みんな「おひとりさま」

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  • 青灯社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862280619

作品紹介・あらすじ

『おひとりさまの老後』より断然面白い。
● 女友だちがいれば安心。
● セックスは妻たちより充実しているという調査結果。
● アラフォーおひとりさまの要注意点。
● 男おひとりさま、幸せになれる人、幸せになれない人。
● お墓はいらない。
● 女はあなたを看取らない。
● 団塊逃げ切り世代説の非難をどう考える?
● みんな「おひとりさま」の時代を生きるコツ。

感想・レビュー・書評

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  • 後援者メンターがいて、ないものを生み出し、種を蒔いて読者を育て、書き手も育ててきたという意味でのパイオニアとして自覚があると自負。
    「女縁」長期にわたる信頼関係の賜物、結婚適齢期のあとにくる介護適齢期、「ユル友」とはユルく淡くつながっている友で毎日機嫌よく生きていくことを支えてくれる仲間のこと、ネーミングがわかりやすい。
    向老学とは、老後という主体的経験を言語化理論家する研究、高齢者の自己否定感、年寄りを厄介者視、迷惑視してきた若い時の価値観を持ったまま年老いたときに、無力感、自己否定感、抑うつ状態といった、自己差別を感じるという。
    比較老年学という学問の知見、老人の地位は近代化の程度と反比例するらしい。
    お墓とは自分の死後に遺族に負担を残すものという認識 に頷く。散骨を調べて検討したい。

    婚外子差別、美醜差別の根強さや女としての承認欲求と 性と愛の分離についても指摘。
    2007年30代以上のシングル女性の38%がパートナー有 その相手は半数以上既婚者恋愛で5年以上継続という一方で、40代シングル男性76%にパートナーなしとの結果。
    「恋愛市場の規制緩和、結婚市場の自由化」

    均等法の成立は、既得権を持たなかった層にも楔を打ち込んで選別と競争を持ち込んだ「男なみに働いたら男なみに均等待遇をあげよう」
    負け組男たちの怨嗟の対象、性差別意識を生んだ。非正規雇用が増えたのは、労働市場の問題、雇用規制緩和とした経済団体、政府、与党とした。
    71‐74年までの第二次ベビーブームに生まれた子供たちを団塊世代ジュニア 高校全入時代 大学進学率男性33.4% 女性15.2%
    団塊世代は、その個人史と社会史が幸運な一致を見た世代とし、自分たちの成長期が社会の成長期に重なり、自分たちの向老期が同じく社会の衰退期と重なるという。日本の成長期はほぼ1世代しか続かなかったのか。
    負担率というよりも連帯率と銘打って世代間対立への提言は興味深かった。

  • 上野さんは社会学者です。大往生について考える医者たちがモゴモゴ言っていたことを、スパーっと言ってしまいます。
    『「サクセスフル・エイジング」とは「中年期を死の直前までひきのばすこと」。言い換えれば、老年期を経験しないこと、つまり老いを拒否する思想と考えてもよいこういう考え方は、老年フォビア(恐怖)、エイジズム(高齢者差別)のあらわれである。』

    上野さんは社会学者です。私が今までしどろもどろ表現していたことをキッパリ言ってます。
    『車椅子になっても、失明しても、半身麻痺になっても、言語障害になっても、「でも、こんなに一日一日を楽しく生きていけるんだ」というモデルが、障害者の方たちにはあります。』

    そして「おひとりさまの老後」への批判に答えた章が秀逸でした。批判をぶつける聞き手の方も力量のある人なのでしょう。読みでのある1冊でした。

  • 高志の国文学館にて

  • 上野さんの本は、読むのに気力と体力がいる。「おひとりさま」系列の本は比較的読みやすくはあるけれど、それでも何度も休みつつ、読了。

    いつもそうだが、よくぞ言ってくださった!と溜飲が下がるところと、何もそこまで言わなくても…と腰が引けるところが混在する。よしよしと頭をなでてもらっていると思ったら、いきなり横っ面を張られてたりもする。まあ、そういうのが好きで読んでいるようにも思うけど。

    いろいろな媒体に発表されたものが収録されているが、第Ⅴ部の「団塊世代特集」で、ちょっとこれまでにない感慨を抱いてしまった。ここでは若い世代(主に東浩紀)からの団塊世代批判を上野さんが受けて立って、反論を展開している。

    私は、自分が団塊よりは下で団塊ジュニアよりは上、という中途半端な世代(と言うより、世代意識がない世代)であるせいか、世代論にあまり関心がなく、「世代間対立」をめぐる論争もぴんとこない。上野さんは団塊世代の一人として、批判を真っ向から受け止め、舌鋒鋭く斬り返し、批判者をねじ伏せている。

    私はその内容より何より、上野さんの孤高の戦いぶりに胸が痛んでしまったのだ。先日読んだ島崎今日子さんの「<わたし>を生きる」のせいかもしれない。「前から後ろから飛んでくる石礫にゴンゴンあたりながら怯まない」「毀誉褒貶が雨霰のごとく降りかかる中、身長一五〇センチの身体で日本のフェミニズムを牽引してきた」と書かれていた、そのままの姿がそこにあって、ちょっと胸が熱くなった。

  • 上野千鶴子さんが大好きなのに、これは読んだ事なかった!と借りて来たら「おひとりさま」シリーズだった。彼女の老後論は団塊世代へピンポイントで全世代向けではないんよね〜
    反論への聞き手として果敢に挑んでる方がめっちゃクレバーと思って感心してたら北田さんだった!なるほど〜

  • もう8,9年も昔の本だけど、上野千鶴子さんの本を初めて読んだ。「誰もが結婚する」というのはそう古くからある当たり前ではなく、振り返ってみれば一過性のものとか。
    団塊世代と団塊ジュニア世代の「世代間対立の罠」とか。団塊世代は親から正の贈与も負の贈与も受けておらず、一生を抵当にいれてローンで持ち家という資産を築いたんだから子供には何も残さないけど悪く言わないでと。
    後半の構造的な話が面白かった。そしてまたネオリベ出てきた

  • 後半がかなり難しかった。まあ結局自分で考えずに丸投げするなってことか?生き物みんな、最後は一人で死んでいくのは同じだしね。

  • いろんな上野千鶴子が読める。よかった。特に「私」を語った部分

  • ふむ

  • 「自分がどんな人生を送ってきたかを、他人や周囲の環境に責任転嫁しちゃいけない。それって、他人に褒めてもらいたい気持ちの裏返し。自分の人生を第三者評価に委ね、いいことは他人に褒めてもらいたがり、悪いことは人のせいにする。反対に自己評価の基準を持っていれば安心。自己満足が一番大事。」ズバリズバリと近い将来の問題と根拠・心構えを述べてくれてびくびくせず、自分の感じることに蓋をせず行く勇気をくれた。

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著者プロフィール

上野千鶴子(うえの・ちづこ)東京大学名誉教授、WAN理事長。社会学。

「2021年 『学問の自由が危ない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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