。從ってすべては無意味である。というロジックを徹底して考えぬいた人だったのだなぁ、という印象。


    ものごとは全て関係性によって決まり、独立して存在するものはなにもない。從ってあらゆる価値も関係性により決まる。だから道徳・意味・善悪なども最終的な拠り所は存在しない。(ニヒリズム)

    確かな価値が存在するように見えるのは人間の愚かな錯覚によるものだ。特定かつ限定的でしかない人間個人個人の認識を他のものごとに対しても容易に当てはめて考えてしまう。またそれを真実だと思い込んでしまう(眺望固定病)。

    すべてのものは自らを最大化しようとする(力への意志)。カビはできるかぎり繁殖地域を拡げようとし、やがて別のカビ群とぶつかる。こうしたミクロの世界で起こる力のぶつかりあいと拮抗のバランスが様々なものに影響を与えてゆく。人間の意志についても結局はそうしたものの影響を受けているにすぎず自分で意志を生み出しているわけではない。例えば体内の各器官が力への意志を持っているがゆえに、衝動として眠気を覚えたり、お腹が空いたりする。

    以上のことから、時間の経過によってものごとが良くなるとか悪くなるということもできなくなる。全ては錯覚であり、誤謬なのだ。こうしたことを考えぬいていった結果、永劫回帰という発想が生まれた。すべてはよくもならず悪くもならず、同じことをひたすら繰り返す。これが永遠に続く。
    これを乗り越える存在として「超人」の設定がほのめかされている。ここらへんは理解しがたい。

    終わり

  • 【感想】
    ニーチェの解説書では群を抜いて分かりやすい。
    難解なニーチェ関連書籍に挑む前の準備体操として読んでおくと非常に心強い。

  • 初めて手にとってみた哲学の本です。
    非常に読みやすかったので入門にはちょうどいいのかもしれません。

  • ニーチェのわかりやすい入門書です。
    どうやってニヒリズムの思想に至ったのかなども書かれており、難解なニーチェが簡単に理解できます。

    しかし、どんなことが書いてあったか忘れました。
    理解はできても、ニーチェの永遠回帰の考え方は受け入れ難いです。

  • キリスト教においては、いかなる行為が善である、何が悪かは神もしくは、神の子であるイエズスの意志や言葉によって決まる。
    ニーチェに言わせれば、善悪に限らず道徳と言われているものはすべて、弱者のルサンチマンの産物である。社会の弱者は自分たちだけで寄り集まって、強者をねたみ、その道徳的弱点を喧伝することで鬱憤を晴らそうとする。
    自分ひとりで生きている人は誰もいない。周りには私以外の人々、他人という存在がいるのが普通だ。
    自我、もしくはわたしは、ヨーロッパ哲学の伝統において、自由意思の主体もしくは原因と考えられる。
    ニーチェの考えによれば、変化は実は見せかけのものにすぎない。どんなにすべてが絶えまなく変化するように見えても、実は同じことの繰り返しだ。しかもそれがいつまでも続くというのである。
    価値が信じられれば、今日の努力や仕事によって明日はより良い暮らしをしようと自分を奮い立たせることもできる。ところが、今日、何をしても、あるいはしなくても、結局、何も変わらない。
    ニーチェのポイントは、物理的に誰かの人生が何度でも繰り返されるかどうかということではない。むしろ、現在の過程にゴールや終着点はなく、終わりもなく、それは一回性ももたない。
    いくら人生に価値も目的もなく、ただいたずらに辛い日々を送らなければならないとしても、いつかはその日々が終わるときが来ると信じることができればなんとか耐えることもできる。
    ニーチェは人間は希望を持つ存在だという。人間は常に希望を持つ。しかしニーチェは違うことも言う。何も望むことがない時、人は無を望む。

  • ニーチェ入門に良いと勧められたが、ほんとにわかりやすく書かれていた。

  • お風呂の中で読破。
    基本的に読みやすくていい本です。

    伝統的価値の破棄、善悪の起源、神の誕生と死、永遠回帰、力への意思、パースペクティビズムはわかった。

    大いなる正午(タイトルにもある「思い切る」の部分)と超人思想はイマイチ掴めず。

    こういうものを読んでわかったつもりになるのは最悪ですが、原書でわからない部分を参照するにはいい本です。

    秋葉原電気街と力への意思の考察が面白かった。
    いわゆる複雑系ですね。

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著者プロフィール

現在、専修大学文学部教授
1956年、神奈川県に生まれる。
1985年、東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。
現象学をはじめとする現代哲学、歴史理論、舞踊美学を研究。
著書に『図解雑学 哲学』(ナツメ社)、『哲学マップ』(ちくま新書)、『哲学ワンダーランド』(PHP)、『経験の構造:フッサール現象学の新しい全体像』(勁草書房)がある。

「2007年 『ハイデガー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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